つばた徒然@つれづれ津幡

いつか、失われた風景の標となれば本望。
私的津幡町見聞録と旅の記録。
時々イラスト、度々ボート。

企画展「あそびの道具」に寄せて。

2024年04月21日 13時13分13秒 | 日記
                    
わが津幡町の施設「津幡ふるさと歴史館 れきしる」に於いて、
企画展「あそびの道具」が始まった。

<昔から、土地の風土や文化に根付いた多くの玩具が作られてきました。
 縁起物として子供に買い与えられたり、身近な素材で作ったりと、
 玩具の文化から子供たちへのやさしいまなざしが感じられます。
 木製のコマやガラス製のおはじき、
 手作りの木馬やブリキ製のおもちゃなどが中心であった昭和時代。
 そして平成に入ると電子機器を利用した遊び・おもちゃの道具へと様変わりしてきました。
 今回は、大切に使われたおもちゃや手作りのおもちゃなど、
 貴重なものをお借りできました。
 主な展示品は、手作りおもちゃ、動かして遊ぶおもちゃ、カードゲームやミニカー、
 テレビゲームなど263点余です。
 懐かしいおもちゃや今でも使っている、遊んでいるおもちゃがあります。
 時代によっておもちゃを使った遊び方が違っていること、
 移り変わってきていることを感じていただければ幸いです。
 どうぞごゆっくりご覧ください。>

(※   >内、企画展リーフレットより引用/原文ママ)



上記のとおり、展示室内には昭和を中心に明治~平成と、
近現代150年に亘り町民が使ってきた玩具の数々が並ぶ。
来場者の年齢・人生のバックボーンにより、
感情や感慨を抱く対象、度合いは違う。
よって、今投稿は僕(りくすけ)個人の視点で、幾つか紹介してみたい。



画像奥が「任天堂ファミリーコンピューター」(昭和58年)。
手前に陣取るのは「任天堂スーパーファミコン」(平成2年)。
両機共に稼働していて体験可。
遊んだ思い出の多い方にとっては、過去を追体験できるだろう。
--- 僕は「直撃世代」という事になるのだろうが、正直余り馴染みはない。
ファミコンが世の中を席巻していた1980年代半ば~90年代初頭、
漫画や本、映画、お絵描き、旅などに時間を費やしていた。



「木製トラック」と「ブリキ製飛行機」(共に昭和30年代)。
僕の子供時代(昭和40年代)、類する玩具はあったが少数派の感。
おもちゃの素材は、ビニールやプラスチックなど石油由来がメイン。
ソフビ怪獣人形、プラモデル、レゴブロックなどが遊び相手だった。



「凧」と「ゴム動力模型飛行機」。
年代特定はされてないが、昭和少年の僕はコレでよく遊んだ。
どちらも天候・風に影響を受けた事をよく覚えている。
往時の遊び場は基本屋外。
田畑など空が開けた場所が多く、自動車の交通量も少なかったのだ。





ハンドメイド「複葉飛行機・スクーター・三輪車・自転車模型」(竹製)。
ハンドメイド旧海軍艦船模型(戦艦陸奥・駆逐艦朝霧/空母加賀・伊号潜水艦)。
この2つは、今展示の白眉。
完成品はもちろん、部品一つ一つに至るまで手作りなのだから恐れ入る。
僕には到底真似できない。
見て楽しむ意味で玩具に分類されるかもしれないが、立派な「作品」である。
微に入り細に亘って、暫くしげしげと見入ってしまった。



「東京名家名物入電車案内双六(すごろく)」(明治43年発行)。
広告を兼ねた沿線マップのようなものと推測。
中央「上り」が皇居ではなく「宮城」と表記されているのも「時代」なのである。

---と、ここで少し話題は逸れる。
上掲の双六が世に出た頃、こんな詩文が発表された。

【長二(ちょうじ)は貧乏の家に生まれて
 おもちゃも持たずに死んでしまった。
 美しいガラス張りの店頭(みせさき)に、
 西洋のぜいたくな小間物や、
 赤、紫に、塗ったゴムまりや
 ぴかぴかと顔の映る銀笛(ぎんてき)や、らっぱや、
 なんでも子供の好きそうなものが
 並べてあるのを見ると、
 店のガラス戸を砕いて
 それらのものをめちゃめちゃにたたき壊してやりたくなる。
 隣に住んでいた、
 あの貧しかった、哀れな長二のことを思い出したときに。】

(※  】内、「おもちゃ店」/作:小川未明)

幼くも熱い友情。
若さゆえの衝動。
貧富と格差社会。
硝子張りの憧れ。
西欧への劣等感。
短い文面に込めた光景は実に多彩だ。

「おもちゃ店」が読売新聞に掲載された明治40年(1907年)。
日本は日露戦争後の恐慌にあえいでいた。
国家予算数年分に相当する戦費と多大な犠牲を払い大国に辛勝したが、
見返りが少なく国内景気がダウン。
乱暴に言うなら---暗い時代である。
詩文の語り手と友人(長二)に象徴される当時の少年少女とって、
おもちゃは希望や光明に思えたのかもしれない。



--- 閑話休題 ---

「津幡ふるさと歴史館 れきしる」の企画展「あそびの道具」は、
この後、七夕(2024/07/07)まで開催。
もうすぐ大型連休もある。
時間と機会が許せば、足を運んでみてはいかがだろうか。
同施設、直近は5月5日(日)ナイトミュージアムとして20時まで開館。
5月5日~11日は、児童福祉週間に即し親子来館は入場無料。
おススメである。
                       

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