First Pull Up, Then Pull Down/Hot Tuna | BLACK CHERRY

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JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

テーマ:

  Hot Tunaは、とにかく贔屓にしている連中でAcousticとElectric、どちらのStyleでもご機嫌な作品を出していて、StudioとLive Albumもまた、これまた、それぞれにお気に入りの作品が沢山あるのだった。Jorma KaukonenAcoustic Blues Fingerpickingの妙技と、はんなりした激渋Vocalが楽しめるAcousticのBlues大会も最高だけれど、ElectricのHot Tunaも結構イケるのである。本作はHot Tunaの71年にリリースされた2作目のアルバムで邦題は『エレクトリック・ホット・ツナ』となっていて、帯には"エレキ・ヴァイオリンをフィーチャーしたホット・ツナの意欲的アルバム!!"(原文まま)とあるのだった。確かにDebut Albumとなる70年にリリースされた前作『Hot Tuna』は全編Acoustic GuitarをFeatureして、Reverend Gary DavisやJelly Roll Morton、Leroy Carrらの作品をとりあげたJormaとJack CasadyのDuoによるAcoustic BluesのLive Albumであった。そして本作ではJefferson Airplane(Jefferson Starship)に参加していたPapa John CreachElectric Violinが加わってJormaもElectric Guitarを弾いてはいるのだが、California州Los GatosにあるChateau LiberteでのLive録音で、全体に漂う雰囲気はマッタリのほほんとしたもので、基本的には前作同様に半数はCoverとなるFolk Blues路線でRelaxして演奏を楽しんでいる感じではある。DrummerのSammy Piazzaが一応メンバー扱いで参加しているが、メンバーがスリリングにソロで丁丁発止するよりも、全員で大好きなBlues Numberをまじえながら演奏を楽しむJam Sessionといった感じで、これが実にイイ感じに仕上がっているのである。マッタリRelaxした普段着ながらダレた演奏ではなくて、それぞれが心地良い緊張感を持ちながらおさえるところはおさえた、自由でのびやかな演奏が良い。JormaのギターとVocalがやっぱりご機嫌で、Jack Casadyのノリの良いベースとドラムスのSammy Piazzaはバックに徹している。Papa John CreachElectric Violinが、かなり活躍しているのも面白い。

 

 『First Pull Up, Then Pull Down』はHot Tuna71年に リリースしたアルバム。Will ScarlettHarmonicaでGuest参加している。

アルバム1発目はいきなり作者でもあるPapa John CreachElectric Violinが炸裂する“John's Other”。JormaのElectric GuitarもBluesyでPsych、これまたイイ感じで攻めている。

Rev. Gary Davisの“Candy Man”。ここでもPapa JohnのElectric Violinが歌いまくる。JormaのマッタリしたVocalも味わい深い

Jorma作の“Been So Long”はFolk Rock的な味わいがイイ感じ。JormaのギターもArpeggioやカッティング、ソロとご機嫌で緩めのVocalも心地良い。

Mississippi SheiksのメンバーだったDirty BluesなBlues Musician Bo Carter作の“Want You To Know”もユッタリマッタリしたBluesにPapa JohnのElectric Violinが弾きまくり。

Blind Willie JohnsonやReverend Gary DavisMississippi Fred McDowellが録音を残しているTraditional Gospel Bluesの“Keep Your Lamps Trimmed And Burning”はHot Tunaが出演した71年のLive Album『Fillmore: The Last Days』での名演でも知られるナンバー。これは盛り上がりますなあ。Vocalはのほほんとしているけれど、演奏はキレキレっす。

Blind Blakeの“Never Happen No More”もJormaのギターの妙技鼻にかかったVocalが気持ち良すぎ。Papa JohnのElectric Violinもご機嫌だ。

アルバム最後をシメるのはTraditional Songの“Come Back Baby”。ギターのRiffが激カッコイイ。アルバムで一番のお気に入り曲。

John's Other/Hot Tuna

(Hit-C Fiore)