【書評】「サービス」を安売りするな! | クレーム対応で幸せになる!しあわせクレーム.com@奥村渉

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わたしが発行人として書いているメルマガ 幸せを呼ぶ!クレーム対応術 の本文を編集してお伝えします。

こんにちは。奥村渉です。

本日もわたしのブログに
お越しくださいまして、
まことにありがとうございます。

更新のペースが、
月一になっているにもかかわらず、
たくさんの読者様に、
新たにご登録いただいております。

本当にありがとうございます。

これからも不定期ではありますが、
細々と更新を続けますので、
引き続きお読みくださいますと幸甚です。

それでは今回も、お客さま対応、
クレーム対応をおこなううえで、
どの本が参考にできるのか、
書評をお伝えします。

書評の第四十八冊目は、

 

「サービス」を安売りするな! (成美文庫)
です。

著者は、高萩徳宗(たかはぎのりとし)さん。

プロフィールは、
過去記事をご参照ください。

【書評】サービスの心得

 

 

 

この本は文庫です。

そのため、P7で著者ご本人が書いているとおり、

「寝っころがってピーナッツでも食べながら気楽にお読みください」

というラフな読書スタイルで読むことができます。

目次は以下のとおりです

はじめに
【第1章】 「ひとりよがり」になっていないか?
―そのサービス過剰・押しつけだ
【第2章】 「新規客」は精神的に増やすな
―紹介キャンペーンで得する人は誰もいない! 
【第3章】 おまけや値引きはサービスじゃない! 
―お客との「暗黙の了解」を忘れるな
【第4章】 まずは現在の常識から疑え! 
―迷ったら「好き」「楽しい」を軸にせよ
【第5章】 「申しわけございません」をあえて禁句にせよ
―「謝る」が前提だからクレーマーが増える
【第6章】 お金と無縁なサービスに酔うな
―お客の買う気に火をつけよ

 

おまけや値引きはサービスじゃない!とか、
「申しわけございません」をあえて禁句にせよとか、
カゲキなことばが並んでますね(笑)

前回ご紹介した、サービスの心得は、
2010年11月発行でしたが、
この本は2013年発行です。

巻末には、

「本書は明日香出版社『サービスの教科書』を大幅に加筆訂正し、改題の上、新たに編集したものです。」

とありました。

この元となった『サービスの教科書』は、
2004年発行なので、

実はもう13年も前に書かれた本なんですね。

読後の、わたしの率直な感想は、

・やはり高萩さんの本だ!面白くて、読んでスッキリした
・自分の考えとちょっと違うところ、気になるところがあった

このふたつです。

高萩さんは、
講演やセミナーもおこなっているためか、
文章に、話の上手な人に特有の
軽妙なリズムとテンポがあって、
すらすらと読んでいけます。

例えば、「サービスを売り物」
にしている本であるにもかかわらず、

あえて『お客』で全編とおし、

『様』を取った表現を貫いています。

その理由は、P9にこう記されていました。
 

「お客」でも「お客様」でも、友好的な関係が築けるなら、呼び方など問題にはなりません。
友好的な関係が築けない理由は、お客からの過度な要求であることが多いのですが、サービス提供者の誇りのなさにつけこまれている点も見逃してはいけません。


そして、

 

価格的な安売りだけではなく、考え方の安売りはやめましょう。
自らの尊厳を捨ててまで、尽くすのはやめましょう。
おかしいことは、おかしいと思う勇気を持ちましょう。


このように、
わたしの無意識下にあった、
『様』に対する違和感を、
的確に表現してくれました。

実は、このブログでも、
わたしがお客を表現する際は、

お客『さま』と、
敢えてひらがなで表記しています。

わたしはただ漠然と、
『様』に強い上下関係を感じるため、
反発して、使うのをやめました。

 

それでも、お客『さま』と言っているのは、
『お客様』と呼ばないことで、
違和感を感じる読者様がいるかもしれない、
と思っての苦肉の策です。

この本を読むまで、なぜ「様」がダメなのか、
言い表すことはできませんでした。
 

高萩さんは、このように「モヤモヤ」を
きちんと「ことば」にしてくれます。


しかもそれがわかりやすく、
納得できるものなので、
「うんうん」「そうそう」が、
読んでいる間ずっと続くのです。

P25では、

 

「誠心誠意」が連呼されるほどに、現場はクタクタになります。


P48では、

 

付け足しサービスが大好きな人ほど、本来の役割が粗雑になる傾向があるので注意が必要です。


P89では、

 
値下げ、値引きは脳みそに汗をかかずともできる、最も簡単な信用放棄です。

どれもこれも、
わたしが今までに経験したことばかりです。

誠意を示してもどうしようもない客はいる
付け足しサービスはかえって不要
値下げ前に高い金額で買った人は失望し怒る


などは、なんども上司や経営陣に提案しました。

たいていは、
「それはお前の仕事じゃない。だまって客の対応をしろ」
と婉曲に言われ、
一度も積極的に受け入れてもらったことはありません。
 
苦い思い出ですね(笑)

こういったことを書いてくださるところが、
やっぱり「わかっていらっしゃる方」
なのだと思うのです。

しかし、本書には、
わたしがちょっと気になったところも、
いくつかありました。

P31からは、

高萩さんが乗るはずだった飛行機が、
台風でフライトキャンセルになり、
代替便もなくて困り果て、
航空会社の予約センターに電話した。

と言う話が書かれています。

高萩さんは2時間近く経って
ようやくつながったオペレータに、

「24時間後の同じ便でしたら空席がありますが、どうされますか」

と言われてぶち切れたそうです。

これだけなら、

「あぁ、台風で不安な中、唯一の頼みにと航空会社へ電話して、
2時間待ってつながった挙句、事務的に扱われのか。
そりゃ腹立つだろうなぁ」

と共感できるのですが、


P150には、鉄道での出来事として、
 
「突発的な事故や天災などで交通機関が遮断されたときなども、リスク管理能力が衰退しているので、どうしたらよいかわからず、ただ大声で怒鳴るといった、みっともない醜態を、大の大人が晒すことになります。」

とあります。

あれれ?

以前高萩さんは鉄道会社に勤めていました。

そのため、鉄道での突発的な事故や天災に対して、
駅員さんや鉄道マンに対して、
思いやりを込めるのはわかります。

しかし、同じような出来事でも、
一方には身内の顔で擁護して、
身内ではない相手には、
ぶち切れてしまう
のはどうなのでしょうか。

お氣づきではないのか、
それとも、醜態ではないとお考えだから、
うっかり書いてしまったのか?

これ以外にもいくつか、
著者がクレームをつけた側、
サービスに違和感を感じた側の書き方は、
やや攻撃的で、武勇伝
っぽく感じました。

もうひとつ、P183からの、
 
「申し訳ございません」をあえて禁句にせよ

も、ちょっと勇み足になっている氣がします。

どうやら高萩さんは、
「意見を言ってくれているまともなお客」への対応と、
「悪質なクレーマー」の対策を、
同じにしない象徴として、
「申し訳ございません」を禁句にせよ
と言っているようです。

なぜなら、
 
本当の誠意とは謝ることではなく、「言ってくれたこと」に感謝の言葉を伝えることです。
悪質なクレーマー対策と、まともなお客への対応を混同しないように。

と書かれているからです。

まともなお客へは、感謝に置き換えろ、
クレーマーには、そもそも謝る必要はない、
と言うことなのでしょう。

しかし、
「申し訳ございません」は、
わたしたちが普段から使う、
『クッション言葉』としての役割
があります。

高萩さんがおっしゃるように、
「拒絶」のことばでは決してありません。

クレームに対して「ありがとう」と、
感謝を伝えることはもちろん素晴らしく、
大切なことだと思いますが、
申し訳ございませんも、
相手を受け入れるために欠かせない、
大切なことばだと、わたしは思います。

怒られた第一声に、
「ありがとうございます」
でも、
高萩さんだから、うまくいくのではないか。

わたしには、ちょっと真似できないですね。

と、いくつか氣になる点も挙げましたが、
書かれていることは、
ほとんどが素晴らしい内容です。

わたしの氣になった点も、
読む前の期待値が高かっただけに、
残念だと感じただけで、
氣にならない人も多いかもしれません。


なによりこの本は、『文庫』です。


クレーム対応が学べる本というより、
気軽に面白く、
サービスの本質を理解できる本として、
「楽しむ」のが正解
のような気がします。

読んでるうちに、客、経営者、従業員、
この3者がお互いに価値を高めあうのが、
サービスの本質であると、自然に理解できる良書です。

「サービス」を安売りするな! (成美文庫)

ところで、この本、
じつは挿絵が秀逸なんです。

程よく毒があり、
ヘタウマな字と本文の内容がマッチしていて、
思わずクスリと笑ってしまうので、
次の絵が楽しみになります。

サービス提供側のメンタルについて触れている箇所も多く、
通勤通学の電車や、ちょっとした空き時間に読むと、
やる気や希望が湧いてくるかもしれません
よ。

 

 

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