『天災と国防』寺田寅彦(2011、講談社学術文庫) | 倉山塾東北支部ブログ

倉山塾東北支部ブログ

倉山塾東北支部は、読書好きな人たちが集まるグループです。楽しみながら知識を深め、情熱を共有し、新たな友人を作ることを目指しています。
このブログではメンバーが執筆した読書感想文をご紹介します。

 

天災と国防 (講談社学術文庫)

 

天災と聞けば本年の元日にあった

能登半島大地震を思い浮かべる。


他に3月になれば東日本大震災(2011)。

9月になれば関東大震災(1923)。


大震災は様々なところで起こっているので

防災意識を高めておきたい。


さて国防に興味はあるが

防災がどうして国防か。

ちょっと考えてみたい。


軍事施設は大体、地上にある。

地震、火災、洪水が発生すれば

整備場、宿舎、弾薬庫が

使えなくなる可能性がある。

これでは継戦能力がなくなり戦えない。


天災による軍事施設の破壊を防ぐには

建物を耐震、耐火設計にする、

地盤が硬い場所に建てる、

浸水実績のある場所に建てないなど

様々な策がある。


つまり防災対策は天災から

軍事施設を守るので国防になる。

外国からの侵攻や内乱に備えるだけが

国防ではない。


天災や内乱のような有事では

怪情報が人を通じて飛び交うものだ。


本書でハッとさせられた指摘として

流言飛語の責任は

市民にあるということ。


言い換えれば、

発信源だけのせいではない。


有事に流れる情報は

ショッキングなものもあるので

狼狽するかもしれないが

本書にあるとおり

持ち前の知識で

どこまで本当かを

冷静に考えるしかない。


そうすれば恥もかかず

恐れを過剰に抱かず

他人を惑わせずにすむだろう。