心配症なせいか、10代の頃から、

イレギュラーなことがあると胃腸に不調が起こりやすい。

過敏性腸症候群の診断も受けていて、

下痢くらいならよくあること。


しかし、イレギュラーの度合いが上がると、

腸というより胃に不調が起こる。

とはいえ、そこまでいくことは稀なのと、

やぶへびで胃カメラ検査になるのが怖いのとで、

長い間、市販薬で対応していた。


2018年の秋、

市販薬では効果がない痛みがあり、

仕方なく受診することにした。

ちょうど、

居住地の市民病院の消化器内科が学校と近く、

授業に穴を空けずに受診できそうなだったことと、

「鎮静剤で苦痛なく胃カメラ検査ができる」

と評判であることから、

その病院で受診。

診てくださったH先生は、

「今まで1回も検査したことがないなら、

胃カメラをしておく方がいいと思うけどね」

と仰りながらも、

ネキシウムで様子をみることになり、

幸い、痛みはそれで治まった。


そして、2019年の3月。


卒業式が無事に終わり、一息ついた午後、

微かに胃が痛み始めた。

いつもならネキシウムで治まるのに、

その日は痛みが強まる一方で、

祝賀会からの帰りのタクシーの中、

痛みと吐き気を堪えるのに難儀した。


卒業式までの忙しさや、

生徒たちとの別れの寂しさ、

袴を着るために寝不足になっていたことなど、

思い当たる原因はいろいろあった。


いつもなら、じきに回復するのに、

翌日の午後になっても強い痛みがあり、

胃カメラを頑なに避けてきた私も、

観念して検査を受けることにした。


鎮静剤を打つと、

その日は車の運転ができないということで、

休暇を取りやすい春休み期間に検査を予約。


H先生の話では、

「鎮静剤は麻酔とは違って、意識が無くなる訳ではないが、

朦朧としているうちに検査が終わる、という患者さんが多い。

ただ、必ずそうなる訳ではなく、

全く眠くならなかった、と言う患者さんも少なくない。

結局は運次第なので、

運が悪ければ、

鎮静剤が効かないことも覚悟しておいて下さい。」


とのこと。


以前、手術を受けたときに、

麻酔が効くまで時間がかかったことを思い出し、不安になるが、

そもそも麻酔とは違うし、

いつでもどこでも眠りに落ちやすい体質だし、

(子供の頃、歩きながら寝てしまい川に落ちたこともある)

多分大丈夫、と自分に暗示をかけ、

検査当日を迎えた。


鎮静剤は直ぐに効くとのことで、

検査台に横になり、

口を開ける装置を噛まされた状態で、

指先から鎮静剤を注射された。

直後、全く何の変化も起きないのに、

「カメラ入れていきますね~」と言われ、

カメラが顔に近づいてきた。


慌てて手を挙げながら声を出すと

噛まされているものを外された。


「どうされましたか?」

「鎮静剤がまだ効いていません」 

「えっ…すぐ効くはずなんですが。

もう1本までなら追加できるんで、

追加しますね」


さらに注射されたが、何も変わらない。


「まだ効きませんか?」

「変わりません」

「…これ以上量を増やすことはできないので

申し訳ありませんが諦めて下さい。

じゃあ、カメラ入れますね」


えーっ!!!

自分は運の悪いグループだったか!!

意識がバッチリある状態での検査になったが、

それでも体の緊張は抜けているのか、

不思議と苦痛は無かった。


検査後、H先生の診断。

「大変きれいで、いたって健康な胃です。

にも関わらず痛みがあるのは、

たまたまそのとき機能的に調子が悪いということなので、

これまでどおり、

痛いときはネキシウムで対処して、

また何か異常があれば

そのとき改めて受診していただくということでいいでしょう。」


検査で「運の悪いグループ」だったのは残念だが、

疾患が無いとわかってひと安心。

ホッとしたせいか、

精算窓口で会計を待っているときに、

倒れそうな脱力感が襲ってきた。

鎮静剤の効き目がそんなに遅れて現れるなんて、

何とも皮肉なもんだ。



(「2017年度から2021年度 その5~母との別れ~」へ続く )



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