こんにちは! 廣田信子です。
マンション建替え研究所の大木祐悟氏の講演から
勉強会で扱った旧借地権マンションについて考えます。
1962年竣工の公社分譲の借地権マンション(借地期間60年)
の建替え(すでに終了)について話がありました。
このマンションで建替えの検討が始まったのは、
借地権の残存期間が15年を切ったころで、
それに不安を持った区分所有者がいたことです。
ただ、旧借地権マンションでは、期間が満了しても、
借地人が更新を希望すれば、更新されることが多いと言います。
もし、期間満了時に借地上に建物があれば、
従前と同じ条件で契約を更新したとみなされます。
地主が契約更新を拒絶しても、
借地人が更新を希望すれば、
「正当事由」がどちらにあるかが裁判所の判断になり、
多くの場合は借地権が更新されます。
ただし、裁判所の許可を求めるような「借地非訟事件」となると
地主との間がうまいっていないと
外部に取られることになってしまうので、
注意が必要です。
また、現状が変わるときは地主の承認が必要です。
建替えや耐震改修工事等大規模改修の場合はそれに当たります。
借地契約は地主と借地人の
俗人的な関係に左右されることが多いことを考えると、
「妥当な更新料を支払って、関係を維持する」
という考え方も必要になります。
前述の更新契約では、更新料の支払いを行うと共に
下記を取り決めました。
① 更新期間は60年とする
② 建替えの承認
③ 区分所有者から事業者に借地権付き建物を売却することの
承認
④ 完成後のマンションを事業者が分譲することの承認
また管理規約で下記を留意しました。
① 管理組合の業務の中に、借地権に係る事項を入れた
② 地代一時金を徴収し、地代の延滞があった場合は、
一時金から穴埋めした上で、滞納区分所有者に請求する
この事例の他の事例でも、
借地契約形態に問題があったり、
借地人と地主の関係が著しく複雑になっていた事例がありました。
正直、これを解決して建替えるのは
並み大抵のことではないと思いました。
大木氏からは、
区分所有法、借地借家法、
どちらもニッチな法律であるため、
両方に詳しい専門家が少ない。
そろそろ満期を迎える旧借地権マンションが多い中、
この問題について、整理と対策が必要ではないか。
マンション管理士にも対応を期待する…と
お話がありました。
この話を聞いて、
今後は、旧借地権マンションも建替えが難しく、
契約更新をして、長寿命化を目指すのかと思われますが、
耐震性が不足しているマンションが多いと思われ、
これをどうするかが、大きな問題ではないかと
思いました。
更新が難しいマンションを
更地にして地主に返すことも必要になると思います。
また、マンション管理士に求めることが大きくても、
どこかが責任を持って、解決に当たらなければません。
地方公共団体が、
本気で取り組むことが必要ではないかと改めて思いました。
大木先生、ありがとうございました。
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