路線バス運転士になった元ウェディングプランナーの乗務日誌

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路線バス運転士こーくんのブログ

働き方改革とバス運転士、はじめに影響するのは有給休暇

最近、何かと話題の「働き方改革」 私の営業所の運転士もチラホラ話題に挙げる人がいるのですが、今回はこの話題について、バス運転士の目線で少し書いてみようと思います。

まず、今回の働き方改革は「残業時間の罰則付き上限規制」「5日間の有給休暇取得の義務化」「勤務間インターバル制度の努力義務」など複数の項目があるのですが、この中でバス運転士に一番大きく関わるのは『 5日間の有給休暇取得の義務化』です。

「あれ? 残業時間の罰則付き上限規制や、勤務間インターバル制度の努力義務じゃないの?」と思われるかもしれません。

しかし、 残業に関しては「36協定」によって、延長している事業者がほとんどですし、バス運転士の勤怠を定める厚労省の「改善基準告示」については、見直しに着手する方向性が示されただけですので、新しいルール決まり実施されるまでには少し時間がかかりそうです。

そう考えると、2019年4月より実施される『5日間の有給休暇取得の義務化』のほうが近々に関わる項目と言えます。

さて、この有給休暇の義務化ですが、簡単に言うと「有給休暇(有休)が付与されてから、一年間の間に必ず5日使用しなさい」と言うものです。

正直「公休出勤のオンパレードなのに、有休なんて取れるの?」と疑問の声も聞こえてきそうですが、今回の有給取得の義務化に際し、有休未取得(5日未満)の運転士に対しては、事業者側が「この日を有休にしますね」と時期を指定することも条件付き(時期についてヒヤリングを行うなど)で可能となりました。

そのため、「この日は人に余裕があるから○○運転士は有休にしよう!」と運行管理者が指定することも可能になりますので、わずかかもしれないですが、取得が進むような気がします。

一方、勤務に直接関係する「改善基準告示」については、先程も書いたように見直しに着手となっていますので、まだまだこれからなのですが、恐らく、インターバルが最大の争点になってくると思います。

インターバル。つまり、次の勤務までの自由時間(改善基準で言うところの休息期間)です。

現在、休息期間は原則8時間以上(例外あり)とされていますが、アメリカでは10時間、EUでは11時間となっており、日本の8時間は圧倒的に少ないと言えます。

仮に、通勤に1時間かかる運転士であれば、休息8時間から通勤2時間(往復)を差し引くと、自宅での自由時間はわずか6時間。ここから、食事、お風呂などを差し引けば睡眠時間は4~5時間程度。

点呼時、「睡眠不足」について確認する項目が2018年6月から施行されましたが、睡眠不足の確認を行う割には、休息期間が8時間しか保証されていないのはおかしいですよね。

このあたりは、路線バスやオリンピックをはじめとするインバウンド(観光)への影響を懸念する一方、事故防止に配慮しなければいけないお役所事情が垣間見えるような気がします。

ただ、この問題。そもそも「バス事業の収益構造(規制緩和による過当競争)」や「少子高齢化による労働人口の減少」にあるわけなので、断片的ではなく、抜本的な部分に切り込んで欲しいものです。(まぁ、無理でしょうが・・・)

いずれにしても、バス運転士に直接関わる改善基準の見直しはどのように進展していくのか注視したいところです。

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