1月11日(土)14時開演 東京オペラシティコンサートホール
読響は14型。コンサートマスターは戸澤采紀。このホールで読響を聴くのは初めて。2階センター1列目で聴いたが、少し音がこもるような気がした。
しかし、小林資典(もとのり)指揮のシャブリエ「気まぐれなブーレ」は、バランスが良く、フランス音楽的な色彩もある。会場リハーサルで響き方を調整したことがうかがえる。
読響とは初共演の1984年ウクナイナ、ハルキウ生まれのヴァレリー・ソコロフ。名前に聞き覚えがあり、ブログをチェックしたら、2017年と2018年に新日本フィルとブラームス、シベリウスのヴァイオリン協奏曲を聴いていた。
上岡敏之 新日本フィルハーモニー交響楽団 ヴァレリー・ソコロフ(ヴァイオリン) | ベイのコンサート日記
ハンヌ・リントゥ 新日本フィル ヴァレリー・ソコロフ(ヴァイオリン) | ベイのコンサート日記
その時と較べると恰幅が増したような気もする。当時は今のようなロシアの侵攻が起こるとは想像もできなかった。
上岡敏之指揮新日本フィルとのブラームスは素晴らしかった。
今日のチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲も柔らかな美音、緩急をつけながら、弱音を生かした表情豊かな演奏だった。ただテンポが速い箇所や、追い込んでいく部分では、音を飛ばすとまではいかないが、はしょるように、せかせかと弾く。旋律を歌わせるところでは見得を切るようなあざとさも感じられる表情付けは、初演の際ハンスリックが『悪臭を放つ音楽』と酷評したことを思い出させた。
小林資典読響はソコロフの緩急、強弱の頻繁な変化にもピタリとつけていく。読響の奏者個々の音楽性が高く、フルートやオーボエ、クラリネットのソロが映える。
ソコロフのアンコールはJ.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番よりサラバンド。てらいのない素直な演奏。わかりやすく親しみが感じられた。
後半は、ストラヴィンスキー「バレエ音楽《ペトルーシュカ》(1947年版)」。
小林資典は読響のヴィルトゥオジティを引き出しながら、色彩感のある演奏を展開した。
バレエ音楽として、第2曲ペトルーシュカの部屋のピアノとオーケストラの掛け合い、第3曲ムーア人の部屋のグロテスクな踊りの音楽の表情など、情景が浮かぶような描写力があった。
気になったのは時にリズムの刻みが単調で、規則正しく拍を刻むようだったこと。リズムが少し重く感じられた。バレエの踊り手からは歓迎されるものの、コンサートの場合はもう少し緩急の変化を打ち出してもいいように思った。
読売日本交響楽団第273回土曜マチネーシリーズ
1月11日(土)14時開演 東京オペラシティコンサートホール
指揮=小林資典
ヴァイオリン=ヴァレリー・ソコロフ
シャブリエ:気まぐれなブーレ
チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品35
ストラヴィンスキー:バレエ音楽「ペトルーシュカ」(1947年版)
ソリスト・アンコール:J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番よりサラバンド