このブログで時々サイクリングのことを書かせていただいているのですが、実はわたくし、40になるまで一切運動をしたことがない超インドア人間でありました。山登るとか、前世でどんな悪事を働いたらそんな目にあうんだろう、などと思っておりました。
そんな人間ですが、ある時荒川サイクリングロードなるものを知り、そこから自転車に夢中。それまで思ってもみなかったいろんな思い出とともに生きることができました。自転車を知らなかったら味わえなかった感情、思考、それから努力したわけではないのですが、15kgの減量。自転車に人生を豊かにしてもらいました。
著者も同じような状態で自転車と出会ったのでした。
「心に怯えた犬を飼った臆病者でも、自転車に乗れたし、むしろそんな人をこそ軽々と遠くに連れていってくれるのが自転車だ。生活の足にするだけではなく、自分の足で遠くまで行く喜びに気づかせてくれる」
電動アシスト自転車を手に入れた著者は、自転車とともになにかに目覚め、すぐにロードバイクが欲しくなる。わかる! ぼくも安価な自転車を購入したあと、すぐにロードバイクが欲しくなり、財布をはたいたのでありました。
「自転車を好きになって、私の生活は大きく変わった。空気の層や風、地面の衝撃を感じながら道の上を走り、海の横を流れるように並走する。自分の体でこんなに遠くまで来たんだ、という感覚。体力のない私でも、自転車ならそれが叶う。そして何より、自転車に乗るのは気持ちいい。それ自体が喜びなのだ」
自転車に夢中になった者が味わえる感覚が素敵に表現されています。何度も何度も頷きながら読み進んだものです。
「自転車を通して、私は世界に恋をしている」
自転車を漕いで出会った様々な美しい景色を思い出しつつ、深く感じ入るのです。大きく開けた田畑、鴻巣のポピー畑、爽やかな風に身を包みながら空と水の青さに心ときめかせた霞ヶ浦、寒さに震えながら下った峠、楽しかったことも美しかったことも辛かったことも、全部自転車が与えてくれた思い出です。
「どこまでも行ける。
どこにだって行ける。
自由だ、という気がした。
この自由を味わうために走るのだ、きっと。
走りたいと思ったとき、すべてが変わっていったのだった」
さあ、一緒に走り出しませんか。
近所に桜の名所があるおかげで今年はたっぷりお花見を楽しむことができました。ラクーアで買ったお惣菜で昼酒を楽しみます。桜が言い訳になるので昼酒に罪悪感なし。
そんな楽しいお花見時期も過ぎ、川には花筏。でも、もうちょっと桜を楽しみたい。そんなわけで桜を求めて自転車にまたがったのでありました。調子良く荒川を北上していたところ、なんとパンク。
パンク修理中、外したヘルメットにお客さんが。何年か前、北岳から間ノ岳に向かっている途中ずっとてんとう虫がシャツにへばりついてたことがあって、どうやらてんとう虫に好かれる癖があるようです。
桜の咲く頃、このあたりの人たちはパトカーの収穫で忙しいそうです。
歳を重ねても、いえ、歳を重ねたが故にタンパク質の摂取に関して意識的にならないといけません。とはいえ、脂が多いものは体にとってあまり好ましくない。ということで重宝するのが鶏の胸肉。タンパク質豊富で脂肪分が少ない。
ところがふつうに蒸したり茹でたりすると、ちょっとパサパサで食べにくかったりするのです。ここが難点。で、最近知って重宝している料理法がブライン液に一晩漬けるという方法。
200mlの水に、塩10g、砂糖10g溶かしてそこに胸肉を一晩漬けます。翌日、鍋に水を張り、そこに漬けておいた胸肉を入れて煮ます。沸騰したら火をとめて、そのまま放置。冷めたら適当な厚さに切れば、立派な鶏ハムのできあがり。
これがしっとりしていて、全然パサつかずおいしい。毎日でも食べられるくらい。ワサビ醤油でも食べるラー油をかけてもだいたい美味しいです。ぜひ、一度お試しください。
キャノンが全国の伝統的な祭事をサポートしていることを初めて知りました。「まつりと」というプロジェクトです。
まつりと、とは。「全国各地の伝統行事等や民俗芸能はコロナ禍で開催が困難になり大きな打撃を受けました。キヤノンマーケティングジャパンは文化庁からの委託を受けて、映像制作や写真撮影、オンラインによる情報発信、現地での運営サポートなどで伝統行事等をサポートします。本ウェブサイト「まつりと」では「日本の祭りを探検する」をテーマに、祭りや伝統行事等の魅力を多角的に発信していきます」ということです。
ウェブサイトはこちら。 https://matsurito.jp/about/index.html
今回、秋田の人形道祖神プロジェクトからのメールで「まつりと」を知り、それで伺ったわけです。
こちらは5年前に秋田で見た鹿島様。初めて見たときは思わず声を上げてしまいました。秋田の各地に祭られ、大きいものは4mを超えます。
JR品川駅港南口からペデストリアンデッキを経て品川のキヤノンギャラリーへ。すごい都会です。
実はわたくし、学生時代、日本民俗学研究会というサークルに属しておりまして、フィールドワークを行ったり、祭りを見学に行ったりしていました。今でも民俗学の本を読んだり、祭りを見に行くことが大好きなのです。
こちらは先程の鹿島様の家庭版、地域の穢れを担って川に流されたり、燃やされたりします。
ほかにも、大変興味深い展示がてんこ盛り。さらにYouTubeの「まつりとチャンネル」で各地の祭りを撮影した動画がアップされているので、貴重な映像に触れることができます。キヤノンえらいです。
サイトはこちら。 https://www.youtube.com/@user-mn1zf1rc5r
キヤノンギャラリーで3/4まで。日曜・祝日がお休みなので要注意です。
掃除に明け暮れ、ほとんどインドアで過ごしたGW(おかげでようやく人類が暮らせる最低限の部屋になりました)。唯一出かけたのが野生のつつじを愛でに出かけた高山不動。どうやらシャニダール遺跡のネアンデルタール人なみの感性が身についたようです、このホモサピエンスにも。
西吾野駅で降りてハイキングコースを登って行けば、左右に広がるつつじたち。オレ ハナ スキ。
立派なお不動さんにお参りします。祈りは古代から続く人類のなりわいであります。
つつじのトンネルをくぐって、関八州見晴台へ。そこでお昼ご飯を作って食べます。
調理油は便利な検尿スピッツに入れて持参します。大丈夫です、まだ2回しか使っていませんから(うそです)。
肉野菜炒めを食べながら赤ワインをたしなんだりします。われわれが狩猟採集民であった何百万年もの間、こうやって外で食べ、飲んでいたのでありました。たかだか1万年ちょっとの農耕生活がわれわれの身体を変えることはできないのでありました。だから、だいたい外で飲み食いするとおいしいし、楽しい。
予約していた帰りのラビューまで時間があったので、下山して長瀞の岩畳へ。なんだか人生ゲームの乗り物みあふれるボートを眺めながらビールを飲みます。川のほとりの飲食も最高でした。
その奇祭に参加したのはもうかれこれ10年も前。全国から選りすぐりの山田者が埼玉に集い、山田を寿ぐ、その名も山田うどん祭。
山田うどんの存在は補給場所が乏しいサイクリングロード周辺において、荒川ローディーにとってまさに命綱。命の恩人。そんな山田うどんも進化を遂げ、もはやうどんにとどまらない全方位的なメニュー展開を繰り広げるようになり、店名も山田うどんから山田うどん食堂へと発展。山田者としてこれを寿がずにいられようか。否、断じて否。春めいた季節、自転車シーズンの幕開けにぴったりじゃありませんか、山田うどん。行くぞ、山田、この想い、受け止めて! 山田からすれば過剰な感情は迷惑でしかないかも。
まあ、そんなわけで自転車で出かけるわけですが、ぼく一般道あんまり好きじゃないやい、というサイクリングロードお坊ちゃまのわたくし。甘やかされて育ちました。そんなお坊ちゃまは自転車を袋に詰めて有楽町線和光市駅へ。20km足らずの一般道すらイヤイヤ期。和光市駅で自転車を組み立てて、5分ほどで山田うどん食堂和光北インター店へ。
おいしい朝食でおなかを満たすと、お店から数分で勝手知ったるわたしの荒川へ。荒川と出会わなかったら人生違ってました。自転車にも乗っていなかったし、体型も今とは全然違ったものになっていたと思います。荒川も山田も宝物(割と入手容易な宝物なので幸せの閾値結構低めで生きています)。さて、どんどん荒川をさかのぼり、やがて鴻巣あたりで分岐する武蔵水路へ。武蔵水路は父利根川、母荒川を両親に持つ、いわば水路界のサラブレッド、御曹司。この武蔵水路沿いが大変走りやすいので、かつては熊谷から一般道を通って利根川にいたっていたルートに代わり、すっかりこちらがおなじみさん。水路近くにはさきたま古墳群、古代蓮の里など見どころも多い中、本日はこちら、石田堤。
映画「のぼうの城」などでおなじみ、水攻めするために作られた堤ですな。自然堤防を利用したりなど地形的にも興味深いものであります。途中そんな寄り道もしつつ、わたしと愛車は武蔵水路から利根川を目指すのでありました。
前回までのあらすじ。
悪の怪人から地球を守るヒーローたち。必死の努力で怪人から地球を守っていたが、バイトの時間がやってきて、全員がラクーアのステージで超人ショーに出演している間にまんまと地球が征服されてしまう。時給が前のバイトより200円高かったのがいけなかったか、それとも、日本が貧しくなっている状況がいけなかったか、今となっては誰もわからない。
しかし、これはまだ、地球が征服される前の2022年のある朝のこと(あからさまに出だしから嘘を書いてしまった……)。ふて寝をしていたものの、8時くらいになったら雨もやみ、そろそろ出かけないとほんと拷問にかけられるかもしれない、しぶしぶベッドから出たものの、5時に出発しての100km超のコースはもう行く気がありません。なわけで、取手まで電車で行ってそこから自転車の旅。
そもそも今回の旅路は、江戸川~利根運河~利根川、途中、道の駅 発酵の里こうざきでお昼ごはんを食べて、それから本日のお宿ルートイン香取までの100km超コース。それが雨のせいで大幅に短縮、取手~道の駅こうざき~ルートイン香取までおよそ60km。まあ、そんな日もあります。
ネットで調べると右岸は一般道か未舗装ということで、利根川サイクリングロード左岸を走ります。しかし道の駅は右岸、なるべく近い橋を使おうと地図を見ると、国道468号線新利根川橋が道の駅こうざきに一番近い橋のようです。さあ新利根川橋い近づいてまいりました。「あれれぇ、おじさん」ここはコナンの声でどうぞ。「自転車で渡る橋にハイウェイラジオの看板があるよお」「大丈夫です」ここは一休さんの声でどうぞ。「端じゃなくて真ん中を渡ればいいんですよ」うるせえな、おれの頭の中のこまっしゃくれたガキども。空腹がわたしの思考を粗暴にします。そんなわけで、一番近い橋は渡れず、近所の飲食店を探すもののなぜか全部準備中。空腹に涙を流しながら一本先の橋を渡り、そこから引き返して道の駅へ。今回の愚か者ポイント1です。
しかし、道の駅発酵の里こうざきで食べた豚肉の味噌麴定食は箸がとまらぬほどのおいしさ。帰ったらさっそくお昼のお弁当の参考にしようと思いました。
自転車じゃなかったら買って帰りたいものがわんさか、と。サイクリングの途中道の駅って結構寄るのですが、荷物が持てないところが悲しいところです。
お腹もふくれてニコニコと佐原に到着。伊能忠敬で知られる町ですが、その雰囲気もよく、この町目当ての観光に来ても楽しいのではないか、と。
香取神宮一の鳥居。まるで川の向こうからの何かを待ち受けているかのような鳥居です。ホテルにチェックインすると、なんと宿泊料金が割引のほか、1000円のクーポン券がもらえました。宿泊の今日・明日限定、また千葉県での使用のみですが、明日まで自転車旅を続けるわたしの旅程に問題なし。まあ、愚か者ポイント1で済んでまずはめでたし、めでたしの1日目でありました。
お久しぶりです。これからは頻繁に更新するなどと言った舌の根も乾かぬうちに2か月も経ってしまいました。前回銚子に行った次の週、コロナ陽性となり療養。症状自体はそれほど重くなかったのですが、いろいろあって鬱が発症。食欲はなくなる、不眠になる、なかなか辛い日々でした。
そんな症状も徐々におさまったものの、今度は転倒して肋骨にひびが入る始末。HK(踏んだり、蹴ったり)状態。しかも週末、三連休はいずれも台風や雨の悪天候。ようやく次の土日に雨が降らない予報を見たときに、ついとっさにホテルを予約してしまいました。一泊二日で霞ヶ浦を自転車で回ろう、と。そして土曜日はウキウキ朝5時起き。遮光カーテンをシャッと開けたら、信じられない、雨降ってる………。え、なにこれ? 弊社聞いておりませんが。
とはいえ、ホテルは予約済。当日キャンセルなんかしたら死に至る拷問とかされるんでしょ、きっと。少なくとも爪は全部はがされること必至。ねえ、きみ知ってる? 爪を剥がす拷問の素敵なところ。それはね、爪は10枚だから10回我慢すればいいと思ってるでしょ? でもね、爪はまた生えるんだよ、永遠に痛みを与え続けることができるのだよ。素敵だと思わないかい?とか言われながら爪をはがされるんでしょ? ホテルさえ、ホテルさえ予約しなければこんな目に合わずに済んだのに。
なわけでキャンセルもできず、かと言って雨の中自転車で行く気も起きず、世の中のいろんなことを呪いながらとりあえずふて寝します。ベッドの中で、ふと爪を見て、「爪は お前の爪はまだあるか」などと呟きます。爪まだあります。そうだ、爪のある内に起きてホテルに行かなくては。ぼくはぼくの爪を守るんだ。せっかくの週末、楽しむためではなく、ぼくは自分の爪を守るために自転車で旅に出るのでした。