まだ大晦日のバンクーバーから、みなさまこんにちは。2022年も放置気味のこのブログでしたが月1くらいで急に150 view ある日があったりしてびっくり。海外ワーホリ・留学もまた波がきているのかしらと思ったりしています。何かと参考になるところがあればよいのですが。皆様が安全で穏やかに新年を迎えられていますように。

 

門松 絵馬 お年玉

 

さて、今回ラジオトークの音声配信で、大学院進学を目指すにあたりどうやって国や地域を絞っていったかという話しをしたので、ブログではもう少し精度を上げて、私がどういった思考フィルターを使って出願校を絞っていったかを書いていこうと思います。 

 

院進学なので当たり前ですが、はじめに私は

1.行きたい学部が美術史(Art History)で決まっていた

2.その中でも院で専門的に研究したい分野のアイデアがざっくりと複数に絞られていた

ことをふまえて、世界中に何万とある教育機関の中で、自分のしたい研究をサポートしてくれそうな学科と先生のいるところを探しました。

 

1.まずは地域を 広く → 狭く 見ていく

 

まずどの国や地域に憧れるかという先入観(バイアス)を捨てて、自分の行きたい学部が強い教育機関を探します。音声配信でも話しましたが、私の場合はとにかく人に尋ねました。

 

自分の学部時代の指導教官に、美術史の分野で有名な大学の名前をおしえてもらいメモ、教科書とか自分の興味ある論文などの出版物を書いた博士の名前からその先生がの所属大学を調べて候補にいれる。同じ学部の先輩が行った大学院もチェック。ボランティア先や学会で偶然知り合った方が何か情報を知っているかもしれないし。とにかく際限なく大学名とそこに関する情報をメモ程度にダンプするスプレッドシートを作成しました。

 

ちなみに、私はこれはやらなかったんですが、ヨーロッパの大学院に進学した友人がその先輩から聞いた話では、「自分のやりたい学部の強さが世界ランキング100以内に入っていない大学院に行ってもそんなに意味はないかな」というご意見があったそうなので(私もそれは理にかなっていると思う。)サーチエンジンで自分の研究分野での世界大学ランキングを検索して、リスト100位以内に入っている大学名の名前だけさらっと目を通しておくのもいいと思います。名前だけ頭のどこかにあればそこから別のアプローチで情報集めたときに何回も名前が出てくる機関があると思うのでそういうところの方がご縁がありそう、と予想します。(リストアップされている学校のHPをしらみつぶしに探していくのは時間がかかりすぎるのでさすがにおすすめしないです。)

 

では、ここからフィルターの層を増やしていきます。

 

 

2.自分の強み(特に言語スキル)

 

一つ目の段階では、台湾の大学院もいいな...、と思ったのですが、授業が英語ではなかったので外しました。英語と日本語しかできないのに新しい言語学びながら修士課程で研究するのはさすがに現実的ではないよな、と。博士課程に行きたくて第三リサーチ言語の習得(※1)を視野に入れてのことならまだしも。なので日英の二言語しかできない私の場合は英語で生活して英語で授業を受けられる英語圏、詳しくは欧米の大学だけに絞りました。
オーストラリアとNZは、自分のやりたい研究ができる環境の整った大学院がいまいち見つからなくて自動的に外れた記憶...。
 
留学生には現地生より高額な学費を請求する教育機関が多いので、その分自分が日本語ネイティブスピーカーであるという特徴を活かしてTA, RAポジションを得て副収入さらに将来的にレジュメにかけそうな職歴が得られそうな大学院に行くのも大事かもしれません。(もちろんそれらのポジションに恵まれなくても、個人的に日本語チューターとか家庭教師、自分の研究分野や内容に関係したバイトなど、諸々できそうな環境に身をおくのも大事です。)
 
※1 ちなみに美術史や文学系の分野では、博士課程まで行くと研究する地域や分野に合った第二外国語を学んで試験をパスしないといけません。この言語で書かれている資料を読んで研究で引用しないといけない、ということでリサーチ言語と呼びます。西洋美術だったら伝統的なリサーチ言語はフランス語かドイツ語。東洋美術だったら日本語かマンダリン中国語が王道。例えば日本語ネイティブだとしても、アメリカで西洋美術の博士取るなら普段英語で授業受けて論文も書くけど、仏語とドイツ語の資料も読めないといけないから仏語とドイツ語の試験もパスしないとだめ。大学によってリサーチ言語に認めてくれる言語が違うので注意。まれにトップレベルの大学院だと修士号でさえも第二リサーチ言語テストされるところもあるので注意。(普通は英語プラスもう一つのリサーチ言語でOK。)権威主義的なルールなので最近はゆるくなってるのかしら、どうかしら。私の在学していた2020年時点でうちの学科では原住民の言語とかファーシー(イランの言葉)も研究言語として単位を認めた方がいいって議論になっておりました。(たしかにイランのアートを英語で研究したいって言ってる修士学生にフランス語の試験パスしないと卒業させないっていうのもわけがわからない話なので。)

 

3.長年住めそうな町、自分にあった環境を選ぶ

 

数年間、知らない環境で勉強漬けの日々になるので、心身を病まないような、自分にあった町に住むのは大事かなと思います。

 

これは個人差がでるところですが、私の場合は

1.緑が多い環境

2.親切な人が多い環境

3.自分で車を運転する必要のないよう、バス電車など公共交通機関がある程度発達している町

 

の3点が一番大事な条件だったので、このうち2点はクリアしている町にある大学院に応募するというのは決めていました。このぜったい譲れない条件は、自己対話と自己分析を深めて、三つだけにしぼるのをおすすめします。それ以上条件があると決められなくなると思うので。

 

 

4.将来性も考える

 

これはあくまで個人的な経緯ですが、私は「学位取得後も現地に残って職務経験を積みたい、またあわよくば永住権も取りたい」と考えていたので、アメリカより就労許可証と永住権が出やすいと人づてに聞いたカナダの大学院を積極的に調べるようになりました。

 

もちろん卒業後日本での就職を考えている人は、在学中から日本の就活がある程度できそうな大学(企業の人がキャンパス訪問や面接をしてくれる、など。)もいいかと思います。極論どこで留学していても今の時代はオンラインで準備できるものがほとんどだし、ボスキャリやロンドンのキャリアフォーラム等にいくのももちろんありなので、そこまで大きいファクターではないかもしれません。大学を出るときに様々な理由から就職ではなく研究の道を選んでいると思うので、もちろんまず夢だった海外留学を、というのもいいけれど、卒業した先の未来のことも戦略的に考えて進学先の地域、国、町を選ぶのが理想的だと考えています。

 

私は日本企業への就活が尋常でないくらい下手だし向いて無かったのでまたそこの失敗談もいつか書けたらいいなと思います。(というか理不尽かつ面白なネタが多いので供養したい)

 

ではまた!Wishing you a wonderful new year! ブーケ1