ROH Final Battle 2020 12/18/2020

 

ザ・キングダム(マット・テイヴェン&マイク・ベネット)対ザ・ライチェアス(ヴィンセント&ベイトマン)(w/ヴィタ・ヴォンスター)
 

テイヴェンの窮地にWWEをリリースされフリーエージェントになっていた盟友ベネットが登場し、憎きライチェアスに宣戦布告したのがこの試合。軸としてはファストペースのタッグマッチだが、連携を終えた後にパンチ連打を加えるテイヴェンは見事。それを入れるだけでグラッジマッチなのだと軽くでも表現出来る。これがこの間のドーム大会で足らなかった要素。ノーDQではないので過激化が出来ない所を、細かなタッチワークで埋める形。久しぶりの再結成となるキングダムは、以前組んでいた時と同等それ以上の連携を見せる。以前より個々の力量が上がっているのも心強く、今のROHなら確実にタッグ王者、トップとして回せるレベル。その様なキングダムに対しても、臆する事なく連携で対抗出来ていたライチェアスも嬉しい誤算。個々の力量では劣るけれども、連携技も多く、不気味なキャラクターも立っている。ウォーキングデッドのエゼキエルの様なヴィンセント、ブロディ・キングの元相方ベイトマンも活き活きしていて、これならポジションを確実に出来るだろう。どこかでクオリティが落ちるだろうと思っていたが、最後まで何とか勢いを持続してフィニッシュ。試合後の襲撃シーンも含めて見応え有。この内容なら抗争継続は全然有。中々良い試合。
評価:***1/2

ROH世界TV王座戦
ドラゴン・リー(c)対トニー・デッペン

 

プレショーの4ウェイで勝ち上がったデッペンが、フリーエージェントのままで王座戦に登場。縁もゆかりもないデッペンとの対戦ではあるものの、リーは平常運転。平常運転とはいえ、スーパーアスリートハイパーハードヒッティングフルスロットルモードは変わらない。要は激しくスピーディーで過激技も厭わない物量押しファイトではあるが、デッペンもこの土俵に乗り、ティタンや高橋ヒロム並に真っ向から立ち向かった。コミカルな展開やヒールでスカす事も出来るのがデッペンではあるが、新日本/CMLL的ハードなスタイルであっても難なく対応出来る懐の深さ、地力の高さが堪能出来る内容。単調といえば単調だが、内容は詰まっている。インディーを超えてこのクラスを相手にしても全然やれるのかと再認識。好勝負に届かない良試合。
評価:***3/4

ROHピュア王座戦
ジョナサン・グレシャム(c)対フリップ・ゴードン

フリップにピュアルールで挑ませるなんて無謀だと思った戦前の予想通りの内容。脚攻め等やることはやっていても形をつけるのがやっとで、逆に飛び技師であるフリップの良さをピュアルールが殺した格好となった。餅は餅屋。ロープブレイクの使い方も理に適っておらず、結局攻めも受けもグレシャムが孤軍奮闘していた内容。今のグレシャムの充実度、新ユニットThe Foundationを立ち上げて勢いに乗っている事を考えれば、この大一番ではもう少しピュアルールに精通した選手を当てたかった。後長すぎる。軍団長マーティを失ったフリップはどこへ行く。平均レベル。
評価:***

ROH世界王座戦
ルーシュ(c)対ブロディ・キング

 

ほぼ捨てられかけている新日本に媚びたマッチメイクなのは置いておいて、ラフファイトが得意なルーシュの相手としては申し分なし。ノーDQではないものの凶器攻撃や煽りを交えながら支配するルーシュに対して、ブロディは大技連発で対抗。始めはトペを使ったものの、それ以外はビッグマンとして振る舞うことに集中していたのは良く、大振りの打撃も映える。ボスであるマーティを失っても、シングルプレイヤーとして戦力化は出来そうな雰囲気。大味ながらアクション数は一定以上あり、粗が出ない試合時間試合構成になっていたのも〇。最後はルーシュとドラゴン・リーの父親であるベスティア・デル・リングが介入し椅子攻撃一閃。メキシコマットに向けてはニュースになるが、米国や日本では全く話題にならないサプライズなのは苦しい。ルーシュはスターではあるが、相手を選ぶのと、WWEは勿論、AEWやインパクトを追撃するカードとしては弱い。王座に相応しいとは思うが、その分ミッドカードやタッグ戦線で、ルーシュ起用を補う核が欲しい。エグゼイヴィアー、若きオースチン・エリーズ、森嶋猛やジェリー・リンの王者時代はその他のメンバーが豪華で充実していたからこそ冒険が出来ていたが、そうは言っていられない崖っぷちに立たされているROHに、かつての様な事が出来るのか。ルーシュとドラゴン・リーを登用し、新日本&CMLLとのパイプを残すのは理解出来るが、特に新日本が振り向いてくれるのを待っているだけでは厳しい。普通のインディーならそれでも良いけれども、一時は北米2番手にのし上がったROHでは、それでは許されないだろう。試合としてはまあまあ良い試合レベル。
評価:***1/2

全体評価:7.5