Equilibrio VitalはVenezuelaのCaribbean Sea沿岸に位置するAragua州の州都Maracayで70年代後半に結成されたRock Band。ギターとVocalのMarcos Chacón、ギターのCarlos Serga、ベースとFlute、ギターを演奏するGuillermo Gonzálezが創設時のメンバーで、80年後半には文学と演劇、Danceにも長けたSingerでPercussionと鍵盤も演奏する才女Elena Prietoが参加している。彼らは音楽のみならず、文学や舞台、Visualを中心とした芸術を通じてPositiveなMessageを人々に伝えることを目的としていたという。そして81年にはDrummerでSynthesizerも演奏するLaureano Rangelと、ベースとPercussionを演奏するArnoldo Sergaが加わって83年にRockやFolk、SalsaのレコードをリリースしているVenezuelaのLabel Colorと契約を結んでいる。Equilibrio Vitalは同年にDebut Album『Equilibrio Vital』をリリースしている。12月にはVenezuelaのRockを描いた映画『Rock Venezolano』にも同国のRock Band Témpano、Resistencia、La Misma Genteらと共に出演しているという。70年代以降、南米からも続々とProgressiveでSymphonicなGroupが誕生していたが、80年代に入って、Venezuelaから彼らのような舞台芸術や視覚芸術、文学、音楽を探求するMulti Art的な志向を持った連中が登場したことは興味深い。2000年に、絵画、小型グラフィック、炻器やガラスの作品、そして職人による陶芸全般を扱うTaller Equilibrio Vitalが設立されているようだ。まだまだ謎のVeilに包まれている同国の当時の音楽Sceneではあるが中々奥が深い。Venezuelaといえば、ドイツから同国に移住して活動していたVytas Brennerぐらいしか思いつかなかったが、Equilibrio Vitalも、南米らしい、かなり魅力的な個性を持ったGroupである。本作は彼らの2作目のアルバムとなるがElena Prietoののびやかで力強くも、時に愛らしいVocalに軽やかに舞うFluteがギターが攻めまくるDarkで捻りのあるSoundと絶妙のContrastを描きだす味わい深い作品となっている。
『Kazmor El Prisionero』はEquilibrio Vitalが84年にリリースしたアルバム。
アルバム1曲目は“El Ausente”。HardなツインギターとElena Prietoの愛らしくも力強くのびやかな歌声が南米らしい抒情的な世界を描き出す。Marcos Chacónのギター・ソロもイイ感じ。
タイトル曲“Kazmor El Prisionero”も男女VocalがHardな演奏をバックに情熱的に歌い上げるとFluteソロがガンガン仕掛けてくる。弾き倒しのギター・ソロも良し。
“Mi Canción Parte I”はギターのArpeggioをバックに男性Vocalが哀感に満ちた歌声で魅了する。徐々に盛り上げていく様は圧巻。
泣きのギターでいきなり始まる“Lluvia Cósmica”は引き締まったリズム隊にのってツイン・ギターが攻めたてていくのが心地良い。途中でPsychedelicな音響が入るも躊躇せず、あくまでもAggressiveにいくギターが良い。
Elena Prietoの麗しいScatで始まる“Advenimiento (Xskgriglam Parte I) Trayectoría (Xskgriglam Parte II)”。しかしバックの演奏はあくまでもAggressiveでHard。ガシガシとRiffと奇怪なフレーズをキメまくるギター、Scatはやがて妖しい魅力を放っていく。
“Prisa”もギターのRiffがゴリゴリ迫りまくるShuffle。ここでのPrietoのVocalはEmotionalで時にEccentric。ギターは最後に弾き倒しで迫ってくる。
Elena Prietoの優美なScatとギターのHarmonics奏法を駆使したMysteriousかつEthnicに迫るイントロがイイ感じの“Yellenik (Bailarina De Cristal)”。生命感漲るShuffleに展開していく。
“Inocentes Perdidos”は南米らしい哀感を湛えた歌モノ。子供の声が入るのが面白い。
アルバム最後をシメるのはEmotionalなギターが攻めまくるShuffle“Mi Canción Parte II”。Vocalは南米らしい歌心に満ちているのが面白い。
(Hit-C Fiore)