一瞬覚える悲しみ

ハナちゃん

 「ウー、ワンワン」ノーフォークテリヤのハナちゃんが、猫と対峙しているときに発する声である。それを聞いて、ああこの子は犬だったんだよなあと我に返るのである。

 ハナちゃんは7歳、生まれて程なくしてうちに来たから、7年近く一緒にいることになる。その間互いの気持ちが分かるようになり、意思疎通が図れるようになった。

 散歩に行きたいときの気持ち、おやつを食べたいときの気持ち、その他いろいろな時のハナちゃんの熱い気持ちが分かるのである。

 一緒に生活をしている我々はハナちゃんが犬だという感覚が薄れてきており、同じ人間の仲間として付き合っているような気持になっているのである。

 うちでは食事するときは椅子テーブルに座って食べる。その席が空いてるところにハナちゃんが座りたいと椅子に手をかけるのである。そこに引っ張り上げて載せてあげる。そうしてハナちゃんは一人前に座って食事の仲間になるのである。座っているだけで我々のご飯を欲しがらないのもいじらしいのだが、そういうことも犬と感じていないことの一つなのかなと思う。

ハナちゃん

 そのような感覚的な位置づけでいるときに、ハナちゃんが吠えることがある。そうすると、ああハナちゃんは犬だったか・・・とあらためて気付くのである、と同時に何ともやるせない気持ちになるのである。

 ハナちゃんが人間であってほしいという思いから、人間と犬、どうしようもない現実に我に返る。そして近い将来、寿命の差から別れが来るのだよな・・・と一瞬悲しみを感じるのである。

令和6年4月23日