先日、audibleで聞いた原作。映画の方を、早速鑑賞いたしました。
ああ、こんなだったこんなだった、と思い出しつつ、本を聞いた記憶なのか、前回の映画の記憶が甦ってきているのか、不思議な感覚で見ていたんですが。
と、同時にどんどん書籍版の方の展開も忘れていくという、すでになんやら、ボケが強烈に進んでいるな、なワタクシの頭脳なのでしたが。
今回は一切のネタバレをしない、という誓いを立てながら書くのですが、映画と書籍の方は、ラストが完全に違っています。映画オリジナル、という宣伝文句たったのかもしれませんが、このことによって、主役だれやねん、いや、まあ二人が主役、というのは別にいいんだけど、いやむしろ、主人公の森宮優子演じた永野芽郁さんよりも、 母親演じた石原さとみさんの方が、主役感あったね。
とはいえ、これは決して、永野芽郁さんの演技がイマイチ、ということでは全然ありません。むしろ逆で、ほんとに素晴らしい演技を披露してくれました。これは永野さんに限らず、上記の石原さとみさんもだし、 田中圭さん、 岡田健史さん、市村正親さん、大森南朋さん、 稲垣来泉さん、みんなほんとに素晴らしかったと思います。
原作は、一筋縄ではいかない、理解不能な面も多い主人公だったり、展開だったりするんですが、そういったヤヤコシイ要素はずばっと削って、めちゃくちゃ分かりやすいところだけ抜き出してて、狙いが明確だったと思います。
要は、感動的なシーンを感動させようと、苦みは全部取り去った、という感じかな。だから、深みというか、幅はなくなったけど、そもそも137分で、このドラマを描くのは不可能で、この割り切りが、映画として独立した素晴らしさを確立したと思います。それは、ラストの変更だけではなくて。
原作を読んでると、出てくる人全てが単にいい人、になってるのはちょい寂しい気もするけど、分かりやすくするのは悪いことじゃないしね。
原作を読んでる人には、結構考えることを与えたくれた映画ともいえて、ネットをあさると、映画と原作の違い、を解説してるサイトが多かったですね。
で、いつもワタクシが言ってる、粗筋を書くことの難しさと共に、映画をきちんと把握する、というも実に難しいということがよく分りました。別に、どう受け止めるかは、人それぞれ、つまりどう鑑賞しようが自由なんですが、ない描写をあると言ったり、あった描写に気がついていない、というのはどーなんだ、と思ったりもしましたね。
例えば、映画が気に入って何回も映画館に足を運んだ、というブログを読んでも、映画版では主人公のお父さんが東大卒、という描写が無かった、と書いてあったのには驚きました。いや、わざわざ映画見直して確認したけど、じゃあなぜ、石原さとみ演じるお母さんがこの人と結婚したのか、説得力が半減するでしょ。ラストでも分かりやすく説明してたしね。
先にも書きましたが、映画は、ドラマチマックにする、ということを優先しており、その伏線を貼る余裕がないのか、小説では感じさせる部分を、映画では口で説明します。
このタイトルの意味なんかまさにその典型で、ここは少し興ざめしますけど。
でも、この辺りは、小説を先に読んだことによる弊害、思い込みもあったんだろうな、と思います。ワタクシが読んだ文章の中で触れてなかった、ワタクシが感じた映画と原作の違いは、中島みゆきさんの曲が出てこなかった、ということですね。
これ、ラスト、結婚を許すお父さんの描写には絶対に必要だったと思うんだけど、まあ、こうした、文句を言うのも、原作を読んだからこその楽しみではありますけね。
変更したラストなんですが、分かりやすいんだけど、いろいろと辛いラストになってます。映画を最初に見た時、つまり原作を知らない時は、そこまでは思わなかったんだけど、この感動の向かせ方はどうなんだろう。はっきりあざといです。
けど、原作を知らない人はそこまでは思わないという気はするんですが、原作を知ってしまうと、いかにも安直な設定で、映画への評価はむしろ下がった気がします。
配役はもう最&高だったんだけどね~。とくに、出番は少ないんだけど、木野花さんと、戸田菜穂さん、そして朝比奈彩さんの配役には唸りました。細部への心配りが完璧で素晴らしい。
だから、もう少し「説明しない」「描かない」方向でも勝負して欲しかったなあ、と思わずにはいられなかったのでした。
説明しなけりゃ分かりにくい、したら説明しすぎ。このヘンクツジジイめっ。
☆☆☆
★★★
☆マークは、楽しんだ度を5段階で。★マークは、再び見たい度を5段階で表しております。基準は以下。
☆ 映画が見られる平和な世の中なだけでとりあえずは幸せ
☆☆ 単なる動く絵を越えて迫ってくるものは確かにある
☆☆☆ お~、なかなかいいじゃん。
☆☆☆☆ 幸せな時間を過ごした。映画って素敵。
☆☆☆☆☆ めちゃめちゃいいじゃないの。きゃりーぱみゅぱみゅ様「シネマJohn!」には及ばないけど。
★ 再び見るには、きゃりーぱみゅぱみゅ様の絶賛が必要。
★★ 再び見るには、きゃりーぱみゅぱみゅ様の支持が必要。
★★★ 再び見るには、きゃりーぱみゅぱみゅ様の興味が必要。
★★★★ おっ。興味あり。きっともう一度は見るであろう。
★★★★★ 残り少ない人生の貴重な、かつ新しい音、映画、書籍を探求する時間を割いてでも見る価値あり。きゃりーぱみゅぱみゅ様「シネマJohn!」には何者も及びませんけど。