そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

農業など一次産業を軽んじてきたこの国の政策の結果の消滅自治体

2024-04-25 | 農業と食
有識者グループ「人口戦略会議」は、国立社会保障・人口問題研究所の推計をもとに20代から30代の女性の数、「若年女性人口」の減少率を市区町村ごとに分析し、人口動向の指標とした結果を公表した。
2050年までの30年間で、若年女性人口が半数以下になる自治体は全体の4割にあたる744あり、これらの自治体は、人口が急減し、最終的に消滅する可能性があるとしている。出産年齢の女性の動向という、シンプルな調査であるが実態を反映している。
東北地方が多く、次いで多い北海道では、2050年までに117の自治体で20代から30代の女性の数が半減し、最終的には消滅する可能性があるとのことである。
トップは歌志内市の86.7%、次いで木古内町と松前町で82.8%、そして上砂川町で82.1%だった。特にかつての炭鉱町歌志内市は、4万6千人が現在2600人である。10年後には1000人を切る予測もある。極めて現実的な消滅予測である。
北海道は山間部の石炭や金や硫黄などの鉱山産業が振興されたが今は見るかげもない。平地では森林を伐採、開発し農地に変えて多くの農業が行われたが、度重なる農業政策の失敗で、食料自給率を下げられかつての姿は見られない。そして海辺で豊富な資源を背景に栄えた漁業は、200カイリ問題などで衰退し、更に温暖化の直撃を受けている。
一次産業で北海道は栄えたといえるが、資源を掘り尽くした鉱山産業はともかくとして、漁業は漁業者の二・三次産業化への取り組みなど巧みに生き抜いているが、農業に関しては国は食料の海外依存を進め、農業には工業化を促す形で疲弊してきた。
今日の日本各地での消滅社会は、1961年の農業基本法そして1999年の食料・農業・農村基本法の失政が最も大きく関わっているといえる。
農業を都会の企業従事者と収入をかわらにようにと、農業には規模拡大を促し、食料には付加価値を与えるなどという、およそ農業のあり方、食料生産の基本を怠っての政策であった。
結果、世界で一番農薬を使用する形態となり、農業者は世界で最も高齢の集団になり、自給率を先進国で一番下げる結果になってしまっている。
そしてもう一つが少子化対策である。少子高齢化は突如発生したものではない。少なくとも50年前には十分予測できたことである。年金問題も十分予測できたことでは類似するが、行政も政治も目先のことに功績を求め、全く取り組んでこなかった。
ようやく腰をげ高と思えば、やることは金を配ることばかりである。バブル時代の華やかな政策を掲げる時ではない。金ではなく人を中心とし、21世紀の産業のありかたを整え、今となっては止めようもない少子化を前提とした政策に転換するべきなのである。
今回の分析では、2050年までの若年女性人口の減少率が20%未満にとどまっている、65の自治体を「自立持続可能性自治体」と名付け「100年後も若年女性が5割近く残っており、持続可能性が高いと考えられる」としています。
今回新しく試算されたのが「ブラックホール型自治体」であるが、出生率が低くほかの地域からの人口流入に依存している25の自治体を、あらゆるものを吸い込むブラックホールになぞらえて「ブラックホール型自治体」と名付けている。
ブラックホール型は、2050年までの30年間に20代から30代の女性の減少率が、人口の移動が一定程度続く場合には半数未満にとどまる。該当する25の自治体のうち、東京の特別区が16を占めている。都会型に加えて、特殊な地域産業を抱える自治体と思える。分析の意味が良く分からないが、出生率の問題はなおざりにされたままといえる。

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