「…で、佐津香さん、俺に電話をしたらしい。」 | THMIS mama “お洒落の小部屋”

THMIS mama “お洒落の小部屋”

好きになれない。  vol.114.

ドキドキ 小埜瀬を見て武一。何かしら、慰めるようにも…。
小埜瀬、目を瞑ったままで、口を開けて、ガッシリと歯を噛み締めるように…。

武一、
「…で、佐津香さん、俺に電話をしたらしい。」

峻、
「おぅ…???」

小埜瀬、目を瞑ったままで、
「かぁ~~~。」

「…けど…。俺…、歌ってて、そんな事は、全く…。」

奈菜、右目を歪ませて、
「スマホの着電、聞こえなかったの…???」

武一、首を振り、
「全く…。…って言うか、圭衣子、ウチの宴会部長~~。タンバリン持って俺、担ぎ出すから~~。」

いきなり峻と奈菜、
「かかかかか。それは言える。あの子は乗せるからね~~。」

奈菜も、
「うんうんうん。あれだけのマスクで…。しかも、歌い出したらマイク放さない。しかも、ダンスもセンスあるからね~~。」

小埜瀬、目をパチクリと、
「あぁ~~。確かに…。何だか…、誰よりもテンション、上がってたような…。」

武一、
「でぇ~~。佐津香さん、俺が電話に出ないからって、順平に電話したらしい~~。あいつ、飛んでったそうだ。…で、4人掛かりでタクシーに乗せて~~。」

またまた小埜瀬、両目を瞑って。ガックリと…。
峻と奈菜、そんな小埜瀬を見て、小さくクスクスと笑いながらも、慰めの眼差しで…。

「まっ。タクシーには乗った。…んだ…、けど~~。ここで問題勃発。」

瞬間、峻と奈菜、ふたり同時に、目をパチクリと、
「はっ…???」

武一、口を噤んで、体を起こして…。
「問題は~~、家。」

峻と奈菜、またもや、
「家…???」

武一、
「知るはずもないでしょ、小埜瀬さんの自宅~~~。」

途端に峻、奈菜、目を真ん丸に、そして口を開けて、
「あ~~~~。」
「なるほど…。…確かに。」

「そんな…、仲の良い友達ならねぇ~~。ちょくちょく、遊びに行ったりとか~~。」

峻、腕組みしながら口をガッシリと噤んで2度程頷く。
「うんうんうん。」

奈菜も、
「う~~~。ま…ぁ、ねぇ~~。」

武一、小埜瀬を見て、
「…けど…。」

峻も奈菜も、
「小埜瀬さんの場合…。」

「赴任して1ヶ月…。…では、あるけど…。…俺すら、小埜瀬さんの自宅を…、知らない。」

峻と奈菜、またまた小埜瀬を慰めるような表情で、
「あ~~~。」

「佐津香さんの話によると…、申し訳ないけど、小埜瀬さんの身体検査、したそうな…。」

峻、今度は、
「おぅおぅおぅ。」

「確かに。身分証明…、なるはずの…、免許証…。」

いきなり峻、
「ナイス。」

「なんだ…、けど~~。…残念ながら…、まだ…、仙台の住所。」

奈菜、いきなり、
「え~~~~~???」

小埜瀬、頭を垂れたままで…、小さく、
「面目ない。」

けれども峻、目をパチクリとさせて、口を尖らせて、
「いやいやいや。…で…???…で…???…その先…。」

「…で、佐津香さん、その時点で俺に、電話…。」

峻、腕組みしながら、
「な~~るほどね~~。」

「…とは言っても…。…いや…。」
武一。
「…ってか、俺に電話されても…。…小埜瀬さんの…自宅…。俺も困ってさ~~。」

峻、
「…ん…???…確か…。小埜瀬さん…。家の窓からは、東京タワーが見えるって…。言ってなかったっけ…???」

その峻の声に小埜瀬、
「あ、あ~~はい。芝公園なんです。」

「そう。俺もね。佐津香さんには、芝公園って…。…そしたら佐津香さん。分かった。ちょっと待ってって。」

奈菜、
「へぇ~~~。」

峻も、
「芝公園で…。」

小埜瀬は黙って話を聞いている。

武一、
「それからが凄い。なんと佐津香さん、小埜瀬さんの財布の中から一枚の名刺。」

小埜瀬、
「名刺…???」
語尾を上げて。

峻と奈菜は、
「名刺…。」
語尾を下げて。

「不動産の名刺なんだと。」

瞬間、峻、パンと手を叩いて、
「そっか。不動産。な~~るほどね~~。」

小埜瀬も口をぐんにゃりとさせて、
「なるほど~~。」

けれども奈菜が、3人をそれぞれ見ながら、
「えっ…???…えっ…???…って、どういう事…???…不動産の名刺って…。」

その声に峻、武一に、
「つまり、こういう事だろう~~。なな。」
右手を上げて、人差し指を出して。
「多分、その不動産屋。小埜瀬さんの家、紹介した不動産。」

瞬間、小埜瀬、口を開けて、
「あ~~~。はいはい。いました~~。確かに。20代の若い女性が、担当になってくれたんすよ~~。」

すぐさま奈菜、小埜瀬を見て、睨むように、
「あ~~ぁ~~。」

瞬間、小埜瀬も奈菜を見て、目を真ん丸にして、右手をヒラヒラと。
「いいいいいや、いやいやいや。何々…、そんな~~。」
クシュンとして小埜瀬、
「おカミさん、勘弁してくださいよ~~。」

そんな小埜瀬に奈菜、舌をチロリと、
「へへ。冗談よ、冗談。」

峻は峻で、小埜瀬を慰めるような表情で…。そして峻、武一に、
「…で…???」

武一、
「まっ。確かに、不動産の名刺。まっ。けど…、確証はないわな。」








好きになれない。   vol,104.  「…で、佐津香さん、俺に電話をしたらしい。」

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


《PR》

庄司紗千「海をこえて」
※ご本人の承認の下、紹介させて頂いております。

アメーバ