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「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」ネタバレ感想~短編の方が面白い&藤倉奈々瀬は幽霊?

映画公開時に観ようと思いつつ忘れていた「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」がNHKで放送されていたので、録画して観てみました。






相変わらず映像や世界観は良いし、ルーヴル美術館まで出てきてオシャレ!

だけど…短編と違って1話のストーリーが長い分、色んな話を詰め込んでいてインパクトが弱いかな、とは感じましたね。

原作漫画を読んでいないので疑問点をググったところ、未読の視聴者にも分かりやすく改変した部分のお陰で、深く考えると辻褄が合わない、ということが起きていたようです。




私の中で微妙に納得がいっていないのは、

「結局、藤倉奈々瀬は幽霊なのか?」

ということ。

木村文乃が演じる奈々瀬の色っぽさとミステリアさといったら、垂涎ものだったのであまり考察みたいなことをしたくないのですが。

駆け出しの漫画家自体に祖母の大きな日本邸宅で執筆していた露伴は、祖父が亡くなったから下宿を営むという祖母に「こんなところを借りる人はいないだろう」と言っていたけれど、1人目の入居者として藤倉奈々瀬がやってきます。

美しい奈々瀬を見て、編集者からストーリーに関係なくても「美少女を出せ」と言われて困惑していた露伴は、彼女をこっそり見ながらスケッチを始めていました。

徐々に2人の距離は近くなり、奈々瀬は「この世で一番黒くて、邪悪な絵がルーヴルにある」と教えます。

その画家は約250年前に亡くなった山村二左右衛門。

愛する妻の黒髪の色に拘り、御神木の樹液を使ってそれを再現したことを咎められ、夫婦共々亡くなっていました。

「本物と贋作は見極められる」と豪語する露伴はオークションに行き、黒い絵を落札します。

けれどそれをオークションで張り合っていた相手が盗みに来て、その後絵の裏の黒い物体に触れた後に蜘蛛達が体を這いずり周り、その後幻覚のトラック?バイク?に轢かれてたかのような跡が付いた状態で遺体となりました。

で、オークションで落札した絵は探していたものでは無い、と思った露伴は実際にルーヴルに行くことに。

ここの辺りの話は、ルーヴルの協力もあるために入れる必要があったのかもしれませんし、絵の被害者を複数人出す必要もあって入れたのでしょう。

が、贋作画家と組んでいたキュレーターやスタッフ、露伴達を案内していた美波演じるキュレーターに対して尺をかなり使っていたのと、本題との結び付け方がやや強引に感じました。

倉庫内で贋作が描かれていて、そこに山村二左右衛門の絵があったため、贋作画家やその仲間達は

「己の血縁まで遡った罪や後悔」

により幻覚を見て、実際に肉体的にも被害が及んで命を落としていきます。

それは、山村二左右衛門がこの妻を描いた絵に呪いをかけていたから。

そして妻だった奈々瀬もその呪いに取り込まれていたため、それを断ち切ろうとかつて露伴にこの絵の話をしていたのです。

そう、露伴が若い頃に出会っていた奈々瀬は、代々藩主お抱えの絵師一族の嫡男である山村二左右衛門の妻であり、旧姓は岸辺という露伴の先祖。

山村二左右衛門との間に子供がいた描写は無いのに、露伴も山村二左右衛門も高橋一成が演じていたため、

「え?血縁なのは奈々瀬の方?」

となりましたね。

絵を描くことに執着するのも、山村家の血筋のように思えてましたし。

ここで他の方もネットで疑問を持っているのですが、奈々瀬は幽霊だったのか?ということです。

彼女が祖母の家を借りていることは、祖母も把握していました。

またワンピースを着てサンダルを履いていて、服装は現代。

奈々瀬は露伴が彼女をマンガのモデルにしたのを見るなり、怒って鋏で突き刺していました。

「何でこんなことするの⁉︎私のことを勝手に描くなんて最低なことよ!」と。

これは、夫が自分を描いた絵が呪いの絵となっているから、同じ真似をさせたくなかったのかもしれません。

突然姿を消した彼女ですが、でも当時

「全部忘れて」

とも露伴に囁いています。

散々色々話したり、露伴に解決してもらおうとしているのに「忘れて」と言うのは何故?

ただコレは、一度忘れてもヘヴンズドアで開いた本の中にはキチンと残る、という設定もあるから、必要なタイミングでこの力を使え、ということだったのかも。

ラストに露伴は黒絵の具の材料となっていた元御神木のところで奈々瀬と再会し、彼女の本を読んで真相を知り、そして目を開けるともうそこに奈々瀬の姿はありませんでした。

辻褄を合わせるのであれば、露伴の祖母宅に下宿していたのは遠い親戚とかで、奈々瀬に取り憑かれた状態なことを祖母も知っていた、という設定なら現代風な姿なのも分かります。

ウッカリ翌日の奈々瀬を見てしまった露伴に、祖母はニヤッとしていましたし。

それか、そもそも奈々瀬は幽霊だった?

いやーでも、露伴を動かすためにこんな時間のかかるやり方をしたのかな?

当時この黒い絵が祖母宅にあり、買取手のフランス人が持って行ったタイミングで奈々瀬が消えたのですが、そうなると

「黒い絵はルーヴルにある」

と奈々瀬が言っていたことと時系列が合わなくなります。

が、これが前述の実写化改変だとのこと。

まぁ未来を教えた、とも解釈出来ますしね。
ルーヴルの贋作事件に関しては、ちょっとスケールがデカすぎたというか、この岸辺露伴は動かないシリーズにしては普通のトリックだなと思いました。

そこまでセキュリティがゆるゆるなのは、どうかな?

贋作と本物をすり替えて、別の絵の裏に本物を仕込んでオークションで安く関係者に買わせて、それを転売して儲ける。

狙っていた絵を偶然買ってしまった露伴を怪しみ、真実に気付いているのではないかとルーヴルで監視していた…

実際にルーヴルの倉庫で露伴は真贋すり替えに気付いて襲われますが、そもそも公的に許可を取って彼は取材に言っていて、「フランスでも有名な漫画家だ」という説明もありました。

だから、倉庫内で命を落としていたら、それを簡単に隠蔽することは出来ません。

そしてルーヴルで公開されていないけれど実は倉庫内で眠っている本物の絵、を愛好家が手に入れたとしても、それを世間に公表することも出来ないはず。

まぁ欲しい人は欲しいのでしょうが、今の日本でそこまでして本物の画家の絵を欲しがる愛好家ってどのくらいいるのでしょうか…

ドラマとか映画ではよくある設定だけど、自社の美術館で公開してる方が多いですしね。

そもそも山村二左右衛門の描いた絵が、いくら公開予定が無い倉庫内とは言え、そのまま壁に飾られていたのは謎です。

そこに設置した時点で被害者が出ていたのでは?

倉庫内でこの絵を見た人は、泉京香以外は被害に遭っていますし。

と色々思うところはあるけれど、でもやはり満足のいく映画でもありました!

泉くんが「息子さんは、お母さんを恨んでいるんじゃなくて、ちょっと会ってみたかっただけだったんじゃないですかね?私も5歳の時に亡くなったお父さんと同じ場所で写真を撮ってみたかったんです」とキュレーター女性に話すエピソードが出てきますが、これも深読みをすれば

奈々瀬はちょっとだけ、夫に似ている子孫の露伴に会ってみたかった

とも解釈できます。

奈々瀬の心理はミステリアス過ぎて分からない部分があるのですが、夫の前では正直で優しい、体の弱い健気な妻、でした。

露伴の抱いていたイメージとは違うんですよね。

山村二左右衛門も妻への愛情含めての黒への執着は凄かったけれど、妻の前では本当に優しい穏やかそうな夫で、とにかく妻共々御神木の樹液を取っていただけなのに罪とされたことが許せなかったのでしょう。

ここにその他の能力が関わっていたのかは分かりません。

山村二左右衛門自身は岸辺家の血筋では無いし、力を持っていたとするなら奈々瀬だけど、それはどんなものだったか描かれていませんでした。

ちょっと気になるのは、露伴がルーヴルでの事件が解決した後に、祖母のサングラスをしていたところですね。

アレは、祖母にも何か能力があったってことかな?と思わされました。

撮影のタイミングだったんだろうけど、曇ってたからサングラス必要ないだろ?と思ったけど…

まぁ、このシリーズはやはり短編の方が面白い、というか向いているなと思います。

劇場版になるとキャストも増えるし、辻褄が合わなくてもそういうもの、と短編なら思える部分もモヤモヤとしてしまうから。

ということで今週公開される新作を楽しみにしています!

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