建築と福祉と宗教

建築士から介護ヘルパーへ急転身。転身したからこそ知った新しい社会。同じ地域で建築士の30年間、私の知らない世界。

管理建築士という資格をご存じだろうか?

2017-12-18 15:20:52 | 生活・経済
管理建築士という資格をご存じだろうか?
恐らく知っている人はごく少ないと思う。

管理建築士とは建築に関する契約全般の管理を行う建築事務所の経営と運営に常駐で専従する一級建築士や二級建築士のことである。
つまり、建築士事務所を経営するための管理義務と経営権利を資格化したもので、平成20年の建築士法改正以降はこの資格がないと建築士事務所の経営の持続や設立などをできなくなった。

ただし、この資格は建築士として3年以上実務経験があれば誰でも所得出来、希望者はほんの1日の講習に参加して受講終了後すぐに行なわれる30分ほどの簡単な確認試験を行うだけで参加したほとんどの建築士が合格をする。
管理建築士の資格合格者は生涯に渡り再受講は必要なく、一度だけ受講するだけで一生涯保有することができる極めて特殊な資格である。
 
今までに管理建築士として登録された合格者数は全国で約12万人。(ちなみに一級建築士、二級建築士、木造建築士の全国登録者数は合計約115万人:平成29年現在)
つまり、12万人の建築士事務所の経営に携わる権利を持つ建築士が存在するということだ。
しかし、その合格者全てが実際には経営に関わっているわけではない。
そもそも建築士事務所の経営に関わらない勤め型の通常の建築士であれば、この管理建築士資格を併用して登録していても管理建築士としての責任は問われない。

ちなみに、建築士事務所の所長即ち建築士事務所の経営者がこの管理建築士どころか通常の一級、二級の建築士の資格すらなくても大丈夫。
つまり、建築士事務所の経営者たる所長は何も建築に関する無資格者でもできる。
ただ、その場合は建築に関して無資格な経営者として、少なくとも管理建築士を保有する建築士を一人雇うだけの能力さえ持っていれば建築士事務所を誰もが開設できる。
 
このように平成20年以降の建築士事務所には必ず常駐かつ専属の管理建築士を一人置くことになったのである。
管理建築士とは建築に関わる経営上のあらゆる取引内容および消費者との契約行為をすべて総合的かつ統括的に一人で管理するために、その責任と能力は極めて重大な役割である。

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