前回は、アンドレ・ケルテスの『読む時間』を紹介しましたが、その思いを引き継ぐこんな本はいかがでしょう。
『スティーヴ・マッカリーの「読む時間」』(スティーヴ・マッカリー 著・渡辺滋人訳、創元社)
今回紹介するのは、写真家 スティーヴ・マッカリ―の手による『読む時間』です。
マッカリ―といえば、ナショナルジオグラフィック誌の表紙になった「アフガニスタンの少女」でお馴染みの方も多いかも知れませんね。
この写真集は、マッカリ―による前書きに記されているように、前回紹介したアンドレ・ケルテスが1971年に刊行した『読む時間』(日本語版2013年 創元社刊行)へのオマージュとして撮影されました。マッカリ―が30代前半でニューヨークに移り住んだとき、同じビルにすでに有名だったケルテスも住んでいたそうです。
ケルテスの『読む時間』同様、こちらも世界各国のさまざまな場所……公園、カフェ、車内、寺院、路上、店先、雪山などで読むことに没頭する人たちが撮影されています。東京で撮られたものもあります。ボウリング場の階段でしょうか……。
作家のポール・セローが『序──読書について』と題して寄稿をしていますが、こちらも読みごたえがあります。セローといえば村上春樹訳の『ワールズ・エンド(世界の果て)』……読まれた方も多いのではないでしょうか。私自身は、阿川弘之訳『鉄道大バザール』や『ふしぎなクリスマス・カード』を多感な青春時代に親しんだ口なのですが……。そうそう『ブルートレイン長崎行』も確か阿川さん訳だったような。
脱線しました(笑)
そのポール・セローが『序──読書について』の中でこう書いています。
「読むことに我を忘れている人の表情には、常に何か光り輝くものがあるような気がしてならない」と。
翻訳もスティーヴ・マッカリ―の『読む時間』と同じ渡辺滋人さん。出版社も同じ「創元社」……なかなかに素敵です!
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