MEMORANDUM 今日の視点(伊皿子坂社会経済研究所)

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#2576 縮む日本経済

2024年04月27日 | 社会・経済

 3月4日、東京株式市場で日経平均株価が続伸し、初めて4万円台に乗せました。半導体関連を中心とした米ハイテク株高を背景に、東京市場でも半導体関連の銘柄の上昇傾向は変わらず、4月に入っても、企業の業績拡大や資本効率改善を期待する国内外からの投資マネーの流入が続いているとされています。

 株高をけん引しているのは、国内企業の好調な業績にあるとのこと。東証プライム市場に上場する企業の2024年3月期の純利益は、3期連続で過去最高を更新する見通しであり、日本企業のガバナンス改革の進展もあいまって、海外投資家の日本株買いを支えているようです。

 思えば、米金融危機後の2009年3月に、バブル崩壊後の最安値である7054円をつけた日経平均。15年ほどの歳月を経てようやくバブル最高値に並び、約5.7倍にまで押し戻した形になります。

 とはいえ、「失われた」と言われる30年を取り戻すにはまだまだ時間もかかることでしょう。割安感から海外投資家を中心に急激に買いが進んだ日本株もそろそろ息切れ。一服感が現れるとみる向きも多いようです。

 そうした折、3月2日の日本経済新聞の経済コラム『大機小機』に、「株最高値でも縮む日本経済」と題する一文が掲載されていたので、参考までに小サイトに一部を残しておきたいと思います。

 日本が国内総生産(GDP)でドイツに抜かれたことで、ショックを受けている日本人も少なくないと聞く。実際、就業者数でドイツは日本の6割、労働時間は8割にすぎず、それだけ見ても日本の生産性の低さにはため息が出ると、筆者はコラムで指摘しています。

 さらに、日独の3位4位集団は、近い将来に5位のインドに抜かれる公算が大きい。日本人が好んで使う「経済大国」という看板は、そろそろ降ろした方がいいかもしれないというのが筆者の感想です。

 日本経済の占めるシェアは、今やわずかに世界の4%強。世界経済が「15年ごとに倍増」のペースで成長を続けてきた中で、日本がほとんど成長しなかった。ゆえにこの比率は、今後も低下していくと考えるべきだと筆者は言います。

 にもかかわらず、私たちの脳裏からは「世界第2位の経済大国」だった頃の意識がまだまだ抜けきれていない。「日本はアジアの盟主たれ」とか、「××問題で世界をリードせよ」といったレトロな標語は、さすがに気恥ずかしく感じられるのではないかというのが筆者の指摘するところです。

 海外から見たこの国は、もはや「憧れの先進国」ではない。特段の強みを持つわけでもなく、いくら日経平均株価が史上最高値を更新しても、世界の時価総額に占める日本株比率はわずかに6%程度だと筆者はコラムに綴っています。

 安くて安全で(気軽に)遊びに行くのに適し、美食とサブカルチャーも人気。東アジア周辺国や東南アジア各国からインバウンド客を集めるこの日本。しかし学びに行くには大学のレベルが高くなく、稼ぎに行くには賃金が魅力的でない。まずはそんな等身大の自画像を直視することから始める必要があるというのが筆者の見解です。

 1990年代前半、世界の6分の1程度のシェアを有していた日本経済。当時の日本は良くも悪くも影響力があり、若くして大きな舞台を踏めた。円高を生かして海外体験を積むことも容易だったと筆者は言います。

 しかし現在では国家の存在感が低下し、円安定着で海外留学へのハードルも高い。次世代の政官財のリーダーをどう育成するのか。これをおろそかにすると、日本はますます埋没するだろうというのが筆者の懸念するところです。

 とはいえ、嘆いてばかりいられないのもまた事実。スポーツ界では、世界で活躍する「若くて強い日本人」が数多く登場している。それが何かヒントにならないか、と夢想しているとコラムを結ぶ筆者の指摘を、私も頷きながら読んだところです。



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