100年前の「明治の三陸」写真帖 明治の大津波から復興した三陸の姿を伝える

明治45年(1912年)に刊行された「写真帖」掲載の岩手県三陸沿岸の貴重な写真や資料を順次公開

VOL91  明治の三陸の産業15 「畜産3 乳牛」 (九戸郡)

2015-08-18 14:55:03 | 明治の九戸郡(現久慈市他)

「袖山牧場」九戸郡江刈村/現岩手郡葛巻村江刈)

 

「平庭牧場」九戸郡江刈村/現岩手郡葛巻村江刈川)

 

(平庭牧場/ホルスタイン種)

 

(平庭牧場/エアーシャー種)

 

(種牡牛ブラウンスイス種、下閉伊郡岩泉村/小泉市兵衛氏所有)

 

(種牡牛エアーシャー種、大川畜牛園/下閉伊郡大川村) 

明治から続く「岩手の酪農」

 岩手県は全国第6位の牛乳生産量のある酪農県で、中でも葛巻町は、写真の袖山牧場や平庭牧場を始めとして乳牛の飼育が盛んに行われ、東北一の酪農の町として知られています。私は、この写真帖を見るまでは、葛巻を含む岩手県の酪農は昭和以降のものとばかり思っていましたが、調べると日本に最初にホルスタイン種が入ったのが明治18年、その5年後に小岩井牧場に、さらに2年後の明治25年に葛巻や岩泉にホルスタイン種の飼育が始まったようです。今から120年も前から岩手の酪農の歴史が始まっていたとは先人の先見性に恐れ入るところです。

 なお写真帖には、ホルスタイン種のほかに、イギリススコットランド原産のエアーシャー種とスイス原産のブラウン・スイス種も掲載されています。エアーシャー種は明治11年に札幌農学校に導入され、その後明治末までは国の奨励種として岩手を始め各地に導入された記録がありますが、ブラウン・スイス種は明治期の記録はなく貴重な資料です。但しいずれも乳量が少ないので徐々にホルスタイン種に換わられたようです。

 

 


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