スポーの“ここがヘンだよ闘牛士!”

四日(土)
午前二時すぎに寝る。

午前九時すぎに起きる。休日。
サイトに使えるものはないかと、昔のネームなどを掘り起こして読み返す。初稿が笑えた。しかし、実用的ではないか。やっぱり一番好きな戯曲は背だな。
課題として残っていた、中野小説の暗号作成、そして枚数調整をする。八十枚。
これでよし……しかし、あと一年、寝かせることになるのだが。さすがに一年は長い。サイトに載せてみるか。

五日(日)
その掲載作業が大変だ。まァ、いまはそれをやってても別にいいか。
午前三時くらいに寝る。

午前九時半くらいに起きる。休日。
あかん、完全にサイト依存症になっとる。そりゃ動向は気になるけども、日常的にスマホでは見ないようにしよう。延々と見てしまう。眼精疲労がひどくなる。
勉強会。全然クソミソってわけではなかったが、直す余地はありすぎるほどある。また再考だな……。K田サンもスジにバックしていたので、こぢんまりした会の内容に。
K田サンがいっていたことがタイムリーであった――好きな物事は変動するものだ。いま好きなものは、あくまでこれまでの経験があった上に築かれたもの。いま嫌いなものは、今後好きになる可能性がある。いまの好きにこだわる必要はない……と。
僕も博奕とミステリーにこだわりつづける必要はない。書くな、ということではない。こだわるな、と。
コーヒーとメシ。

六日(月)
午前三時すぎに寝る。

午前十時に起きる。休日。
買い出し。読むべき本はいろいろできたが、とりあえず、読みかけだった藤原伊織のとある短編を読む。それに、えらく打ちのめされた。良すぎる……。
気づけばこんな時期なので、一族と山越をNM、GoToをEFに出しておく。
それにしても――しっちゃかめっちゃかな小説は、いまの時代では求められていないんだろうな。毎年読んでるOH賞受賞作はやはり参考になるかも。本家OHのように、けっして大仰な設定や壮大な舞台、目まぐるしい展開が求められているのではなく、必要なのはじっとりとした暗い過去、全体に落ちついたトーン、感情移入できるリアルな人物……。むしろ純文学寄りといってもいいくらいの文体に、ミステリーやサスペンスを加味するという方法だ。

七日(火)
そういえば、ディグの精神、忘れてないか。山越も、発端はあの短編だったことを思い出せ。
午前零時半くらいに寝る。

明け方、狭心症発動。初のニトロを飲む。しかし、ちょっとペースが早い気が……心配だねえ。
午前八時に起きる。
寝坊したし、このついでに病院に行こうか悩んだが、いまの時点ではまた行っても仕方ないし、見送り。仕事。

八日(水)
午前一時前に寝る。

午前八時に起きる。仕事。

九日(木)
午前零時半に寝る。

午前八時前に起きる。仕事。
遠藤周作『わたしが・棄てた・女』を読む。
大学生の吉岡が童貞を棄てるためだけに引っかけて、抱いて棄てた、森田ミツという田舎娘。二人は別れ、吉岡は順風満帆な人生を進む一方、ミツは世間の荒波に揉まれ、そのお人よしの気性ゆえに損ばかりをし、転がり落ちるように人生を歩んでいく。通俗小説と見せかけ、これには読後、凄まじい感動が待っている。とある聖女の一生……。

十日(金)
午前零時半に寝る。

午前八時前に起きる。仕事。

市場に踊らされている。こんなことばかりに時間をかけていちゃダメだ。頑張る、というのはちょっとちがうぞ。

そんなことより、ヒントを求める日々……。

修理に出していたジッポーが返ってきた。一ヶ月くらいか。意外と早かった。

 

 

二十七日(土)
午前一時半に寝る。

午前八時半に起きる。休日。
日によって波はあるが、飼い猫にまだ跛行が見られるので、ふたたび動物病院へ。関節症の可能性が高いと。前回とは別の注射をもらって、とりあえずまた一ヶ月様子見。
次は自分自身が注射をもらうために麻酔科へ。喉にブロック、肩にトリガー。だいぶスッキリしたかな。
買い出し。スジを書き進める。
しかしなあ。職業のことをもっと書かないと意味ないだろう。ただの詐欺話になってしまう。

二十八日(日)
午前二時すぎに寝る。

午前十時前に起きる。休日。
買い出し。おかきを買う。気づいたら、猫の跛行が治っている。
スジと向き合う。にっちもさっちもいかん。短編だぞ。あまり重々しく考えず、数多くある"製作"の中で、これはこれとして、もっとサクッと、こしらえられないものかね。これくらいのことができないようじゃ、お先真っ暗じゃろ。

二十九日(月)
一気にラスト近くまで書いてみたが……、最後の仕返しの手段がない。
午前三時くらいに寝る。

午前十時くらいに起きる。休日。買い出し。
試しに某サイトをはじめた。センセもやっていて、ハマっているらしいプラットフォーム。少しお邪魔してみようかと。もう使い道はなさそうな二作を上げてみる。
スジ。小さく、本当に小さく、まとまったが、なんとかまとまったので、刷る。K田サンにも送る。
しっかし、なんかなあ……こんなの書いててもダメな気がする。面白くねえよ。書きたかねえ。

やっぱり、書くことがあるかどうかに尽きる、というのは萬月もいってたけど、そこから逃げるのは自分で自分の首を絞めてるだけなのではないか。それに、実際問題として、いいとこまでいくのは博奕なんだよな。
かといって、博奕一辺倒ではダメ。博奕×〇〇。何を掛け合わせるかに腐心する。もはや、それだけに意識を傾けるべきなのではないか。
しつこくそこを突いていくのが、僕にとっての王道なんだろう。要は、一番引っかかりのあるKM賞のストックを、ひたすら作りつづけるということ。

三十日(火)
午前零時半すぎに寝る。

午前八時前に起きる。雨。仕事。
センセ宛てに投函。でもこれも、よく見たら博奕は絡んでるけどな……。
それにしても、王道の博奕でいくぞ! と思ったとたんに、心が活力を取り戻したようだ。KM賞のストックを作りつづける。そのためにはミステリー要素も必須となる。

一日(水)
午前一時前に寝る。

午前八時前に起きる。雨。仕事。
サイトで思ったより動きがあったので、ついつい見てしまう。

二日(木)
午前零時半に寝る。

午前八時前に起きる。仕事。
サイトはほどほどにしないとな……これって一種の営業活動だな。頭痛さえおぼえる。

三日(金)
午前一時半すぎに寝る。

午前十時前に起きる。休日。買い出し。
西村寿行『化石の荒野』を読む。
警視庁捜査一課の仁科はある日、暴漢に拉致される。目覚めると、はじめて訪れるマンションの一室。目の前には胸を銃で撃たれて死んでいる見知らぬ男がいた。仁科の所持していた拳銃で殺されていたのだ。何者かに殺人刑事の汚名を着せられた仁科の逃亡がはじまる。一体、誰が仁科を陥れたのか? 死んだ男は? その謎は、仁科の出生の秘密にもかかわっていた。終戦前後のこと、仁科の母は軍の機密情報を握る謎の男たちに犯された。そうして産み落とされたのが仁科だ。自分を陥れようとする人物を探ることは、憎むべき父の正体を追うことにもつながる……。
面白いのはもちろんである。

 

 

二十日(土)
午前三時すぎに寝る。

午前九時すぎに起きる。休日。
朝から一族直し。直し終える。しかし、まだ漏れはありそうだ。もう一回くらいは通しで見直したいところ。
A県の賞向けに、昔、短編だったころの慰霊が使えるかもとまた性懲りもなく悪知恵が働き、少しだけ枚数が足りなかったから直してみる。まァ、わるくないですね。
買い出し。
西村寿行『宴は終わりぬ』を読む。
エッセイ集。おもに、肚の立ったエピソード。それよりも五木寛之との往復書簡がもっとも興味深かった。
山越はできれば時代を明記したくなかったが、単純にわかりにくくなるきらいがあると感じ、ハッキリと書き直した。
一族の見直し、二周目。やっぱり修正漏れが気になるから。しかし、明日で終わるかねぇ……。
S江賞用の雪解小説も体裁をととのえておく。

二十一日(日)
リライトはいいけど、どこがダメだったかをちゃんと分析して……という言葉を吟味する。
やっぱり一族に関しては、現実のデリケートな社会問題をあげつらっているところが一番のネックなのではないかと感じる。今回、時期こそ変えたが……どうなのか。物語の根幹にかかわる部分なので、どうしようもないのか。
午前一時半すぎに寝る。

午前十一時前に起きる。雨。休日。
起きて、ふと思う。あの社員を、女から男に変えたらどうか。そうすれば、あの事件を連想する者はいなくなるだろう。試しにやってみるか。どうせ大きく変えなきゃ無理なんだ。

二十二日(月)
なんとか今日で最後まで直し終えた……。問題の人物を男に変え、時期変更漏れのチェックも同時に(やはりいくつか漏れはあった)。そして改行を効果的に入れて読みやすく。いままでで一番よくなったか。あの事件を連想しなくなったのが何より。まァしかし、これでもどう思われるかはわからんけどね……やるべきことはやった感がある。
これにて五月、六月の弾はすべて揃った。明日から一週間、完全に頭を切り替えて、新作のスジをやるぞ!
午前一時すぎに寝る。

午前八時前に起きる。仕事。
狭心症の発動。またも死にかける。ちょうどヒマでいい機会なので、明日は半休で病院に行こうかと。

二十三日(火)
午前一時すぎに寝る。

午前九時すぎに起きる。雨。午前休。
循環器内科へ。レントゲン、心電図。少し怪しいところが見られたということで、超音波検査も。いまのところは問題なし。しかしながら、冠攣縮性狭心症の予備軍であることはたしかだ。頓服薬としてニトロをいただく。おっかないねぇ。
仕事。
人生は短い。新たなスジを書き殴りはじめている。こちらはまず、長いものか、短いものかを決めないことには……。

二十四日(水)
午前一時前に寝る。

午前八時前に起きる。雨。仕事。
書き殴ってはいるが……まとまらん。来年のKMとなると先が長すぎる。来年のOHを目標にしようか、とりあえず。何かを見据えないと。

二十五日(木)
午前零時半に寝る。

午前八時前に起きる。仕事。
あーあ。なんも出ねえ。
って腐ってたら、浅沢英の新作がついに出るとの情報が入る。来たか。これはさすがに気になるな。

二十六日(金)
同時に燃え、やる気だけは湧く。目標は絶対に来年のOHだ。

そのはずみで、今年のOHに出した振替小説を読み返してみる。やっぱり雰囲気はバッチリ合っている。せめて一の門は通過できたら嬉しいんだけどな。

午前一時前に寝る。

午前八時前に起きる。仕事。
ERの一の門を通過していた。はァ、とため息。わるい意味ではなく。ひさびさの通過で、しかもERなので、ちょっとホッとしたね。
思いのほか、早く結果が出たので、次の選択肢が増えた。が、やはり読み返してみても、この軽めの雰囲気はKMS賞以外にないと感じた。
さて、三連休がはじまる。結局、スジは全然できちゃいないんだが、なんとなく方向性は見えたような気が……。三連休あるんだから大丈夫大丈夫。

 

 

十三日(土)
安孫子正浩「等圧線」を読む。
事故で父を亡くし、過去に恋人との別れで自傷行為をしたことのある友畑。彼女の働くスーパーにやってきた吉崎という男。彼の謎の行動を目撃した友畑は、彼の内に秘められた深い闇に気づく。同じころ、スーパーには一人の男を探る記者からの電話が鳴るようになり……。なんともいえない。
午前二時半に寝る。

午前九時すぎに起きる。休日。すっかりぬくなった。
麻酔科。トリガーをいただき、そのあとは名医で薬だけもらう。買い出し。
振替小説をOH賞用に刷る。雰囲気は合ってるんだよなあ。

十四日(日)
とにかく、人生は一瞬だ。やることやらないと。
一族を直そうとしたが……うーん。いろいろ齟齬が出てきそう。
午前二時すぎに寝る。

午前九時すぎに起きる。休日。
大量のシュレッダー、埃の溜まったパソコン、軽く部屋の掃除。買い出し。
バルコニーで狩りを楽しむアダンソンを見つけた。この春、はじめて目にするハエトリグモ。いいもんだねえ。
一族の直しを、時期を変えてぼちぼちやってみている。たぶん直せるだろうけど、なんかリズムわるいな。書きすぎてる感じがする。
なぜリズム、テンポ、文章がわるく感じるのか。SS賞用に文章をつなげすぎたのだ。元のかたちを読み直すと、文章自体はほとんど変わりないのに、段落を取っているから読み心地がスムーズだ。段落って偉大だね……。つまり、直すとしても、こちらのほうだ。
年表を見直し、あらためて元のかたちの一族を直しはじめる。思いのほか、順調に三分の一はクリア。読み心地もスムーズ。背景を年末年始からお盆に変えただけで、わりとわだかまりはなくなった。やっぱり中傷的な意味合いに取られて、いままでダメだったのかな……。けっこう面白いと感じるからだ。

十五日(月)
午前零時すぎに寝る。

午前八時前に起きる。仕事。
うわあ……OSB、全然ダメだった。これはちょっと、クソすぎるな……。どうなってんだ。ここ最近、なんの結果も出ていない。何か、根本的にやり方を間違ってるのか……。
根本的に、やり方を変えないといけない。たぶん、いまが一番、中途半端な状態なんだ。吹っ切れないと。

十六日(火)
とりあえず、荷を下ろしていく。FN賞用に山越、EF賞用にGoToを……それぞれ体裁をととのえておく。あとは一族の直しを済ませるだけ。
午前二時前に寝る。

午前九時すぎに起きる。有休。
起き抜けに一族直し。クリーニング、買い出し。
夕方から動物病院。飼い猫に跛行の症状が見られたため。脚が腫れており、背中に毛包炎もあったので、対感染症の注射。ついでに血液検査もしてもらったが、数値的には前よりよくなっていた。与えている食事などもわるくないようだ。ひとまずこれで様子見。帰って保険金請求。
モラ小説をKM賞用にととのえておく。気になっていた細かい修正も同時に。わりと枚数ギリギリだったんだな。
一族の直しはけっこう進めたが、正月が絡んでくると香具師の関係もあってややこしいことに気づく。どうするかな……。香具師がクグと話してるシーンはわるくないかもしれんが。

十七日(水)
雷雨。午前零時半すぎに寝る。

午前八時前に起きる。仕事。
KM賞用にモラのスジをつづめる作業。ややこしかった後半の部分を思い切って端折った。これくらいがわかりやすいかも。
KM賞のモラはOK。スジもできた。
山越はFNじゃなくNM賞に出そうかと。そのためにスジを作り直しはじめる。
一族もNM賞だが、スジはすでにできていた。あとは本文直しを残すのみだ。ざっと見た感じ、意外と直せそうなんだよな。詰まってるのは正月問題くらいで。

十八日(木)
午前零時半くらいに寝る。

午前八時前に起きる。仕事。
山越のスジもできた。帰って、山越をNM賞用に、モラをKM賞用に、しっかり準備する。完成。
一族もNM賞用に体裁をととのえておく。あとは本文直しを残すのみ、という状態に。

十九日(金)
午前一時前に寝る。

午前八時前に起きる。仕事。
この週末で一族直しは、なんとしても終わらせたい。そして来週――最後の一週間で、新たなスジをつくる。一ヵ月経つのが早すぎる。

 

等圧線(第7回大藪春彦新人賞受賞作) Kindle版

六日(土)
なかなか生きた心地がしなかったが、よく考えると、発覚しようがないし、したところで大したことではない。
午前三時すぎに寝る。

午前十時前に起きる。休日。買い出し。
K田サンの小説を読む。え、全然悪くないじゃないか。この先の展開がどうなるかは置いといて。
調べているうちに、またも血の気が引く。最悪だ……。しかし、もし問題視されたとしても、個々で問いただされるだろう。自分のやつを得るため、だがなかなかうまくいかず、他でいろいろ試していた、と言い訳が立つ。それを入手したのはたまたまそれだった、というだけの話。それに、他にもいろいろ入手している。時系列の矛盾があるが、あくまですべて自分のやつを得る前に試していた段階での話だったといえる。一日おいて、大昔のやつを手に入れたのは、たんに懐かしくて欲しかったから、で問題ない。はあ……。というか、大丈夫でしょう。気にしすぎだ。こんなもん、気にするとしたらずっと気にしていかないといけないし、もう対策は練っておいたのだから、あとは一旦忘れて生きることだ。バレたらバレたで、そのときに思い出せばいい。じゃなきゃ人生、楽しくない。忘れよう。一旦、なかったことにしよう。しかし、もちろん反省はしている。ごめんなさい。たぶん、何も起こらない。起こらないだろうに、わずかでも可能性のある最悪の事態を想定し、激しく気を揉んでいる。つまり、これは自分で自分を罰しているのだな。充分に罰は受けたよ……だから許してくれ。ゆっくりとした気持ちで本を読ませてくれ。ああ、最悪の週末だよ。最悪の事態ってなんだろ。もうええわ。

七日(日)
午前零時半に寝る。

午前十時に起きる。休日。
あとは時間が癒し、解決するのを待つのみか……。
勉強会。僕の小文は、まァ、まずまず。一番感触のよかったのは職業モノで、初の女主人公に挑戦することになりそうだ。OH賞が来年までないというと、じっくり一年かけて短編を仕上げるのもいい、とセンセにいわれる。たしかにそうだ。長編にこだわりすぎていた。別に長編を書くのが義務ではない。
やはりK田サンの小説はセンセからも高評価だった。
なつかしの地下の純喫茶、メシ。
金曜深夜における、僕の過ちを打ち明けて相談。おそらくログ確認してまで見られないし、発覚したとしてもおそらく見逃されるし、指摘されたとしても言い逃れできるし、そもそも指摘するほうもしづらいだろうし、大丈夫だろうと。気持ちが少し軽くなる。
もっと楽しいことを考えよう。K田サンとともに、破れないルールを決めたのだ。後ろめたいことは何もなくなった。

八日(月)
午前一時前に寝る。

午前八時前に起きる。小雨。仕事。

九日(火)
午前一時前に寝る。

午前八時前に起きる。暴風雨。仕事。
気づけば、ER賞はダメだったらしい。なんでい。OSB賞はまだわからんが、賞金で特別視していたのに、賞金賞が他にも乱立されはじめていて、萎える。どないやねん。一から新作がんばろ。
ダイナミック・ジュコーを思い出す。梁石日を思い出す。高丘親王航海記を思い出す。
もうさ……好きなように書こうや。好きなもんを書くんじゃなくて、なんでも好きなように書く。パワフルな小説を。

十日(水)
午前零時半すぎに寝る。

午前八時前に起きる。仕事。
資料を読み込むのはジュコーもカゲキも同じだ。横着して物は生み出せぬぞ。
日頃のおこないがわるいのか、買ったばかりのジッポーを一度落としただけで、一発でメタルが剥がれた。笑っちゃうよね。
K田サンからライン。例のDLの件について。そういえば、なんとか命拾いしたようだ。

十一日(木)
午前零時半すぎに寝る。

午前八時前に起きる。仕事。
城戸喜由『暗黒残酷監獄』を読む。
家族の崩壊と再生の物語。要は、なんでもアリなんだね。

十二日(金)
午前零時半に寝る。

午前八時前に起きる。仕事。
OSBが沈黙している。やれやれ、まったく……アテにならぬ。そんな適当なことをしていたら、志望者も離れていくぞ。
もはや、ないものとして、ニュースを追うのはやめにしよう。あれば、向こうから来るのだから。
それよりも、やらねばならぬことがある。

 

 

三十日(土)
午前三時すぎに寝る。

午前八時半に起きる。休日。
耳鼻科。花粉症ではなく、完全な風邪だった。
麻酔科。首が凝り固まっていたので、トリガー。
長年愛用しているピースの懸賞ジッポーを修理に出す。買い出し。

三十一日(日)
ゲームはやめとけってことかな。
午前二時すぎに寝る。

午前十時前に起きる。休日。
手配していたピースジッポーが届く。しかし、やはり自分で当てたあの修理中のジッポーに愛着があるのか、これはそこまで愛せない気がする……出どころもよくわからん。いや、せっかく縁あって僕の手もとにやってきてくれたのだから、大事にしないとな。
はい、やっぱりゲームはやめとけってことね。
しかし来週の勉強会、K田サンから僕の出席は伝えてくれているみたいだから、原稿送付は必須ではなさそうだ。気が抜ける。
クリーニング、買い出し。
北芝健『図解雑学 警察のしくみ』を読む。
センセにすすめられていたので読んでみた。内容は意外と詳しい。

一日(月)
午前一時に寝る。

午前八時前に起きる。仕事。
四月上旬っていうと、幅が広いなあ。これからしばらく、毎日ヤキモキするんやろうな。
本格で考え出したけど、なんかちがう。キャラに背景がないから、面白く感じられない。ミステリーって本格だけじゃないぞ。当たり前だけど。というか、本格うんぬん以前に、まずはキャラありきだ。二本のストーリーがまじわるような仕掛けが必要なのだ。あー、さすがに間に合わねえか……。
また考えは職業のほうに戻る。

二日(火)
ゲームは腐らず、真剣にやったら、ひさびさに勝てた。何事もそうなんだろうな。姿勢の問題だ。
午前零時半すぎに寝る。

午前八時前に起きる。猫が粗相。仕事。
夜、K田サンと電話。書けず、つまらないものしかない、という。僕と同じだ。要は僕に弾があるかどうかの打診だったわけだが、お互いに恥をしのんで、クソネタを持ち寄ることにした。当たって砕けろ。
この際だから、互いに絶対に破らないルールを決めようという話になった。まったく、そうだよな……結局、無駄なことをしているということだ。後ろめたいことはすべて断ち切る。そのための努力は惜しまないようにしないと。

三日(水)
三つほど、取っかかりの小文を清書して、刷って封じる。どれも設定程度のもの。めちゃくちゃひどいと思い込んでいたが……こう見たら不思議なもので、設定としてはどれもわるくない気がする。縦書きにしたからか? K田サンの小説も受け取る。
やっと自分が動き出した気分。無理やりでも動くのが大事。麻雀もそうだけど、スイッチを入れないと、そもそも何やってもダメなんやね。
午前一時前に寝る。

午前八時前に起きる。雨。センセ宛てに投函。仕事。
翻牌バック、地獄待ち、カンドラ、後ひっかけ……いろんな攻め手があるが、それらからトリックを考えていくのもいいかもしれぬ。
ゲームは三連勝。真剣にやること。何事も、これだけだ。

四日(木)
午前零時半すぎに寝る。

午前八時前に起きる。仕事。

五日(金)
午前零時半すぎに寝る。

午前八時前に起きる。仕事。
あー……もう完全に寿命縮んだわ。血の気引いたわ。邪なことを考えるからだ。罰当たりめ。まァ、おそらく、たぶん、大丈夫だとは思うが、今日は反省しておとなしく寝なさい。

 

 

二十三日(土)
午前三時すぎに寝る。

午前十時すぎに起きる。雨。休日。
麻酔科。肩にトリガーだけもらっておく。
買い出し。いろんな本がある……。焼き直しとか続編とかじゃなく、まったく新しいものを志向すべきかな。
夜、ふたたび電話。

二十四日(日)
午前二時半くらいに寝る。

午前十一時半くらいに起きる。雨。休日。
MSMと会う。甘味をいただき、メガネ、本屋、無印……。夕方には解散。はてさて。
ゲームはしちゃっているのだが、ようやく納得のいく勝ち方ができるようになってきた。ブタリーチ専門であることを思い出したのだ。自分の手に未練がないから、おのずと相手の手をよく見るようになるんだな。
そんな中、小説のことも考える。S氏の作品群にヒントを得た。まず第一に、人物の大きな要素として〝職業〟があるということだ。それすなわち、社会における位置づけである。センセの教えも思い出す。同じ職業の人間を書くな、という。
思えば、傾城ライターはまだ書いていなかった。そして趣味がばくち。うむ、ピッタリだ。ここから、明日から一週間、試しにひろげてみようか。

二十五日(月)
午前一時くらいに寝る。

午前八時に起きる。小雨。仕事。
傾城モノで考えようとしたが、はてさて、どうしたものか。さっそくつまずく。そう簡単にはゆかぬ。
なんか、ひさびさに時代モノが読みたい気分になった。
逢坂剛『百舌の叫ぶ夜』を読む。
都内で起きた爆弾の爆発事故。テロリストと思われる男は爆死。そして巻き添えを喰って死んだ女は、公安刑事の倉木の妻だった。政治的陰謀と警察内部の権謀術数。複雑に入り組んだサスペンス。
MSMと電話。あらいざらい、ウィークポイントをぶちまけてみる。通過……?

二十六日(火)
午前一時くらいに寝る。

午前八時前に起きる。雨。仕事。
まさかのMSMと切れる。わからんもんやね。

二十七日(水)
午前零時半に寝る。

午前八時に起きる。雨。仕事。
にっちもさっちも。やっぱり原点に戻るか……。どうやったらできるか、じゃなくて、どうやったら面白いか、という客観的視点を忘れないように。

二十八日(木)
午前零時半すぎに寝る。

午前八時前に起きる。仕事。雨。
とんでもない鼻炎。おそらく花粉症。

二十九日(金)
午前零時半すぎに寝る。

午前七時半に起きる。なぜか早起き。鼻ズルのためか。仕事。
思えば、具体的なことは何もしていない一ヶ月であった……。調べものもしていないし、実際に書き殴るわけでもない。ただ、面白そうな本を読みながら、ひらめきを待つ日々。それじゃずっと止まったままなんだよ。天啓やひらめきなんてないと思え。ジタバタもしてないじゃないか。ジタバタが本業と思え。
一足飛びの成長はないぞ。モラも山越も慰霊も、なんだってそうだったろう。時間はかかる。意外と早くできたら儲けものくらいの感覚だ。
さて、ひどい一週間だった。なんだかな、先々のことも見越して考えると、トリック練るほうがいいんじゃないかとも思う今日このごろ。来週の勉強会、どうすっぺかな。

 

 

十六日(土)
午前二時前に寝る。

午前十時くらいに起きる。休日。
散髪。買い出し。
横山秀夫『半落ち』を読む。
いやはや、最後の最後にとんでもないプレゼントが用意されていた。読後感は爽快である。
しかし一方で、ちがうな、と思う。リアルの裏書きがうるさく感じる。ここまでやる必要はないし、こういうことがしたいのでもない。僕が物したい娯楽は、清張が揶揄したところのお化け屋敷の掛け小屋なのだと。

十七日(日)
午前二時半くらいに寝る。

午前十時半くらいに起きる。休日。雨。
ジタバタするのが当然なのだ。ジタバタもせずに天啓を待っていると、何もなく時間は過ぎるだけ。試行錯誤しーろ。

十八日(月)
午前零時すぎに寝る。

午前八時前に起きる。仕事。
やっぱり、こんなに良質なサスペンスを読んでいると……いま考えてるのはちがう気がするよな。面白いと思おうとしているだけなんじゃないか? そりゃヴァン・ダインは面白いよ。しかし、僕の初期衝動はばくちであり、ハードボイルドであることは間違いない。それにいまの思考では、本格をやろうとしながらも、ばくちが全輪になろうとしている。ダメダメ。モラでも、あくまでサイドストーリーだから活きたのだ。ばくちばっかりじゃつまらん。それは絶対に。まァ、山越のような例もあるが、あれもサイドが絡んでいる。そして山越はハードボイルドミステリーだ。

十九日(火)
午前二時すぎに寝る。

午前十時に起きる。有休。
ここ最近ずっと思案していたが、早くに起きたことだし、平日昼間だし、血迷ってTBTへ。
駅は綺麗になっていた。録音の動物の鳴き声がこだましている。街は何も変化なし。さっそくオッサンに絡まれてダベる。人情の街やなあ。故郷に帰ってきた気分。足が棒になるほど歩き回り、熟考の末、青春のT島へ。僕自身、ひさびさすぎてハンチクだったが、おおむね当たり。相手がいまは亡きDYSK出身の京女で、予告なしにDYSKが滅亡した舞台裏を聞かせてもらった。やっぱりTBTは素晴らしい。

二十日(水)
ひたすらO糖の応募ハガキの作成。めちゃくちゃ大変。
本格だとか、そんな縛りなく、ミステリーを書きてえなあ。いま読んでるのを終えたら、警察のことは調べよう。章の入れ替わりで倒叙は面白いな。
午前二時すぎに寝る。

午前十時くらいに起きる。休日。
春の嵐の中、買い出しと応募ハガキ投函。帰ったとたんに晴れる。かと思えば、また暴風雨。
残り時間のやるせなさ……そうだな、無駄なことをしているあいだにも、刻一刻とタイムリミットは近づいていく。まずは足もとの一歩を意識して。
ひょんな流れでMSMと電話。展開が速すぎる気がするが。

二十一日(木)
午前零時半すぎに寝る。

午前八時前に起きる。仕事。

二十二日(金)
午前零時半すぎに寝る。

午前八時前に起きる。仕事。

そういえば、S氏も似たような設定で書きまくってるよな、と思う。それも自分の経験した職業で。でも、初期はいろんなことをやらされている。たしか理由は、力をつけるため、だったか……。なら、僕とて同じようなことばかりはできんか。
魔が差して、TBTへ。週に二回はまずいだろ……。しかし、週末の夜というゴールデンタイムの人通りも見ておきたいという名目で。めちゃくちゃ混んではなかったが、そこそこ盛況。かつて通いつめていた傾城Nがいるんじゃないかと訪ねてみると、ホントにいた。久闊を叙して、話をしているうちに三十分をゆうに超えて四十分。タイマーが鳴らない、というか、おばちゃんが鳴らすのを忘れていたというトラブルである。追加料金を請求されるんじゃないかと身構えたが、そんなことはなく。まったく、いい時間だった。なつかしい。
かえすがえすも、傾城N……ものすごいバイタリティやないかい。負けてられへんぞ。

 

 

九日(土)
午前二時半に寝る。

午前十一時に起きる。休日。
名医で薬だけもらう。買い出し。

十日(日)
脳みそが硬化している。はたして、どうやって考えていたっけか……。その上、無駄なことばかりしている。クソミソやな。
午前二時前に寝る。

午前十時に起きる。休日。
愚弟親子が遊びに来る。一時間昼寝、買い出し。

十一日(月)
午前一時前に寝る。

午前八時前に起きる。仕事。ダメもとやから、行動が早いんかな。
ヴァン・ダイン『カブト虫殺人事件』を読む。
エジプト博物館内で殺されたカイル老人。博物館経営のエジプト学者のブリス、ブリスの妻のメリイト、ブリスの教え子でカイルの甥のソルヴィター、ブリスのエジプト探検隊のスカーレット、ブリス家の下僕のハニ……。さまざまな人間模様の渦巻く中で、カイル殺害の形跡はことごとくブリスにとって不利なものだった。ブリス逮捕に踏み切ろうとするマーカム検事とヒース部長を、探偵ヴァンスは制する。次に起こったのはブリス殺人未遂。さて……犯人は?
めずらしく、僕は読んでいて犯人がわかった。そしてラストも予見できるもので至極、腑に落ちた。あの『僧正殺人事件』と比べると、そりゃあデキは落ちるが、傑作である。面白い。

十二日(火)
午前零時すぎに寝る。

午前八時前に起きる。雨。仕事。

十三日(水)
午前零時すぎに寝る。

午前八時前に起きる。仕事。

十四日(木)
午前零時すぎに寝る。

午前八時前に起きる。仕事。
人物を考えはじめる。

十五日(金)
午前零時すぎに寝る。

午前八時前に起きる。仕事。
シンプルでいいのだとは思う。

 

 

二日(土)
午前二時半くらいに寝る。

午前十時くらいに起きる。休日。
買い出し。猫のプレゼントを買う。
原尞、去年に亡くなってたのか……合掌。チャンドラーに心酔してハードボイルドに捧げた生涯。誰に敬意を表し、何に人生を捧げるか。どうしたって人の一生ってやつは無限小で、短いものだ。つなぐためにあるとしたなら、何をつなぐか。これって大きなテーマだ。

三日(日)
午前一時半すぎに寝る。

正午に起きる。休日。買い出し。
かの大家も万年スランプってか。しかし、たまの休みの楽しみは新作のアイデアを練ることだという。そして、たいていは、うまくいかないと……。誰もがめざす連載にデメリットを感じ、一見、割に合わないと見られる書き下ろし専門になった。溺愛しているよな、推理物を。何より本嫌いだった過去の自分に向けて、可読性を重視しているという点も興味深い。
ヴァン・ダイン『僧正殺人事件』を読む。
家族ぐるみの付き合いをしているディラード家とドラッカー家。どちらも数学者の家長を擁しており、そこにたびたびチェスの研究者であるパーディが訪れ、親睦を深めている。ある日、ディラード家の一人娘・ベルの求婚者が殺される。死んだ男の名はロビン。弓矢で射抜かれたかたちで殺害された。それが『コック・ロビンは矢で殺された』というマザー・グースの子守唄になぞった殺人なのではないかと疑われていたころ、第二の殺人が起きる。それもまた子守唄に準ずるような殺され方だった。次々に起きるマザー・グース殺人を名探偵ヴァンスが解いていく――。
最高。至高の面白さ。究極のどんでん返し。それでいて理知的。これ以上は望めない読書体験。いやあ、素晴らしい……。

四日(月)
午前零時半に床につくが、なかなか寝つけず。寝たり覚めたり。

午前八時に起きる。仕事。

五日(火)
午前零時半に寝る。

午前八時前に起きる。雨。仕事。

六日(水)
午前零時すぎに寝る。

午前八時前に起きる。小雨。仕事。
掌編を募集しているところを見つけて、グリコ小説だったら適してたのになあと思ったけど、そもそもグリコってお題小説だったことを思い出し、レッキャもそうだったが、お題ってわるくないかもしれんという思いに至る。辞書引くか。八方塞がりだし。

七日(木)
と思ったけど、引いてもワケわからんわな。
午前零時すぎに寝る。

午前八時前に起きる。仕事。
とにかく、いろいろ本を漁る時期である。

八日(金)
午前零時半すぎに寝る。

午前八時前に起きる。仕事。
アンテナは張りつつも、焦らずいこうか。