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その瞬間、4人が一斉、それぞれの顔を…。
菜帆子は小埜瀬、そして佐津香に順平を見て。小埜瀬は菜帆子を。 そして僅かに顔を佐津香に。そして順平に。佐津香は菜帆子を、そして小埜瀬、順平を。 僅か5秒程…。 スピーカーからの愛結美の声。 「な…、何、何、何黙ってんのよ菜帆子~~。」 また4人、それぞれの顔を見る。 「ん、ん~~。」 菜帆子、 「あのね。」 愛結美の声、 「う、うん。」 「課長の…。」 菜帆子。 すぐさま小埜瀬、顔がクシャリと。 「その…、佐津香さんと…。と、言うのが…。」 スピーカーから、 「う、うん。」 順平、両肩を上げての深呼吸。 「佐津香さん、同じ匂い。」 菜帆子、ポツリと。 スピーカーからの声がない。 菜帆子、 「もしもし…???…愛結美さん…???」 「あ、あ、あ、あ~~。…え…とぉ~~。」 愛結美、椅子を引いて、座って、 「佐津香さん、同じ匂い…???…って、どういう事。」 佐津香、息を吐いて、また顔に両手を。 菜帆子、 「つまりは~~~今まで課長が言ってた~~。匂いって言うのが~~。」 スピーカーから、 「うんうんうん。」 「つまりは、佐津香さんの匂いだったって訳。」 「佐津香…、さんの、匂い。」 たどたどしいような愛結美の声。その瞬間、 「え―――――――っ!!!…佐津香さんの匂い―――――っ!!!」 瞬間、佐津香、低い息を吐くような、 「あ~~~。」 けれども…。 小埜瀬、泣きそうな顔。 順平も低い声で、 「くぅ~~~。」 スピーカーから、 「やば。起きちゃう。…ってか、ま。起きないか。倅は2階。お父さんたちは奥の部屋だし。…ってか、嘘っ。佐津香さんの匂いって…、何…???…どういう事…???」 「つまりは…。課長。」 菜帆子。 「あ、うん。」 「佐津香さんの匂いが、亡くなった奥様の匂いと同じだったんだって。」 「佐津香さんの匂いが、亡くなった奥様の匂いと同じ…???」 「ふん。そういう事~~。」 愛結美、上体を少し前に、 「えっ…???…佐津香さんの匂いが亡くなった奥様の匂いと同じ…って…。…何…???…じゃあ、香水…、じゃ、なかった…って事…???」 菜帆子、間髪入れずに、 「ふん。そお。」 スピーカーから、 「えっ…???…と、言う事は…???……って、どういう事…???」 「ん~~~~。」 菜帆子。 「これは~~~。」 そして佐津香と小埜瀬、そして順平を見ながら、 「私の…。…と言うか~~。想像の域…なんだ…、けど~~~。」 スピーカーから、 「うんうんうん。」 「つまりは課長、時々、佐津香さんの~~。」「うん。」「佐津香さん自身の~~。匂いって…、言うかな~~。」 佐津香を見て。 「その匂いに~~。」 今度は小埜瀬を見て。 「つまりは…、クラ~~っと、気持ち良く~~。何とも、深い深い眠り…???…つまりは…、深淵…???」 「あ、あ~~。うんうんうん。深い淵って…。」 「まっ。ちょっとやそっとでは、先ず目を覚まさない。しかも、それが…。相手の顔をぶっ叩いても。」 いきなり順平、 「ぶっ。」 佐津香も、菜帆子の表現に、 「クッ。」 菜帆子、そんな佐津香と順平を見て、そして小埜瀬を見て、 「まっ。眠りの就いたと。」 スピーカーから、 「ふ~~~ん。そういう事~~~。」 愛結美。リビングの壁を見て、 「ふ~~~ん~~。な~~るほどね~~。」 目をキョロキョロとさせながら、 「…って…。えっ…???」 今度は体を左に。 「えっ…???…ちょっと待って。…って事は…、何…???…佐津香さんの匂いが…。」 そこまで言って愛結美、 「…ん…???…菜帆子、あんた、さっき、亡くなった奥さんの匂いとって言ったよね。」 菜帆子、 「ふん。そうだよ。」 「…と、言う事は~~~。…えっ…???…課長の奥さんと、佐津香さんの匂い、同じだって事…???」 「いやいやいやいや。愛結美さん。だから、それ、私、さっきから言ってるし~~。」 思わず佐津香、 「ぷっ。」 「何々。」 愛結美の声。 「何々、じゃあ、何。課長、佐津香さんを~~~~???…う~~~っそ。ほんと…???」 瞬間、佐津香、今度は右手で顔を覆い。 小埜瀬もそのまま佐津香を見て、顔をクシャリと。 順平は小埜瀬を見て慰めるような顔で。 菜帆子、愛結美の声に、 「ん~~~~~。そこが難問。」 今度は菜帆子も口を噤んで、両眉への字。 愛結美の声、 「な…、難問って…。へっ…、どういう事…???…いや、だって今、あんた。…って言うか、現に、課長の奥さんと、佐津香さんの匂い、同じだって…。」 「とは、言った。」 菜帆子。 「ただ…。」 「ふん。」 「ただ…。…まぁ~~~。何て言うか~~。課長が言う。亡くなった奥様の匂いと~~。佐津香さんの匂いが~~。同じで~~。そしてそれにお酒。…でぇ~~。そんでもって~~。その匂いで~~。課長がクラ~~~っとなって~~。ぶっ倒れた。…と~~しても~~。」 愛結美、 「うん~~。」 「とは言え~~。ふたり…、互いに~~。」 好きになれない。 vol,230. スピーカーからの愛結美の声。 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.04.17 05:12:02
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