★クラシック音楽LPレコードファン倶楽部(LPC)★ クラシック音楽研究者 蔵 志津久

嘗てのクラシック音楽の名演奏家達の貴重な演奏がぎっしりと収録されたLPレコードから私の愛聴盤を紹介します。

◇クラシック音楽LP◇ネヴィル・マリナー指揮アカデミー室内管弦楽団のモーツァルト:喜遊曲K.136/K.137/K.138/セレナータ・ノットゥルナK.239

2024-05-16 09:38:13 | 室内楽曲


モーツァルト:喜遊曲K.136          
       喜遊曲K.137          
       喜遊曲K.138  
       セレナータ・ノットゥルナK.239

指揮:ネヴィル・マリナー

弦楽合奏:アカデミー室内管弦楽団

発売:1980年

LP:キングレコード K15C‐8060

弦楽合奏:アカデミー室内管弦楽団

 このLPレコードに収められたモーツァルトが作曲したK.136、K.137、K.138の3つの喜遊曲は、モーツァルトが第2回目のイタリア旅行(1771年8月13日~1771年12月16日)から帰って、第3回目の旅行(1772年12月24日~1773年3月13日)に持参すべく用意された作品だとも言われている。一方、このLPレコードのライナーノートで向坂正久氏は、「モーツァルトは、イタリア旅行のみやげ話をこれらの喜遊曲にまとめ、モーツァルト16歳の誕生日(1月27日)に集まった人々の前で演奏するために用意された曲ではないか」という説を披露している。いずれにせよ、この3曲の喜遊曲は、1曲づつ聴いても、それぞれ持ち味が違って楽しめるが、3曲を一気に聴くとそれはそれで、一つのまとまった喜遊曲でもあるかのように聴こえるのだから面白い。当時、流行っていたシンフォニアでもなく、また弦楽四重奏曲でもなく、喜遊曲独特の味わいを持ち合わせた、弦楽合奏の楽しい曲として、現在でも少しもその存在価値は失われていない。一方、 セレナータ・ノットゥルナK.239は、1776年1月、モーツァルト20歳の作とされる。ちょうどこの年には、有名な「ハフナー・セレナード」も書かれており、その頃、モーツァルトが関心を持っていたフランス風のギャラントなスタイルに影響を受けた作品となっている。このLPレコードで演奏しているのが、指揮者のネヴィル・マリナーとマリナーによって結成されたアカデミー室内管弦楽団である。ネヴィル・マリナー (1924年―2016年)は、英イングランドのリンカン出身。王立音楽大学に学んだ後、パリ音楽院に留学した。1959年にアカデミー室内管弦楽団を結成し、長年その指揮者を務めてきた。さらに、1979年から1986年までミネソタ管弦楽団、1983年から1989年までシュトゥットガルト放送交響楽団の音楽監督を務めた。1985年にはナイト号を授与されている。このLPレコードでの演奏は、典雅この上ない演奏に徹しており、同時に躍動感溢れ、聴いていると18世紀の宮殿の中の演奏会にタイムスリップしたかのような感覚に捉われる。それでいて、少しも古臭さを感じさせないのは、ひとえにネヴィル・マリナーとアカデミー室内管弦楽団の現代感覚に溢れた演奏によるものだ。このような演奏は、特にLPレコードで聴かないとその真の良さがなかなか伝わってこない。(LPC)


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