東アジア歴史文化研究会

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【知ってはいけない隠された日本支配の構造⑮】日米同盟の「創世神話」…自民党がもらっていた巨額の「秘密資金」と「選挙についてのアドバイス」(矢部 宏治)

2024-04-25 | 歴史の真実

アメリカによる支配はなぜつづくのか?

第二次大戦のあと、日本と同じくアメリカとの軍事同盟のもとで主権を失っていた国々は、そのくびきから脱し、正常な主権国家への道を歩み始めている。それにもかかわらず、日本の「戦後」だけがいつまでも続く理由とは?

累計15万部を突破したベストセラー『知ってはいけない』の著者が、「戦後日本の“最後の謎”」に挑む!

※本記事は2018年に刊行された矢部宏治『知ってはいけない2 日本の主権はこうして失われた』から抜粋・編集したものです。

日米同盟の創世神話

アイゼンハワーとともに写った、有名なゴルフ場の写真。そこに写っているのは、条約調印の写真から約2年半前(1957年6月19日)、首相として初の訪米時に、ワシントン郊外の超名門クラブである「バーニング・ツリー・カントリークラブ」でティーショットを放った瞬間です。

戦後の日米関係の神話では、この日、最初の首脳会談で岸をすっかり気に入ったアイゼンハワーが、会談の終了後、突然、自分のホームコースでのゴルフに誘った。

そしてラウンドしたあと、ふたりで真っ裸でシャワーをあび、アイゼンハワーが、「ゴルフだけは本当に気の合う相手としかできない」と新聞記者たちに語った―。これがその後の「日米同盟」のスタートを告げる、輝かしい創世神話となったわけです。だからおじいさんにあこがれる安倍首相は、あれほどトランプとゴルフをやりたがる。

けれども実際は、そんな甘い話であるはずがないのです。そもそもゴルフというゲー ムは、なんの準備もなく突然誘われて、すぐにプレーできるものではありません。

岸の訪米については、この超名門クラブでのゴルフだけでなく、ヤンキー・スタジア ムでの始球式や、議会の両院での演説など、あらかじめいくつもの完璧なセッティング がなされていました。しかし、それではいったいなぜ岸は、まだなにも仕事をしていない就任当初から、それほど高い評価をアメリカ政府から受けていたのでしょうか。

「秘密資金」と「選挙についてのアドバイス」

この写真から約1年後の1958年5月、岸は自民党の結党後、はじめての衆議院選挙に踏み切り(*1)、287議席をとって圧勝。その五ヵ月後には安保改定交渉もスタートさせ、現在までつづく「自民党永久政権」の時代が幕をあけます。

しかし、すでに広く知られているとおり、戦後日本の行方を決めたその運命の総選挙において、岸がCIAから巨額の「秘密資金」と「選挙についてのアドバイス」を受け ていたことは、2006年にアメリカ国務省自身が認めており、すでに歴史的事実として確定しているのです(→『知ってはいけない2』117ページ)。

ちなみに今年はそれからちょうど60年目にあたりますが、いま東アジアでは、突如始まった朝鮮半島での劇的な米朝関係の改善によって、戦後長らくつづいた「冷戦構造」がヨーロッパから遅れること30年、ついに終焉を迎えようとしています。

そうした大きな時代の変わり目のなかで、結党後、最初の選挙において外国の諜報機関から巨額の資金とアドバイスを受けて勝利し、その後現在までつづく強固な政治基盤を築いた自民党、けれども日本の戦後史において、まぎれもない「国民政党」でありつづけたこともまた事実であるこの自民党という政党を、私たち日本人は今後いったいどのように歴史のなかに位置づけ、咀嚼して、新しい時代に向かってスタートを切ればよいのか。

いま、ふと気づきましたが、私はどうやらそのことが知りたくて、この安保改定時に 結ばれた三つの密約についての本を書いているようです。

CIAと「日本のエスタブリッシュメント」

私は1990年代に評論家の立花隆さんの担当編集者を約10年間務め、その間、『巨悪言論』(文藝春秋1993年)という、田中角栄元首相および自民党の金権政治を批判したぶ厚い本をつくったこともありました。

けれどもその仕事の直後(1994年)にニューヨーク・タイムズが、なんと1958年から1960年代の日本の自民党政権〔岸・池田・佐藤政権〕には、CIAからずっと資金提供がされていたという大スクープを放ち(*2)、大きなショックを受けることになりました

というのもその20年前の1974年、立花さんの「田中角栄研究」が雑誌『文藝春秋』(11月号)に掲載され、田中首相の不正な資産形成が政治問題化して退陣に追い込まれたときに、

「小学校しか出ていない田中は、それまでの首相たちとは違って日本のエスタブリッシ ュメントとのつながりがなかった。だから自力で金を集めざるをえなかったのだ」という論評がされていたことをよく覚えていたからです。

けれどもニューヨーク・タイムズの報道を読むと、田中以前の自民党の首相は、岸以 降みなCIAから資金提供を受けていた。つまり「日本のエスタブリッシュメント」の 正体とは、なんとCIAのことであり、その資金提供だったということになるのです!

その後さらに、かなり経ってからの話ですが、CIAから日本の政界への資金提供は、 アメリカの有力な経済人を仲介役に使って行われており、そうした人物のなかには、

「ロッキード社の役員もいた」

という報道もあって、なにがなんだか、もうさっぱり訳がわからなくなってしまいま した。じゃあ、ロッキード事件って、いったい何だったんだと。

そのとき感じた大きな疑問が、私がいま、こうした問題を調べているきっかけのひとつとなっています。


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