ごっとさんのブログ

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点滴の回数と病気の重さとの関係

2024-04-21 10:32:18 | 健康・医療
私が現役のころ、薬の開発をしていると効果のある薬が見つかった次の段階がADMEでした。

これはA:吸収、D:分布、M:代謝、E:排泄、という体内に入ってからの挙動です。多くの薬は飲むことを前提にしていますが、どうしても腸管吸収されないというケースが出てきます。この場合は注射薬(点滴も含む)となりますがどうしても使いにくい薬となってしまいます。

私の場合もそうでしたが、入院していると何回も点滴を受けることが多くなります。これは別に重症だと多くなるという訳ではなく、患者の負担を減らすために点滴投与がされています。これは先ほどのADMEのうち、吸収・分布を解決する優れた方法とも言えます。

クスリの種類によっては、1日1回の投与と決められているものもああれば、1日複数回の投与が必要なものもあります。つまり軽い病気の治療に1日5回の点滴を要するケースもあれば、逆に重い病気でも1回しか点滴しないケースもあるわけです。

投与された薬は体内で代謝され、体の各部位で作用したのち、最終的に尿や便によって排出されます。簡単にいえばゆっくり代謝・分解され、必要な成分が体に長く残る薬なら投与回数は少なく済むという事になります。

ちなみに飲み薬の場合は、腸から肝臓を通り全身の血液に回りますので、肝臓での代謝・分解が避けられません。その点点滴は直接全身の血液に回りますので、この点でも優れた投与法と言えます。薬が体から排出される速さは、患者自身の持つ特性によって異なります。

例えば腎臓の機能が悪い人は、薬の成分を尿で体外に出す効率が悪いため、成分が体内に長く残りやすくなります。したがって抗生物質を含む多くの薬が、腎臓の機能に合わせて投与量や投与回数の調整を必要とします。

また「飲み薬より点滴の方が良く効く」という誤解もあるようです。ドラックストアなどで多くの飲み薬が買える一方、点滴の治療は入院して受けるのが一般的ですから、これが誤解の原因になっているのかもしれません。

点滴と飲み薬では前述のようにプロセスは異なりますが、いずれにしても薬の成分が全身を循環して病気の治療につながる点では同じです。薬の種類によっては飲み薬が作れないもの(点滴しかないもの)もあれば、飲み薬と点滴の両方のラインアップが用意されたものもあります。

これらの剤型から患者の病状に合うタイプを選ぶのが一般的です。私は肺炎治療のため、通院でも点滴を受けることが多かったのですが、やはり自宅で飲み薬を飲むのが最も楽な治療法のような気がしています。


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