【面白ライブレポ】高野京介と1997年「ロックマン」レコ発ワンマン@渋谷ラママ | とかげ日記

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SuiseiNoboAz、ゲスバンドのギタリストであり、とかげ日記読者にはおなじみの「うみのて」の元ギタリスト高野京介が渋谷ラママでのソロワンマンライブをバンド形態で敢行。朝に降っていた雪はやんだ。高野さんの魔術のせいだろう。そして、今日の会場である渋谷ラママ(キャパ120人)は満員御礼だった。これは、高野さんの魅力のせいだろう。

渋谷ラママ(La. mama)は個人的にJpopやJrockの聖地であるという印象を持っている。僕の好きなスピッツ、Mr. Children、THE YELLOW MONKEY、比較的最近ではSuchmosやあいみょんがブレイク前に出演していたことからも知られる老舗のライブハウスだ。個人的に思い入れのあるライブハウスだから(来たのは初めてだけど)、高野さんをこのライブハウスで観れて嬉しかった。




ライブの宣伝ビラに書かれた自己紹介「待ちガイルにザンギエフで挑むような人生を歩む」。ストリートファイターシリーズをやったことがある方はご存知だろうが、それは無謀な闘い。鈍足なザンギエフ。ガイルの繰り出す飛び道具のソニックブームで近寄れず、空中からいったらサマーソルトキックで返り討ちにされる。(ちなみに、よーよーの持ちキャラはリュウとザンギエフ。)とてもシンパシーを感じる。自分も難病を抱え、回復困難とされても立ち向かってきたから。

MVやサブスクでも聴けるリード曲の「ロックマン」がライブでも素晴らしい。歌詞に登場するときメモ、ドラクエ、ファイナルファンタジー、そして曲名のロックマン。ゲーム好きの自己ゆえのロックソング(存在証明)を鳴らす。痛切なシャウトに胸を焦がす名曲。



くるり「東京」のコード進行とパーンパンのコーラスを拝借して、そのノスタルジックな哀切の叫びと東京にやってきた自分の心情を重ね合わせる高野さん。クラシックのカノン進行を取り入れると、とたんにホーリーな名曲になるように、「東京」のコード進行は泣きたくなるようなわびしさの源へ僕らを連れていく。

音楽リスナー歴も浅くない身(耳)として、心に伝えようとする音楽はすぐに分かる。この音楽は心に伝えようとしている。

不潔な魂を排除しようとする、清廉潔白しか許されない世界で、薄汚い魂の者としてロックを鳴らし、日々を仲間と生きていく。そんな切実な表白が聴こえてくる。「ロックマン」におけるイントロの繊細なピアノの旋律(ライブではギターだった)で曲の世界にスッと入ったまま、曲後半のオルタナティブなギターサウンドと絶唱に心と身体を揺らしてほしい。

率直に言えば、音程も声量も含めて彼の歌はあまり上手くない。だが、歌声には引き裂かれた魂が宿っている。不潔と高貴に裂かれた魂がむき出しに迫ってくる。この歌は、この言葉は本物だ。サポートの3人は百戦錬磨の手だれで、彼の歌をドラマチックに盛り立てる。

開演前のSEでは、ゲーム音楽の名曲たちがかかっていた。これはロマサガ2だったっけ? FF6だったっけ?と愉しく考えているうちに時間が過ぎた。

開演後、1曲目に演奏されたファズギターの轟音の洪水で観客の胸ぐらをつかみ、否が応でも胸襟を開かせる。

その後も、ざっくばらんなMCとリスナーのツボを的確に突いてくる曲で全観客を掌握。芸人並みにトークの天才である「クリトリック・リス」や「水中、それは苦しい」のようなセクシージョークや明け透けな場末の笑い話は最高にキまっていた。(よーよーは下ネタをセクシージョークと呼ぶ。AV女優がセクシー女優と呼ばれるようになったように。)

「ロックマン」でくるりのパーンパンコーラスを観客に歌わせるくだりでは、くるりがライブで第九を観客に歌わせた逸話を思い出した。

曲調も速い曲もあれば、即興に聴こえるが実はカンペありのポエトリーラップ(不可思議/wonderboyやMOROHAを彷彿とさせた)もあったり、バラエティ豊かで飽きさせなかった。事前に発表されていた曲は「ロックマン」しかなかったのに、初めて聴いたどの曲も個々に曲と演奏の旨みがあった。また、高野さんのストラトキャスターは音作りもソロも魅力(魔力)的だった。

「遺作がやっと作れた気がします」と高野さんはツイートしていたが、最後の作品にするにはもったいない。また、今日のライブも「The Last Live」と称しているが、最後のライブにするにはもったいない。

音楽家としての高野さんを僕は信頼している。これからも熱く素敵な音楽を鳴らしてほしい。そして、な、なんと最後の曲の前で高野さんから結婚報告があった。これからは家庭を育むことと自分(たち)の音楽を追究することの両輪で活躍されることを願っています。

そんな訳でCD「ロックマン」もゲットしてホクホク顔で家路に着きました🥳

---LIVE詳細---
■3/8金
渋谷La.mama
高野京介「ロックマン」レコ発
『The Last Live』

出演:
高野京介と1997年(Band Set)

VoGt 高野 @takanomerde
Gt 小森 @kiyotakakomori
Ba はらだ @RAM_256kb
Ds マスシン @masudaforest

20:00st 前売3000円

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