THMIS mama “お洒落の小部屋”

THMIS mama “お洒落の小部屋”

好きになれない。  vol.112.

ドキドキ  「残念ながら、私は見てないんですけどね~~。店の近くで…、佐津香さんたちとは、タクシー、定員オーバーだからって、そこで別れたんです。」
愛結美。

小埜瀬、
「そうだったんですか~~。」

「あれ…???…でも、課長、さっき課長、お子さんがいらっしゃるとか…。…そんな風に聞こえましたけど…。奥様、亡くなったのが…。」
菜帆子。

愛結美も、
「あ~~。うんうんうん。そういえば。」

順平は黙って話を…。
「……。」

小埜瀬、小皿にまたおかずを。
「えぇ~~。倅が…、ひとり…。いや…。今、どんな事をやっているのか、なんて、てんで…。全く分からずじまいで…。大学に入ってからは、まぁ~~。しっかりと、家を出てってしまって…。」

愛結美も菜帆子も数回頷いて。

「まっ。アパートの保証人頼むから名前って…。それだけで、全く家には寄り付きもしない。…で、私も仕事に感けて家を留守にするばかり。そのうち、倅とは音信不通。どこにいるのやら…。」

順平、
「息子さんって、何歳くらいに…???…確か…。」

小埜瀬、順平を見ながら、
「今…、確か…、26…???」

瞬間、佐津香、口を絞って。

いきなり愛結美、
「あれ…???…確か、佐津香さんの…、優維香ちゃんも…、26。」

菜帆子、
「あ~~。うんうんうん。そうそう。」

そして、菜帆子、
「まぁ~~。課長だから~~。まっ。その位の年齢の子供…???…いたとしても、それ相応…、だけどね~~。…あ。でも…、課長。その…、息子さんとは、その…大学から今までって、何の…、音沙汰も…???」

小埜瀬、
「あ~~。はい。まっ。1年に、2回位は…、電話掛かってくるかな…程度に…。」

「…って…、年に2回って…、それだけ…???」
愛結美。目をパチクリとさせて…。

その声に小埜瀬、
「えへ…。まぁ~~。…お恥ずかしいお話なんですけど…。」
おかずを食べながら、
「まぁ…。…何て言うか~~。鉄砲玉みたいなトコも、あるみたいで…。…けど…。まぁ…。産まれてすぐに母親を亡くして…。…可哀そうでもあるんですけど…。母親の愛情って、全く知らなくって…。」

菜帆子、口を搾って、
「あ~~、うん。…ですよね~~。」

「まっ。…でも、その代わりと言っちゃあ変ですけど…。母親の代わりに私のおふくろが…、まぁ、その…、母親代わりに…。」

愛結美、
「あっ、そっか…。」

「だから…。…どちらかって言えば…、子供の頃は、完璧なおばあちゃんっ子。」

菜帆子、
「うんうんうん。…そぅなりますよね~~。」

「…でも…。まっ。中学に入って、そのおふくろも、いきなり倒れて…。亡くなってしまって…。その時…、私…、傍にいてやれなかったんです。」

瞬間、順平も愛結美も菜帆子も、
「えっ…???」

佐津香だけは黙ったままで…。

順平、
「えっ…???…でも、どうして…???」

「おふくろ、家で倒れて、倅が家に帰った時に、それに気づいて…。物凄く恐かったと思います。」

「その時、息子さんって…。何歳の…。」
佐津香。

小埜瀬、おかずを食べながら、
「14歳です。」

菜帆子、
「…って事は…。」
佐津香と愛結美を交互に見て、
「中3…???」

佐津香、コクリと。

愛結美、
「うんうんうん。」

順平、
「中3かぁ~~。」

小埜瀬、
「病院に駆け付けた頃には…、もぅ…。」
小埜瀬、申し訳なさそうな顔で、
「いきなり、倅から大きな声で、バカヤロウ~~って。」

愛結美、菜帆子、順平、
「あ、あ~~~。」

「医師から聞いた話だと…。確かに、119番で通報はあったと…。…けど…。搬送されたときは、まだ…、意識はあったそうなんです。…で、倅も一緒に救急車に…。…でも、その時、倅が持っていたものが、おふくろの財布だけ。まっ。確かに、財布にはあれこれと身分を証明できるものは…。ただ…。私の連絡先なんて、全く…。…で、警察の方で…。…けど…。私の方に警察からは…全く…。」

「…で…???」
愛結美、目を真ん丸に、
「…どうされた…んですか…???」

小埜瀬、
「近所に、良く一緒に飲みに行く、ご近所さんがおりまして…。子供が、親に、寝る頃になって、夕方近くに、小埜瀬さんとこに救急車が来てた~~。って、言ったらしく。その子の父親が、私の電話番号に…。…で、初めて知ったと…。搬送されてから6時間…、過ぎてました。…夜遅く、病院に行った時には…、もぅ…。…倅もそのまま病院から出てって…。」

4人、黙り込む。

小埜瀬、思い出すように、
「それから…、ですかね。…まず、私には、何も喋らなくなってしまって…。…で、その頃からです。自分の事は全て、何でも出来るように…。…例え、失敗してもやり直すって…。」
小埜瀬、愛結美と菜帆子、そして、佐津香を見て、
「私なんて…、蚊帳の外です。」








好きになれない。   vol,111.  「課長、さっき課長、お子さんがいらっしゃるとか…。」

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