信子の日本舞踊ブログ

小学生の長女の卒業式を見たいとの願いも叶わず、娘は闘病の末この彼岸に旅立った。
亡くなる2、3日前の夕方、病院のベッドに付き添っていた時の事。
子供達へ、そろそろお家へ帰りましょうと呼び掛ける夕焼け放送が、街のスピーカー
から流れて来た。夕焼けこやけで日が暮れて……♪と。
既に不自由になっていた身体でしたが、耳だけは聞こえるとか。医療者から知らされていた。
「夕焼けコールだね」と耳元で囁くと、微かにうなづく。
私は小さな声で、

夕焼けこやけで
日が暮れて
山のお寺の鐘がなる
おててつないで皆帰ろう
カラスと一緒に帰りましょう

と歌ってみた。
目は閉じたままだが、穏やかな優しい二児の母親の顔。
最後のフレーズ、帰りましょう…を声にならない声でしたが、一緒に歌ってくれた。
私は何度も何度も歌った。亡くなる日も歌ったし、亡くなっても歌った。
今はお経の代わりに、夕焼けこやけで日が暮れて…と、にっこりほほ笑む遺影の前で
毎日歌っています。

逆縁は想像以上に辛いものです。合掌