「小埜瀬さんが最初のお客様。」 | THMIS mama “お洒落の小部屋”

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好きになれない。  vol.117.

ドキドキ その声に峻も奈菜も目をパチクリと、
「ほぉ~~~。」
「へぇ~~~。」

奈菜、ニッコリと、
「うんうんうん。」
チラリと小埜瀬を見て。

峻は焼き鳥を焼きながら、そして奈菜は…。そしてふたり同時に、
「小埜瀬さんが最初のお客様。」

峻と奈菜、顔を見せ合い、
「ふっ。」
「ぷっ。」

武一、
「それも、とっても優しいお客様だったんだって。」

峻、いきなり、
「おぅ~~。へへへへへ。」

奈菜も小埜瀬を見て、
「あら、まぁ~~。」

武一、ニヒルな顔で、
「ただ。しっかりと。頑固な事はあります。…でも、先輩と一緒に先輩のお手本も見て来たんですけど…、他のお客様とは違って、あぁだのこぅだの、文句言ったり、わがまま言ったり、侮辱するなんて事、全然なくって…。」
小埜瀬をチラリと見て、そして峻と奈菜を見て、
「確かに、小さな家なんですけど…。確かに、考える事はありました。」
今度は腕組みをして、
「…でも、私には、凄い優しく接してくれたんです。本当に感謝してます。…だから~~。…だったそうだ。」

峻、思わず口笛、
「ヒュ~~~。」

奈菜も、
「あら、まぁ~~。優しい~~。」

峻の隣の料理人、
「唐揚げ、上がりました~~。」

奈菜、
「あっ、うん。ありがと。」

武一、漬物を一口。
「…で…。そんなこんなありながら、今度はその不動産屋の彼女も一緒に、未だ目が覚めない小埜瀬さんを運んで、部屋まで。そして、彼女が押し入れから布団を出して、敷いて、4人で布団に小埜瀬さんを~~。…と、言う。…これが~~。事の顛末。」

小埜瀬、話を一部始終聞いて、思わず顔を下げて、額を右手で覆う。そして、
「はぁ~~~。」

奈菜、唐揚げをふたりの間に。そして、小埜瀬の背中をポン。
「な~~んだ~~。小埜瀬さん、優しいじゃない~~。ははは。」

峻も、その声に、焼き鳥を焼きながら、小埜瀬をチラリと見て、
「へへへ。」

武一、ビールを一口。
「まっ。そういう事だ。…でぇ~~。最後に。佐津香さんから一言。男の沽券にも関わりますから、他言無用。キッパリ。」

峻、その声に、
「けけけけ。」

奈菜は、
「な~~るほどね~~。」

武一、唐揚げにレモンを。そして一口。
「うん。旨い。」
そして、
「当然ながら~~。この事は、俺と、当事者の佐津香さん。愛結美。菜帆子、順平の5人しか知らない。…ただ…、タクシーには4人は乗れないから、愛結美だけは、先に別れたけどね~~。菜帆子から事の次第は聞いている。4人も暗黙の了解。…って訳だ。」

峻、焼きながら、
「へへへへ。」

奈菜、
「そぅ~いう事だったんだぁ~~~。」

小埜瀬、カウンターに両手を就いて、
「申し訳ない。」

いきなり武一、右手を振って、
「いやいやいや。俺に謝ってもらっても…。かかかかか。」

奈菜、
「そうよ~~。…だ~~って~~。仕方ないじゃな~~い~~。そういう状況になってしまったんだも~~ん。」

何ともいたたまれないような感じになっての小埜瀬、
「まぁ~~。…そうなんです、けど~~。」
そして顔を下に、ゆらりゆらりと…。
「なんとも…。情けない。…酒に酔った挙句に…。我が身も忘れて、酔い潰れて…。しかも…。…しかもですよ。」
困ったような顔で、
「事もあろうか、一切、目を覚まさずに、みんなに…、運んで貰ってタクシーに。それに…、何と、家まで。そして、部屋まで。そして…遂には布団にまで。」
そこまで一気に喋って。…そして、溜息。
「はぁ~~~。」

峻、小埜瀬を慰めるような顔で見つめて、
「まぁ…ねぇ~~。」

奈菜は、
「まぁ…。」
そして…、
「でも…。サッちゃんだもん。まっ。そのくらいまでは…、やるでしょうね~~。…とにかく、面倒見の良い人だから~~。ねっ。武一~~。」

「同意。」
武一。
「彼女には、逆らえませんからね~~。とにかく、周りを鼓舞する人だから。」

「かかかか。良く言った武一。」
奈菜、けらけらと笑いながら。

小埜瀬はシュンとして、
「頭、上がらないっすよ~~。」

武一、そんな小埜瀬に、
「何言ってんのぉ~~。これからっすよ。これから。ホィ、ビール飲んで。乾杯~~ぃ。」
小埜瀬、元気なくジョッキを持ってて、吉竹のジョッキに、カチンと。

武一、
「全然。さっきからビール、進んでないし~~。ほぃ。飲んで飲んで。」

その声に小埜瀬、何とか、意気を取り戻し、
「はい。すんません。」

武一、
「ま~~た、謝る~~~。謝んなくっていいって~~。ほれ。」

小埜瀬、何とか…。ビール、最後まで。そして、
「すんません。お代わりお願いします。」

奈菜、ニッコリと、
「はい。…って言うか、小埜瀬さん。酔って、眠って、一切目を覚まさないって…。今まで、あったの~~???」

その声に小埜瀬、眉間に皺を寄せて、顔を傾げて、
「いや~~~。…多分…、初めて…かな…???」








好きになれない。   vol,104.  「小埜瀬さんが最初のお客様。」

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