シャンテ サラのたわ言・戯れ言・ウンチクつれづれ記

"独断と偏見" で世相・経済からコミックまで 読んで楽しい 面白い内容を目指します。 

よく調べてから執筆しよう

2024年04月23日 | テクノロジふ~ん

記事※1より 左から 著書、張忠謀 (モリス・チャン)、舛岡富士雄 (フラッシュメモリの発明者)。

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ネット記事を読んでいたら、首を傾げる箇所が散見されたので、書きたくなりました。

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『かつては日立、富士通、東芝が世界を席巻していたのに …』(4月22日 プレジデント・オンライン ※1) __

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この記事は、京都大学イノベーション・マネジメント・サイエンス特定教授・木谷哲夫さんの著書『イノベーション全史』(BOW BOOKS) より、紹介されたものです。 最近の雑誌記事は、この手の “本の紹介記事” が多いです。

 

記事中で、下記3点について疑問を感じました。

 

1) (TSMC 創業者) モリス・チャンは「半導体業界を根本から変えてしまった」のです。

 

2) 東芝が発明したフラッシュメモリは、結局ライバルのインテルに市場シェアを奪われましたが、…

 

3) 青色 LED を発明した中村修二は、…

 

以下が正しい文章になろうかと思います __ 青色部分が変更箇所で正確な内容です。

 

1) (TSMC 創業者) モリス・チャンは「半導体業界の構造を根本から変えてしまった」のです。

 

2) 東芝が発明したフラッシュメモリは、結局ライバルのサムスン電子に市場シェアを奪われましたが、…

 

3) 青色 LED の量産製造方法を確立した中村修二は、…

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詳しくない人には、分かりやすくご説明します。 参考にして下さい。

 

1) 元の文章でも 100% 間違いではありませんが、厳密には違うと思います。 ファウンドリーという半導体の量産製造だけを請け負う企業という類は、TSMC 以前は存在しませんでした。

 

以前は、半導体の開発・設計・製造を1社の中で全て行っていたのです。 それを TSMC 社は “製造だけを請け負う” という特化した企業としてモリス・チャンが起業したのです。 “開発・設計” の代表例が、アップルや NVIDIA などのファブレス企業です。 アップルや NVIDIA は開発・設計だけを行い、製造を全く行わず TSMC が行っています。 ファブレスとは工場 (ファブ) がないという意味です。

 

そうした分業が半導体業界で徐々に浸透し、半導体会社とはいっても、「開発・設計・製造を1社で行う会社」()「開発・設計を行う会社」()「製造を行う会社」()「ある半導体製品の開発・設計・製造を社内で行い 他社から依頼された半導体製品の製造も行う会社」() といった具合に “業界構造が分かれて” 来ているのです。

 

日本のルネサスは、製品によってA・Bを使い分けています。 アップルや NVIDIA はです。 が TSMC です。 サムスン電子やインテルはです。

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2) フラッシュメモリ販売の最大手はサムスン電子です。 インテルも NOR 型フラッシュメモリを販売していますが、大きな売り上げではありません。

 

3) 青色 LED は、中村修二さんが発明したものではありません。

 

中村さんが取り掛かる以前から青色 LED は少量ながら、製造され販売もされていましたが、非常に高価で性能もよくありませんでした。 従って 高性能・安価の “赤・緑・青” の三原色 LED が揃えば、”白の LED” が実現できるのですが、なかなか実現できませんでした。

 

性能の高い “青色 LED の量産方法” が確立していなかったのです。 それを、中村さんが量産製造方法を確立したので大量生産して安価になり、”白の LED” が実現できたので、一般家庭でも使えるくらい安価な LED 照明器具が作れるようになったのです。

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このように 発表される 多くの本や記事の中には、必ずしも正確ではない表現や文章がたまにあります。 それらを鵜呑みにするのではなく、疑問に感じたら よく調べ、正していくことも必要ですね。

 

以上 “重箱の隅をつつく” ブログでした。

 

今日はここまでです。


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