新作「等身大の僕とコビトのボク(上・下): マクロフィリア&アルトカルシフィリア」 | 天使の刻印 - 葉桜夏樹 Blog

 

 

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等身大の僕とコビトのボク(上):マクロフィリア&アルトカルシフィリア

 

【あらすじ】

マクロフィリア(巨大女性へのフェティシズム)&アルトカルシフィリア(女性から踏まれることに興奮する性的嗜好)の物語。女性を崇拝し、女性の脚や足や靴を追いかけ行為としては女性から踏まれることを妄想する僕は、その変態じみた性癖のはけ口を、自分で描く変態マンガやコビト人形を使った呪術に求めるようになる。高校卒業して引きこもりになった僕は部屋で一日じゅうマンガを描いている。やがて妄想やマンガの世界が、リアルな世界と混在するようになり、父のすすめでアルバイトをはじめるが、そこで僕はその性癖のせいで醜態をさらしてしまう。そのあまりにも奇異な僕の行動を知った父は、僕を無理矢理に精神科の病院に受診させる。ところがその病院の案内パンフレットにのっていた医師は、僕が高校のときからずっと憧れ続けた同級生の莉子だった。


【内容から一部抜粋】

僕は(自画像の僕をとおして)体育館地下の床や女子トイレの床と同等になれたのだ。そのとき僕は莉子だけではなく、ほかの女の子たちからも踏まれることを望んでいることをはっきりと自覚していた。彼女たちに踏まれて怪我程度ですむのであれば踏まれてみたい。しかし、もし僕が虫とか小動物とか、たとえばコビトだったとして、踏まれたら終わり、要するに一回限りの命、踏み殺されて死ぬのであれば、それは莉子以外にはあり得ない。やはり僕の本命は莉子なのだ。



僕はぺしゃんこに踏みつぶされた虫だった。バレーボール部の女の子たちは、みんな僕より背が高く体重も僕より重いはずだ。そんな女の子が何人も同時に僕の仰向けの体に踏み乗ったのだ。踏み殺されてもおかしくなかった。死んでもおかしくなかった。ついでに言えば、こんな性癖でもなければとてもたえられなかった。踏まれたいという執念が命を救ったと言える。



三人の女の子たちが見えた。巨大だ。コビトのボクがいる女子トイレにむかって歩いてくる。女の子たちの話し声が大きくなる。巨大な三人の女の子をコビトのボクは正面から見ている。一人はクラスの戸田綾だ。十人並みのそこそこ可愛い女の子だ。あとの二人も同じくらいに可愛い。巨大な三人のローファーがマットに迫る。マットの上の自画像の僕に迫る。コビト目線——ボクの目線は——変態マンガの世界そのものだ。

 


等身大の僕とコビトのボク(下):マクロフィリア&アルトカルシフィリア

 

【あらすじ】

マクロフィリア(巨大女性へのフェティシズム)&アルトカルシフィリア(女性から踏まれることに興奮する性的嗜好)の物語。コビト人形の呪術でコビトになったボクは等身大の僕の高校時代にトリップする。そこで、かねてからネットでの知り合いだったハヤトやシゲッチと出会うが、ハヤトは家守(やもり)、シゲッチは蛙(カエル)の姿になっていた。コビトのボクは彼らと8年前の等身大の僕がしでかした残酷な行為を、コビトや小動物の視点で体験することになる。ハヤトとシゲッチを失い、そのあとリアルな世界で莉子と再会した等身大の僕は、彼女のそのあまりにもサディスティックな本性を知ることになる。等身大の僕とコビトのボク。異なる視点での踏みつけ地獄のなかで僕の頭は崩壊する。


【内容から一部抜粋】

それでもかまわず僕の唇は本底のギザギザにふれる。靴底は冷たく硬質だった。あたりまえだった。何かを踏んでも——たとえば石とか、かたい突起物を踏んでも——彼女の素足の足裏を守らなければならないのだ。そして——たとえば虫とか蛙とかの生き物を踏み殺したかも知れない——その靴底に僕は今、キスをしている。体が熱くなる。唇は靴底に吸い付いてはなれない。



投げ終わった莉子が前を向いたままでうしろにさがる。巨大なスパイクの靴底がボクのいる白いプレートに迫る。コビトのボクは靴底のスタッドで轢断されるだろう。死ぬことを想う。コビトとして死ぬのは二回目だ。これで目がさめたらまた等身大の僕なのだろうか? それとも本当に死ぬのか? いや、これは呪術だ。そう思い込む。そう思い込むと恐怖が薄れる。いよいよ巨大な莉子のスパイクの靴底で空が見えなくなる。



その夜、踏まれた痛みは全身に燃え広がりベッドの上で火だるまになった。踏まれたあとの皮膚は青紫色に腫れあがり、ヒールのあとは穴になり、血もにじんでいる。ヒール痕は全身にある。早くその痛みが消えれば、と願う反面、痛みが消えて欲しくない、という思いもある。莉子の踏みつけの痛みをいつまでも感じていたかった。今となっては彼女とのつながりはこの痛みだけだった。

 

等身大の僕とコビトのボク(上):マクロフィリア&アルトカルシフィリア


等身大の僕とコビトのボク(下):マクロフィリア&アルトカルシフィリア