こんにちは~!
前回の続きです。
前回記事では「日本で流通する生薬は日本薬局方に基づいた試験により安全が確認されている」という話でしたね。
しかしながら、これは「物質」として安全ということです。
いかに「安全な物質」とは言え、適当に使っていい訳ではありません。
生薬にも使い方の指針みたいなものがあり、それに沿って使うことにより安全となります。
その指針となるのが前述の神農本草経です。
生薬の薬効のみならず、安全に使用できるようにグループ分けまでしてくれてます。
それが、上品・中品・下品の三品分類ですね。
これは、「下品より上品の方がエライ!!!」と言った格付けではなく、それぞれの生薬の性質によって分類されています。
例えば上品ですが、これは作用が穏やかで長期間の服用でも副作用がおこらない生薬が含まれており、人参・甘草・地黄などが上品に当たります。
これらを主薬とした六君子湯・補中益気湯・六味丸などは長期に服用して体質改善をする処方です。
次の中品は、穏やかな作用で短期間の服用なら副作用も少ないといった生薬で、柴胡や当帰などが有名ですかね。
中品は上品を補助すると言った役割もあります。
そして、最後の下品!
字面から「下級な生薬では???」といった誤解を受けがちですが、作用が強いのはこのグループなのです。
附子・半夏・麻黄などがそうですね。
薬効が強いが故に「使う量や期間に注意しなければ副作用がでる!!!」と言われていますが、前にも言いましたが副作用という言い方はあまり好きじゃありません。
副作用というより使い方が問題だったりします。
例えば附子は強力に冷えをとる生薬ですが、冷えが改善されたにも関わらず、漫然と使い続けると温めすぎでのぼせがでたりします。
半夏も痰湿を乾かすのに重要な生薬ですが、痰湿が解消されたのにずっと使っていると、肺や気管支が乾燥してしまいます。
この下品の生薬を主薬にした処方は「治ったら止めろよ・・・」が正しい使い方なのです。
ですから、コロナ以降の漢方の使い方を見ていると危ないものがあります・・・
確かにコロナに有効な処方は多いですが、治ったにも関わらず「予防のため」と1年以上も服用しているケースを数件見かけました。
麻黄湯と麻杏甘石湯と半夏厚朴湯の併用は、コロナ初期の肺熱の状態には非常に有効ですが、これは予防に服用する組成にはなっていません。
麻黄に半夏に石膏なんてずっと飲んでたら肺は乾くし冷えるでしょうが~!っと危惧しております。
これで「漢方薬にも副作用がある」と言われても、神農も困ることでしょう。
漢方薬と言えども自己判断で何年も飲むのは好ましくないので、漢方薬局か漢方の専門クリニックの先生に相談してくださいね。
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