BLACK CHERRY

BLACK CHERRY

JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC


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 Equilibrio VitalVenezuelaのCaribbean Sea沿岸に位置するAragua州の州都Maracay70年代後半に結成されたRock Band。ギターとVocalのMarcos Chacón、ギターのCarlos Serga、ベースとFlute、ギターを演奏するGuillermo Gonzálezが創設時のメンバーで、80年後半には文学演劇Danceにも長けたSingerでPercussionと鍵盤も演奏する才女Elena Prietoが参加している。彼らは音楽のみならず、文学舞台Visualを中心とした芸術を通じてPositiveなMessage人々に伝えることを目的としていたという。そして81年にはDrummerでSynthesizerも演奏するLaureano Rangelと、ベースとPercussionを演奏するArnoldo Sergaが加わって83年にRockやFolk、SalsaのレコードをリリースしているVenezuelaのLabel Colorと契約を結んでいる。Equilibrio Vitalは同年にDebut Album『Equilibrio Vital』をリリースしている。12月にはVenezuelaのRockを描いた映画『Rock Venezolano』にも同国のRock Band TémpanoResistenciaLa Misma Genteらと共に出演しているという。70年代以降、南米からも続々とProgressiveでSymphonicなGroupが誕生していたが、80年代に入って、Venezuelaから彼らのような舞台芸術視覚芸術文学音楽を探求するMulti Art的な志向を持った連中が登場したことは興味深い。2000年に、絵画、小型グラフィック、炻器ガラスの作品、そして職人による陶芸全般を扱うTaller Equilibrio Vitalが設立されているようだ。まだまだ謎のVeilに包まれている同国の当時の音楽Sceneではあるが中々奥が深い。Venezuelaといえば、ドイツから同国に移住して活動していたVytas Brennerぐらいしか思いつかなかったが、Equilibrio Vitalも、南米らしい、かなり魅力的な個性を持ったGroupである。本作は彼らの2作目のアルバムとなるがElena Prietoのびやかで力強くも、時に愛らしいVocal軽やかに舞うFluteがギターが攻めまくるDarkで捻りのあるSoundと絶妙のContrastを描きだす味わい深い作品となっている。

 

 『Kazmor El Prisionero』はEquilibrio Vital84年にリリースしたアルバム。

アルバム1曲目は“El Ausente”。HardなツインギターとElena Prietoの愛らしくも力強くのびやかな歌声が南米らしい抒情的な世界を描き出す。Marcos Chacónのギター・ソロもイイ感じ。

タイトル曲“Kazmor El Prisionero”も男女VocalHardな演奏をバックに情熱的に歌い上げるとFluteソロがガンガン仕掛けてくる。弾き倒しのギター・ソロも良し。

Mi Canción Parte I”はギターのArpeggioをバックに男性Vocalが哀感に満ちた歌声で魅了する。徐々に盛り上げていく様は圧巻。

泣きのギターでいきなり始まる“Lluvia Cósmica”は引き締まったリズム隊にのってツイン・ギターが攻めたてていくのが心地良い。途中でPsychedelicな音響が入るも躊躇せず、あくまでもAggressiveにいくギターが良い。

Elena Prietoの麗しいScatで始まる“Advenimiento (Xskgriglam Parte I) Trayectoría (Xskgriglam Parte II)”。しかしバックの演奏はあくまでもAggressiveでHardガシガシとRiffと奇怪なフレーズをキメまくるギターScatはやがて妖しい魅力を放っていく

Prisa”もギターのRiffがゴリゴリ迫りまくるShuffle。ここでのPrietoのVocalはEmotionalで時にEccentric。ギターは最後に弾き倒しで迫ってくる。

Elena Prietoの優美なScatとギターのHarmonics奏法を駆使したMysteriousかつEthnicに迫るイントロがイイ感じの“Yellenik (Bailarina De Cristal)”。生命感漲るShuffleに展開していく。

Inocentes Perdidos”は南米らしい哀感を湛えた歌モノ。子供の声が入るのが面白い。

アルバム最後をシメるのはEmotionalなギターが攻めまくるShuffleMi Canción Parte II”。Vocalは南米らしい歌心に満ちているのが面白い。

(Hit-C Fiore)

AD
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  Hot Tunaは、とにかく贔屓にしている連中でAcousticとElectric、どちらのStyleでもご機嫌な作品を出していて、StudioとLive Albumもまた、これまた、それぞれにお気に入りの作品が沢山あるのだった。Jorma KaukonenAcoustic Blues Fingerpickingの妙技と、はんなりした激渋Vocalが楽しめるAcousticのBlues大会も最高だけれど、ElectricのHot Tunaも結構イケるのである。本作はHot Tunaの71年にリリースされた2作目のアルバムで邦題は『エレクトリック・ホット・ツナ』となっていて、帯には"エレキ・ヴァイオリンをフィーチャーしたホット・ツナの意欲的アルバム!!"(原文まま)とあるのだった。確かにDebut Albumとなる70年にリリースされた前作『Hot Tuna』は全編Acoustic GuitarをFeatureして、Reverend Gary DavisやJelly Roll Morton、Leroy Carrらの作品をとりあげたJormaとJack CasadyのDuoによるAcoustic BluesのLive Albumであった。そして本作ではJefferson Airplane(Jefferson Starship)に参加していたPapa John CreachElectric Violinが加わってJormaもElectric Guitarを弾いてはいるのだが、California州Los GatosにあるChateau LiberteでのLive録音で、全体に漂う雰囲気はマッタリのほほんとしたもので、基本的には前作同様に半数はCoverとなるFolk Blues路線でRelaxして演奏を楽しんでいる感じではある。DrummerのSammy Piazzaが一応メンバー扱いで参加しているが、メンバーがスリリングにソロで丁丁発止するよりも、全員で大好きなBlues Numberをまじえながら演奏を楽しむJam Sessionといった感じで、これが実にイイ感じに仕上がっているのである。マッタリRelaxした普段着ながらダレた演奏ではなくて、それぞれが心地良い緊張感を持ちながらおさえるところはおさえた、自由でのびやかな演奏が良い。JormaのギターとVocalがやっぱりご機嫌で、Jack Casadyのノリの良いベースとドラムスのSammy Piazzaはバックに徹している。Papa John CreachElectric Violinが、かなり活躍しているのも面白い。

 

 『First Pull Up, Then Pull Down』はHot Tuna71年に リリースしたアルバム。Will ScarlettHarmonicaでGuest参加している。

アルバム1発目はいきなり作者でもあるPapa John CreachElectric Violinが炸裂する“John's Other”。JormaのElectric GuitarもBluesyでPsych、これまたイイ感じで攻めている。

Rev. Gary Davisの“Candy Man”。ここでもPapa JohnのElectric Violinが歌いまくる。JormaのマッタリしたVocalも味わい深い

Jorma作の“Been So Long”はFolk Rock的な味わいがイイ感じ。JormaのギターもArpeggioやカッティング、ソロとご機嫌で緩めのVocalも心地良い。

Mississippi SheiksのメンバーだったDirty BluesなBlues Musician Bo Carter作の“Want You To Know”もユッタリマッタリしたBluesにPapa JohnのElectric Violinが弾きまくり。

Blind Willie JohnsonやReverend Gary DavisMississippi Fred McDowellが録音を残しているTraditional Gospel Bluesの“Keep Your Lamps Trimmed And Burning”はHot Tunaが出演した71年のLive Album『Fillmore: The Last Days』での名演でも知られるナンバー。これは盛り上がりますなあ。Vocalはのほほんとしているけれど、演奏はキレキレっす。

Blind Blakeの“Never Happen No More”もJormaのギターの妙技鼻にかかったVocalが気持ち良すぎ。Papa JohnのElectric Violinもご機嫌だ。

アルバム最後をシメるのはTraditional Songの“Come Back Baby”。ギターのRiffが激カッコイイ。アルバムで一番のお気に入り曲。

John's Other/Hot Tuna

(Hit-C Fiore)

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 East Of Edenという英国のRock Bandは、今はどうなのかわからないけど、結構中古レコード屋さんで遭遇するケースが多かったような気がする。しかも日本盤で、ジャケットが中々怪しい感じがして結構興味を持っていたのだが、実際に音を聴いてみたのは高校生の頃だったと思う。彼らのDebut Album2nd Albumとなる本作は60年代に設立されたDeccaSub-Label Deramからリリースされていて、日本では「ブリティッシュロックの秘蔵盤」シリーズとして76年に、その2枚がKing Recordから世に出ていたのだった。Genesisの1st AlbumやGiles, Giles And FrippThin Lizzyの初期のアルバムといったあたり、当時決してメジャーではなかったけれど熱心なファンが飛びつきそうな作品、そして個人的にはEggKhanが、そのシリーズの中では、中古レコード屋さんに行って目にしたら買いであった。だからEast Of Edenの2枚は、優先順位としては随分最後の方になってしまったけれど仕方がない。それでも、Black Cat Bonesと共に異様なジャケットで目立っていた彼らの作品をなんとか中古で手にしたのであった。さて、East Of Edenは、60年代後半BristolPictures of Dorian Grayとして結成されている。Londonに拠点を移し68年East Of EdenとしてAtlanticから7", 45 RPM, Single“King Of Siam”をリリース後、幾つかのメンバー・チェンジを経て、Deram Recordsと契約を結ぶと、69年Debut AlbumMercator Projected』をリリーースしている。Electric ViolinFluteBagpipesSaxを演奏するバンドの創始者Dave Arbusを中心に、ギターとVocalのGeoff Nicholson、SaxとOrganを演奏するRon Caines、ベースとHarmonica、Thumb Pianoを演奏する元Graham Bond Organization、 Manfred Mann Chapter ThreePete York、ドラムスのDave Dufort(CreditはDave Dufont)というメンツであった。本作ではベースがAndy Sneddon、ドラムスが後にWingsに加入するGeoff Brittonに交代している。

 

 『Snafu』はEast Of Eden70年Deramからリリースしたアルバム。

アルバム1曲目は“Have To Whack It Up”。ゆったりしたリズム隊にのって粘っこいギターのRiffとViolinが始まりチョイEccentricなVocalが加わる。

Leaping Beauties for Rudy / Marcus Junior ”は一転してFree Jazzっぽい流れからEeastern Europeanな旋律が飛び出すインスト曲。RonがAlto Sax、DaveがTenor Saxを吹いている。

Xhorkham / Ramadhan / In The Snow For A Blow (Medley) Part I / Better Git It In Your Soul / In The Snow For A Blow (Medley) Part III”もTapeの逆回転で始まり、Charles Mingusの“Better Git It In Your Soul”を挟むもののの、中東的な旋律が印象的なJazz Rock

Uno Transito Clapori”はTape操作によるお遊び的な曲

Gum Arabic / Confucius”もタイトルからわかるようにArabicな旋律が支配するMedleyだがイントロのPercussionから耳を奪われFluteが奏でるフレーズで気分はExoticなEeastern EuropeanここでBlusyでTrad調のRock的なリズム隊が加わるがSaxがAbstractなフレーズで魅了する。

Nymphenburger”はいきなり6拍子そして9/16拍子で畳みかけるスリリングなJazz Rock。思わず別のバンドかち思ってしまうがその後の展開は、ゆったりしたPsychedelicなBlues Rock調。Endingでまた変拍子のキメに戻る。

Habibi Baby / Boehm Constrictor / Beast of Sweden”もTapeの逆回転とArabicなフレーズで始まり、Free Jazz調に展開していく。

アルバム最後をシメるのは“Traditional: Arranged By East Of Eden”。これがAbstractなピアノで始まるマッタリした歌モノで結構イイ感じなのである。

(Hit-C Fiore)

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 なんとか確定申告のシーズンが無事終わり、裏金やら商品券の怒りをどこにぶつけようかと思っていたら、卒業式で近所の子供たちが、あっという間に大きくなって、おじちゃん、さようならという今日この頃。気になるのは、やっぱり最近の子たちは日本に見切りつけちゃってるのかなあということ。この10年で日本は本当に劣化してしまった。そら、優秀な子たちは海外に出ていきますわ。将来性がなくなったこの国、どうしてこんなに酷く落ちぶれてしまったのか。まあ、裏金に商品券、利権ズブズブ、中抜きピンハネ、政治家と官僚が国民と国の未来よりもテメエの腹肥やす事しか考えず、いかに国民からむしり取ろうかと増税真理教と化した国に未来はないわな。

 

 Joe FarnsworthMassachusetts州Holyoke出身のJazz Drummer97年に結成されたOne For Allのメンバーとして、またHarold Mabern TrioEric Alexander Quartetでおなじみ、23年にリリースされたKurt RosenwinkelImmanuel Wilkinsを擁したQuintetでの素晴らしい新作『 In What Direction Are You Headed?』もまだ記憶に新しいJoe Farnsworthであるが、かつて90年代にはJunior CookCecil PayneBenny GolsonSteve DavisMichael Weissらと共演してきた正統派のJazz Drummerといってもいいだろう。ジャケットからも想像がつくように、真っ当も真っ当、どこをとってもOrthodoxで、革新性やスリリングで刺激的な局面なんてのはメンツから考えても最初からまったく期待できないにしても、たまにはこういった現代Jazz基本に忠実でRelaxした録音の良い音盤をじっくり腰を落ち着けて聴くのも悪くない。自分も年をとったということだろう。ベースにはOne For Allの時からFarnsworthと長年やってる盟友Peter Washington、ピアノにはKenny Barronというのが面白い。実はBarronは、それほど積極的に聴いてきたピアニストではないのだが、FarnsworthがDavid HazeltineGeorge MrazとやってるThe New Classic Trioとは、また違った楽しみ方ができるというものだ。そしてTrumpetのWynton MarsalisがGuest参加しているのも嬉しい。FarnsworthとMarsalisは、2005年にリリースされた2002年12月New York East Villageの小さな箱で演奏した模様を収録した『Live at the House of Tribes』で共演したことを知っていたが、お互いに伝統に忠実に真摯に音楽を追求するといった点で相通ずるところがあるのだろう。Conservativeきわまりない、こういう音盤をたまに聴くことによってスリリングで革新的な音楽の凄味が増すし、また、新鮮な気持ちで聴くことが出来るというものだ。

 

 『Time To Swing』はJoe Farnsworth2020年リリースしたアルバム。

アルバム1曲目は Wynton MarsalisのTrumpetとPeter Washingtonのベースから始まるJoe Farnsworth作曲の“The Good Sepherd”。 Kenny Barronのピアノ・ソロもご機嫌で、指パッチンのSwingiyなOpener

Wynton Marsalis作で、Marsalisの1st Albumに収録されていた“Hesitation”。Marsalisの超絶技巧は相変わらずとして、ここでもBarronのキレキレのピアノが心地良い。そしてお待ちかねのドラム・ソロ、これまた奇を衒わずOrthodoxそのものである。

Standardの“Darn That Dream”は優美なBarronのピアノから始まり、MarsalisのTrumpetが雰囲気タップリにグッとクる歌いっぷりのBallad玉を転がすようなピアノ・ソロもご機嫌である。

African-American Spiritualの“Down By The Riverside”。これもRelax

して聴ける古き良きJazz

One For Jimmy Cobb”はタイトル通りDrummer Jimmy Cobbに捧げられたナンバーでJoe Farnsworthのドラム・ソロ

Kenny Barron作の“Lemuria”はスリリングなイントロから聴かせる。Barronのピアノもキレキレで、アルバムで一番好きなナンバー。Farnsworthのドラム・ソロもカッコイイ。

Ellingtonの“Prelude To A Kiss”はBossa風なBeatで心地良し。

Thelonious Monkの“Monk´s Dream”は、やっぱりこういうPiano Trioで聴くとご機嫌なナンバーっすなあ。Barronの独壇場。

Ellingtonの“The Star-Crossed Lovers”は雰囲気タップリのBalladでFarnsworthの繊細なBrush-Stroke Techniqueが聴きモノ。

アルバム最後をシメるのはJohn Coltraneの名演でも知られる“Time Was”。Peter Washingtonベース・ソロもイイ感じの軽快にSwingするご機嫌な指パッチンJazzで幕を閉じる。

(Hit-C Fiore)

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 Guilherme Coutinho E O Grupo Staloは、その名の通り鍵盤奏者Guilherme Coutinho率いるJazz-Funk Rock Group。本作はDebut Albumにして、彼らが残した、おそらく唯一のAlbumである。Organ、Synthesizer、Electric Pianoを操り、1曲を除き全ての楽曲を書いているLeaderのGuilherme Coutinhoに、アルバムに参加しているO Grupo Staloのメンバーはといえば、ベースのMini-PauloことPaulo Lavareda、ギターのBobことBob Freitas、ドラムスはCearáTótaと2名がCreditされている。VocalにはElinhoことHélio RubensJateneことSimão Jatene、Backing VocalにJatene's WifeとCreditされているHeliana Jatene、AcousticとBacking VocalのKzanことKzan Gama、PercussionにはBarãoという大所帯。ここにGuestでMPB 4の創設メンバーで2012年に亡くなるまでMusical Directorを務めていたMulti-InstrumentalistMagroことAntônio José Waghabi FilhoがPercussionで参加しているのが興味深い。また、惜しくも2年前にこの世を去ったSnger-SongwriterのPaulo André BarataとGuilherme Coutinhoが鍵盤を弾いていたTom Zé周辺のSnger-SongwriterのJarbas MarizのEPに参加していたZé MacedoがPercussionで参加している。Guest Musician以外は殆ど情報がなく自分も知らないMusicianばかりで、LeaderのGuilherme Coutinhoは、69年Guilherme Coutinho E A Curtição名義で同名アルバム、71年Guilherme Coutinho E Seu Conjunto名義で『Procura-Se』というアルバムをリリースしている。ベースのLavaredaは80年代にSaul Barbosaの7", 33 ⅓ Single“Tentação”に参加している。それにしても、本作はBrasil北部に位置しAmazonas州とともにBrasil最大の面積を有するPará州BelémにあるLabelから47年前にリリースされていた激レア盤といわれていたもので、数年前にReisueされたのであった。こうやって手軽に聴けるようになったのは嬉しい。

 

 

 『Guilherme Coutinho E O Grupo Stalo』はGuilherme Coutinho E O Grupo Stalo78年にリリースしたアルバム。

アルバム1曲目“Atalaia”は煌くElectric Pianoときめ細かなCymbal Workが心地良い。GentleなVocalも雰囲気タップリ。

これまたご機嫌なイントロで始まる“As Feras”はGuilherme CoutinhoがElectric PianoとOrgan、Synthesizerを巧みに操りSpacyMeditativeな空間を生みだしている。弾き倒しのSynthesizerソロが面白い。

Foicera”は軽やかなStepを踏むような躍動感に満ちたWaltzにのった素朴な野郎Chorusが面白い。ギター・ソロやSynthesizerソロもイイ感じ。

Synthesizerが面白い音色で楽しませてくれるイントロから、ゆったりMellowな展開になる“Rio Corrente”。タメのきいた懐の深いリズム隊にのってギター・ソロやSynthesizerソロが展開される。飄々としたVocalもイイ味を出している。

Macareu”は哀感に満ちたイントロからVocalがGentleに語りかけてくるMellowな展開になるのが良い。Elegantなエレピに淡々としたVocalが良い。Psychedelic入った終わり方も良し。

軽快なTempoで迫ってくる“Fuga”は落ち着いたVocalに対抗してせわしなくフレーズを入れてくるエレピや隙あらば小技を入れたがるドラムスが面白い。

ベーシストのMini-Pauloこと Paulo Lavareda作の“Flauta De Bambu”。素人っぽいVocalが良い。

アルバム最後をシメるのは優美なエレピに聴き惚れるTema Pro Alvarito”。

(Hit-C Fiore)

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 Norma Jenkinsという女性Soul Singerが76年に残した、おそらく唯一と思われるアルバム、それが本日ご紹介する『Patience Is A Virtue』という作品なのだが、もう、コレがメチャクチャ自分好みの音盤で、そのパンチの効いたDeepでSoulfulな歌声に一時ドップリハマってしまったのであった。 New Jerseyを拠点として活動していたと思われるNorma JenkinsのプロとしてのキャリアはDolls/Norma Jenkins And The DollsというGirl GroupのLead Vocalとして始まっている。65年MalteseからMr. LuckyことGeorge KerrのProduce、Richard TeeのArrangeで“This Is Our Day/What's Next”、続けて翌66年に“A Lover's Stand/The Airplane Song”というご機嫌な7", Singleをリリースしている。67年にはCarnivalからJoe EvansのProduceで“Need Someone To Love/Me Myself And I”という、これまた最高に沁みるBalladとGirl GroupっぽいナンバーのカップリングでSolo Debut Singleをリリースしている。それにしても高音で少しHuskyになるのがたまらなく魅力的なSoulfulな歌声ときたら、素晴らしいとしか言いようがない。68年には再びGeirge KerrのProduceでTroy Keyes & Norma JenkinsとしてStatesideから“A Good Love Gone Bad/I Can Wait My Turn”、ABCから“A Good Love Gone Bad/I Can Wait My Turn”をリリース、これも最高ですなあ。そして73年にはGeorge KerrのKerr RecordsとAlithiaから “Go Home To Your Wife/One Girl Too Many”をリリース、さらにJeanからの7", 45 RPM, Single“Puzzle Man (Figure Me Out If You Can)”がFunkyで最高にキマっている。そして、とうとう本作の登場である。Produceは勿論、George Kerr。Buddah Recordsの子LabelとなるDesert Moon Recordsからリリースされたこのアルバムは、KerrやSam TaylorKenny SeymourMark BarkanLarry Alexanderらの手による楽曲群もNormaのDeepな歌唱を生かす渋い名曲に仕上がっている。

 

  『Patience Is A Virtue』はNorma Jenkinsが76年にリリースしたアルバム。ギターにJeff Mirnov、John Tropea、Michael Watson、鍵盤に Barry Miles、Bert Keyes、Funk BrothersからベースのBob BabbitにドラムスのAndrew Smithという演奏陣も素晴らしいバッキングでNormaを盛り立てている。

アルバム1発目はいきなりハチロクのMidium BalladLove Jones”。3分半過ぎまでギターとピアノが渋いインストかと思わせ、Normaの語りが入り、HuskyなSoulfulな歌声でジワジワと盛り上げていくのが最高。

Funkyな“I Fooled You (Didn't I)”もNormaのタメとパンチの効いた歌声が最高。女性Chorusを従えて堂々の歌いっぷり。

ここでLarry Alexander作の必殺泣きのハチロクBalladI Did It For Real”。これはもう最高としか言いようがないSoulfulな歌いっぷりにメロメロっす。

George Kerr作の“Can You Imagine That”はFunkyにイナタくキメている。

軽快な“Gimme Some (Of Your Love)”はHorn隊やStringは控えめにNormaの漆黒のVocalが冴えわたっている

Sam Taylor作の“Reachin' Out In Darkness”は哀感を湛えながらもSoulfulに力強く歌い上げていくNormaのVocalに脱帽。なんて伸びやかな歌声なんだろう。

Kenny Seymour作の“It's All Over Now”はFunkyな演奏をバックにあえて抑えた歌い方で始まり、女性Chorusを従えてSoulfulなVocalでジワジワと昇りつめていく。

アルバム最後をシメるのは高揚感に満ちた圧巻のBalladYou've Been Here Since Then”。最後までSoulfulな歌声は力強く、伸びやかで生命感に満ち溢れている。

(Hit-C Fiore)

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 Osannaといわれて、まず最初に思い浮かぶのは、反則かもしれないがこのアルバム『Preludio Tema Variazioni CanzonaMilano Calibro 9)』なのであった。Buenos Aires生まれの巨匠Luis BacalovがOsannaとCollaborationしたこのアルバムは、Fernando Di Leo監督により72年に公開されたPoliziottesco Filmイタリア犯罪アクション映画)『Milano Calibro 9Caliber 9/The Contract)』のSoundtrack盤として知られており、日本では、同じくLuis BacalovがNew Trollsと、本作より前にCollaborationしたアルバムで同じSoundtrack盤『Concerto Grosso Per I New Trolls』と共に70年代後半King RecordからEuropean Rock Collection 1800シリーズ目玉として、当時の欧州Rockファンから圧倒的な支持を得たのであった。友人のお姉さんの部屋で、それらのジャケットを見せてもらい、子供心に英米のRock Bandとは一味違ったArtな香りに満ちた雰囲気(ドイツ勢除く)に魅了され、後に中古レコード屋さんで、参考書代といってもらった小遣いを貯めて購入したのは懐かしい思い出である。さて、Osannaとしては71年リリースのDebut AlbumL'Uomo』に続く2作目のアルバムとなるのであるが、静と動、光と闇が混在し、幻想的で混沌とした南イタリア的な土着性呪術性に満ちたOsannaとLuis Bacalovの欧州的な抒情と哀感に満ちたOrchestraが絶妙のContrastを描きながら生み出されていく音世界は圧倒的な迫力と魅力に満ち溢れていた。ただし本盤は完全なOriginal SoundtrackではなくOsannaによる演奏は後にMilanで再録音されたものであり、実際に映画で使用されたのは、もっと荒々しいOsannaの演奏である。ベースのLello BrandiとドラムスのMassimo GuarinoによるItalyらしいドタバタした攻めのリズム隊にJimi Hendrix直系のDanilo RusticiのギターとElio D'AnnaのFluteとSaxが主役は俺だとばかりに煽りあう。そしてVocalのLino Vairettiは、ここでは最後の1曲のみVocalで後は素晴らしく効果的なArp 2600を弾いている。Osannaは次作となる73年の『Palepoli』で更なる高みへと昇り、唯一無比の存在となるのである。

 

 『Preludio Tema Variazioni CanzonaMilano Calibro 9)』は72年にリリースされたOsannaが音楽を担当した映画『Milano Calibro 9』のサントラ盤。

アルバム1曲目はLuis Bacalov作の“Prelude”。SpacyなArp2600Fluteに導かれ謎めいたOpeningから重厚で哀感に満ちたLuis Bacalov指揮のOrchestraが登場し、それに抗するかのようにBlusyでWildなギターとベースとドラムスが乱入、Fluteもまじえて一体となった演奏が素晴らしい。

続いてもLuis Bacalov作“Theme”。ピアノとArp2600、Orchestra、Acoustic Guitarによる哀しみに満ちた美しいイントロからギターが泣き叫ぶRockな演奏とのContrastが絶妙で、後半再びOrchsterationとピアノとArpが織り成す欧州的な抒情と哀愁に満ちた世界で幕を閉じる。次曲からはOsannaの手によるナンバー。

Variation I (To Plinius)”はShuffleのBeatにのってDanilo RusticiのギターとElio D'AnnaのSaxとFluteがAggresiveにキメまくる

Variation II (My Mind Flies)”はVibraphoneが幻想的なイントロからArpが唸りを上げ、Acoustic Guitarをバックに抒情的に歌い上げるVocalが登場する。そしてDanilo Rustici弾き倒しのギター・ソロが炸裂する。

Variation III”はElio D'Annaの独壇場で荒々しいFluteがここぞとばかりに暴れ回る

Variation IV”はこれぞOsannaの13/8拍子の変拍子炸裂するギターのRiffにのってFluteが浮遊していく。

Variation V”はLino Vairettiが弾くMellotronが幻想的な世界を描き出している。

Variation VI”はViolinから始まりDaniloのギターとMassimo Guarinoのバタバタしたドラムスガチでぶつかり合うWildな演奏。そして混沌へ。

Variation VII”はHeavyなギターとArpが混然としたJazz Rock

アルバム最後をシメるのはOrchestraをバックにLinoが英語で歌い上げる“There Will Be Time”。歌詞はThomas Stearns Eliotの『Ash Wednesday』から引用している

Variazione I/Osanna

(Hit-C Fiore)

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 Randy PieHamburg70年代に活動していたFunk Rock Groupである。欧州のJazz Rockを聴き漁っていた時、偶然彼らのこのDebut Albumに出会ったのだった。彼らもまた時代と共に音楽性が変化していったGroupで、徐々に米国西海岸風の音楽性が強くなっていった彼らであるが、この1st Albumでは後に展開していく、さまざまな音楽性が顔を覗かせつつも、根本にはBlues Rock/Jazz Rock的な要素が感じられて欧州らしい翳りと抒情も仄かに薫るところが気に入っている。所謂Krautrock的な流れからは外れた、ロイクなノリその音楽性ゆえに徹底的に、その筋のファンの方々から無視されたバンドであったが実力は申し分なしだし、ドイツらしいごった煮感も含めて個人的にはお気に入りのバンドのひとつである。Randy Pieは“The Witch”のヒットで知られる奇才Achim Reichel擁するPsychedelic入ったBeat Group The RattlesのDrummer Dicky Tarrachが結成したGroupで、The RattlesのベーシストManfred ThiersにPsychedelicなBeat Group The PetardsのギタリストBernd Wippich、鍵盤奏者のWerner Beckerという4人編成で本作を録音し73年Polydor傘下のZebraからリリースする。2曲でJohn F. BacardiによるArrangementによるStringsBrassを導入して、当時のドイツには珍しいBluesFunkSoulJazz的な要素を含んだこのアルバムは残念ながら商業的な成功を収めることはできなかったが、彼らは74年にPolydorから鍵盤奏者にAtlantisJean-Jacques Kravetz、ギターとSax、FluteのJochen Petersenを加えた6人編成となって、2nd AlbumHighway Driver』をリリースして、その後メンバー・チェンジを経ながらも活動を続けていく。本作は全体的に何をやりたいのかわからない煮え切らない部分が逆に他のKroutrockとは一線を画す彼ら独特の個性となっていて、彼らのその後の作品とは一味違う味わいが楽しめる。

 

 『Randy Pie』はRandy Pie73年Polydor傘下のZebraからリリースしたアルバム。

アルバム1曲目は不穏なOrganで始まる幻想的なAutumn”。John F. BacardiによるStringsが鳴り響き泣きのギターが炸裂し、エレピが彩りを添えSoulfulなVocalが登場すると、分厚いChorusが寄り添い、盛り上げ、WahをかけたギターがFunkyに躍動する。

FunkyなHammondで始まる“Ad Hoc”は跳ねる引き締まったリズム隊をバックにFluteが舞い、Hammondが唸りを上げ、ギターが絡む激カッコイイInstrumental Number

Guest参加のFrumpyRainer Baumannのギターが泣き叫ぶ“Sight-Seeing Tour (When I'm On My Way)”。FunkyなイントロにBluesyなVocalだけど鍵盤が欧州的な抒情と翳りを加えて、この時期の彼らにしか出せない独特の雰囲気を醸し出しているのが良い。

優美なElectric Pianoとギターから始まる“Outside-Inside”はChorusもバッチリキマッてFunkyながら、爽やかで心地良い曲調から後の米国西海岸寄りのサウンドが見え隠れするのが興味深い。Stephen Stillsの“Love the One You're With”風のキメが登場するのはご愛嬌。

ExoticでPsychedelic調のギターで始まる“Luie”。前半はBernd Wippichのギターが大活躍で主役ではあるが、ここでもJohn F. BacardiによるBrassが登場し、暑苦しくSoulfulなVocalを盛りたてている。Fluteがイイ味を出している。

John F. Bacardiによる抒情的なギターのArpeggioで始まる“6/8”。6/8というより12/16なノリは幻想的で、時にMahavishnu Orchestraを連想させるJazz Rock的なインスト曲

アルバム最後をシメるのは“Back To Universe”はアルバムで一番お気に入りのFunkyなHammondが炸裂するインスト曲。とはいえバックではStringsが鳴り響き、これが何ともいえない欧州詩情をかき立てている。

(Hit-C Fiore)

 

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 Teaseといえば2人の鍵盤奏者Rex SalasChuckii Booker、Vocalist Kipper Jones、ギタリストThomas Organ、という優れたMusicianを生んだLos AngelesのFunk Band。70年代後半から80年代にかけて活動していたが、彼らの存在を知ったのはメンバーのSolo Albumからであった。90年代にリリースされたSingerのKipper JonesのSolo Albumと、アルバム1作で脱退してしまったRex Salasの後任の鍵盤奏者Chuckii Bookerの89年リリースの1st Solo Albumは結構聴いていた思い入れのある作品で、遡って、彼らが在籍していたTeaseのアルバムを聴くようになって、その魅力にハマってしまったのだった。77年にLos AngelesでベースのCornelius Mims、ギターのThomas Organ、鍵盤のRex Salas、VocalのKipper Jones、ギターのJosef Andre Parson、Thomasの兄弟のドラムスDerek Organらによって結成された7th Heavenというバンドが母体となっている。79年バンド名をTeaseに変えるとSession Drummerとして活躍していたOllie E. Brownの推薦でRCA82年に契約を結んでいる。83年にOllie E. BrownのProduceでDebut Album『Tease』をリリースしている。アルバムもElectro-FunkなSingleFlash”、“What Should I Do”も残念ながら不発で、鍵盤奏者Rex SalasとベースのCornelius Mims、ギターのJosef Andre Parsonは脱退してしまう。86年にリリースされた2nd Albumとなる本作では当初からバンドに関わり前作にも参加していたバンドのブレーン的存在の鍵盤奏者Chuckii BookerがSalasを受け継ぎ(Rex Salasも1曲のみ参加)、ベースにはJay Shanklinというメンツで録音されている。ProduceLakesideStephen Shockleyが楽曲も提供しており、アルバムの完成度は前作から一気に上がった。この時代らしいPrinceの影響下にあるCoolなElectro-Funkから甘美で切ないBalladまでKipper JonesのVocalはやっぱり最高だ。彼らの最終作となるMtumeのProduceによる次作も素晴らしいアルバムに仕上がっている。

 

 『Tease』はTeaseが移籍したEpicから86年にリリースしたアルバム。

アルバム1発目はRex Salasが鍵盤で参加した“The Note”。この時代らしいPrinceの影響を大きく受けたCoolなElectro-FunkウネるSynthesizerが心地良い。Kipperと脱退したベースのCornelius Mimsの共作。

メンバーがLakesideのStephen Shockleyと共作した“Better Wild (Than Mild)”も、まんまPrinceなSynthesizerのフレーズが飛び出すなど、80年代らしいFunkであるが、VocalやChoorusにTeaseらしさを発揮しており完成度は高い。

LakesideのStephen Shockley単独作の“Firestarter”はMellowで切ない必殺のBallad憂いを湛えたSoulfulなKipper Jonesの歌いっぷりが最高である。

小気味よいカッティング・ギターウネるSynthesizerをバックにKipper JonesのVocalがキレキレの存在感を発揮するFunk“Body Heat”。James BrownのPartner Deidre Brownと娘のDeannaYammaの共作曲。

Chuckii BookerとKipperの共作“Total Control”。Kipperの生命感漲るVocalによって凡百のElectro-Funk。とは一線を画す作品に仕上がっている。

Kenneth Edmonds、つまりBabyface珠玉のBalladSoft Music”。泣きの入ったMelodyとジワジワ盛り上げるChorusが絶品でKipperのVocalも申し分なし。

メンバーの共作“Baby Be Mine”はアルバムで一番好きなナンバー。Jazzyな香りもたたえたSoulfulなKipperのVocalが最高でバックの引き締まった演奏も素晴らしい。

アルバム最後をシメるのは必殺のBalladI Wish You Were Here”。これは沁みますなあ

I Wish You Were Here/Tease

(Hit-C Fiore)

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 Dire StraitsのLiveだったら、個人的には初期の4人組だった頃の荒削りでイキのいい演奏が聴けるのが良い。あくまでも個人的な趣味であり好みの問題であるが鍵盤や管楽器もない4人だけの勢いのある演奏。後の円熟した味わいのあるDire Straitsは勿論、魅力的だし、その味わい深さを年を重ねるたびに、より楽しめるようになってきてはいるけれど。PunkとNew Wave全盛のLondonに突如現れた4人組。Punkにドップリ浸かった後にPaul Weller兄貴の影響でR&BやSoul、Funk、Jazzを聴くようになって、米国南部の音楽に出会った自分が夢中になったJ. J. Cale。そんな自分にとって、Caleの影響を受けまくったと思われるMark KnopflerのVocalもGuitarもモロにツボで、AlbumもSingleも買い集めたものだ。中学生の頃からPunk目当てで聴いていた大貫憲章さんのラジオで“Sultans Of Swing悲しきサルタン)”が流れた時のことは今でも覚えている。VocalとギターのMark Knopflerに弟でRhythm Guitar担当のDavid Knopfler、ベースのJohn IllsleyThe PrimitivesSpringBrewers Droop出身でBert Janschのアルバムでも叩いていたDrummerのPick Withersの4人組。本作はすべてDebut Album収録曲を演奏した78年7月22日の演奏と、1曲だけ3rd  Album『Making Movies』からの“Tunnel of Love”の演奏が収録されているが、そちらは弟のDavidが脱退後の80年代初頭の演奏を収録している。78年のDebut Albam発表後の演奏は4人の荒々しくも勢いのある演奏が最高だ。弟のDavid脱退後の演奏は、後任のギタリストHal LindesとDire Straitsの初代鍵盤奏者となったAlan Clarkが参加して円熟の演奏を聴かせてくれる。最後の1曲を除いた4人時代の演奏はスカスカだけど、やっぱりご機嫌である。この頃のMark Knopflerの尖がりぶりが、後の善人っぽいキャラと違っていて面白い。

 

 『Live At The BBC』はバンド解散後の95年にリリースされたDire Straitsの78年と81年の演奏を収録したLive Album。

アルバム1曲目はDebut Albumの冒頭を飾る“Down to the Waterline”。疾走感を持ちながら枯れた味わいのVocalとギターが最高だ。

まんまJ.J. CaleSix Blade Knife”。これまたギターがご機嫌ですなあ。

Slide Gutarが気持ち良い大好きな曲“Water of Love”。この曲もJ.J. Caleからの影響が強く、淡々としたVocalとChorusがイイ感じ。Bluesyでありながら、仄かにCountry Musicの香りも漂うところが面白い。

Wild West End”はイントロのタメのきいた心地良いリズム隊にのった2本のギターのEnsembleが実にイイ感じで、チョイBob Dylan入ったKnopflerも味わいがある。ここでもサビのChorusがご機嫌で、やっぱり、この4人は最高だったなあと思うのであった。

ここで飛び出すヒット曲Sultans Of Swing”。このイントロ、たまらんすなあ。歌詞も大好きだし、日本盤Singleも持っている大好きな曲なんだけど、あっさりとやっているところが良い。指弾きじゃなきゃ出せない、この音っすなあ。

Debut Albumの最後をシメる“Lions”。Davidのギターのカッティングに合わせて繰り出すイントロのギターのVolum奏法を使った柔らかくBluesyな音がやっぱり素晴らしい。そして、素っ気なく歌うVocalもイイ感じだ。

Studio Albumでは未発表だった弟Davidとの共作What's the Matter Baby?”。荒々しく勢いのある歌と演奏が良い。

最後は80年代初期の演奏で“Tunnel of Love”。イントロにRichard RodgersOscar Hammerstein IIのMusical『Carousel』から“The Carousel Waltz”を引用した11分越えの大曲を一気に聴かせる。

(Hit-C Fiore)