「オッペンハイマー」★★★~テクノロジーの発展は人類の脅威をも孕む | そんなことより恋をしろ

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※※※ 注意 ※※※

 「シネマ報告書」は、映画鑑賞後の率直な感想を伝えるため、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれる場合があります。

 これから観ようと思っている方は、本報告書の趣旨についてご理解のうえ十分注意してお読みくださるようご了承願います。

『シネマ報告書2024』の掲載にあたって

 
テクノロジーの発展は人類の脅威をも孕む
★★★
(C)Universal Pictures. All Rights Reserved.
 
(2023年/アメリカ/180分/Oppenheimer
 
【 製作・脚本・監督 】
クリストファー・ノーラン
 
【 出演 】
キリアン・マーフィ

エミリー・ブラント

マット・デイモン

ロバート・ダウニー・Jr.

フローレンス・ピュー

ジョシュ・ハートネット

ケイシー・アフレック

ラミ・マレック

ケネス・ブラナー

ディラン・アーノルド

デビッド・クラムホルツ

マシュー・モディーン

ジェファーソン・ホール

デベニー・サフディ

デビッド・ダストマルチャン

トム・コンティ

 

 

【あらすじ】

 

 第2次世界大戦真っ只中のアメリカ。政府はナチスドイツに対抗すべく核開発を急いでいた。

 そんな中、物理学者のロバート・オッペンハイマーは、政府が推し進める核開発プロジェクト“マンハッタン計画”における原爆開発プロジェクトの委員長に任命され、原爆の開発に没頭する。

 しかし、実験で原爆の開発に成功したものの、その恐るべき威力と、日本に2発投下されたことによる破壊力を目の当たりにし、大量破壊兵器を生み出してしまったことにオッペンハイマーはショックを禁じえなかった。

 戦後、アメリカはソ連に対抗すべく、さらなる威力をもった水素爆弾の開発を進めるが、オッペンハイマーはその開発に強く反対する―

 

 

【コメント】

 

 今回劇場で鑑賞した映画は、見事今年度の米アカデミー作品賞に輝いたクリストファー・ノーラン監督待望の最新作。“原爆の父”と呼ばれた、とかく日本では悪名高い?物理学者ロバート・オッペンハイマーの半生を描いた作品です。

 “原爆”というテーマが日本にとってはかなりセンシティブなものであっただけに、あのクリストファー・ノーラン監督作品でありながら日本では劇場公開が遅れに遅れ、1年近くを経てやっとこさの公開ということで、待ち望んでいた観客も多いはず。

 とはいえ、個人的にノーラン監督作品は大好きなので必ず劇場で観ているんですが、史実ドラマとなるとちょっとね~・・・実録ドラマ系苦手なんすよ僕。ある程度知識ないと面白くないっしょ、これ系は。オッペンハイマーについては恥ずかしながら知識はほとんどないし、しかも本作、怒涛の上映時間3時間という超大作ドラマということで、苦手なジャンルの映画を果たして集中して最後まで観られるかどうかが喫緊の課題でした。

 ともあれアカデミー作品賞を受賞したノーラン監督待望の最新作、劇場で観ないわけにはいかないだろうと、とにかく3時間観てやるぞと気合いを入れて、「TOHOシネマズ立川立飛」のレイトショーに足を運んだ次第です。今回は贅沢にIMAXで鑑賞させていただきました。

 

(C)Universal Pictures. All Rights Reserved.

 

 よし!先ずは苦手なジャンルの怒涛の3時間、居眠りせず観たぞ!という達成感。これは僕の気合の鑑賞というよりも、ノーラン監督の飽きさせないスピーディーな展開と映像的な魅力の功績が大きい。原爆の父オッペンハイマーの史実ドラマなので、これまでの派手な演出はほとんどなく、あくまでオッペンハイマーと彼を取り巻く人間模様を描いたドラマ。ですが、圧倒的な会話劇と原子爆弾という恐ろしい兵器の演出は、いかにもノーランらしい演出で、片時も目が離せない飽きさせない映画作りはさすがの一言です。

 前半はオッペンハイマーがいかに原爆開発に携わっていくか、オッペンハイマーの思想(共産主義というアカ思想)やプライベートというところに終始し、本当に会話だけが続くが、中盤の原爆実験の迫力からグイグイと引き込まれていきます。

 とはいえ、やっぱり史実ドラマは苦手なジャンル。いかにアカデミー作品賞を受賞した映画と言えど、僕の好みではなかったというのが正直な感想でしょうか。

 そんな僕が感じた本作の感想は以下の3つです。

 

1.先ずは3時間観たぞ!という達成感

2.テクノロジーの発展は人類の脅威をも孕む

3.平和的利用こそ人類の発展につながる

 

 結局のところ本作のポイントとなるのが、「なぜ今年度の米アカデミー作品賞を受賞したのか?」なんです。米アカデミー賞ってのは、所詮はアメリカの映画を讃える授賞式。今のアメリカをとらえた作品、今のアメリカに必要なことをメッセージとして乗せていることが重要なんですね。なので、必ずしもオッペンハイマーという人物の半生を追って観る必要はなく、オッペンハイマーの半生を通して、それが現代とどうリンクしていくのかがポイントになるのかなと。

 

 そうやって俯瞰して本作を観ると、現代の世界と通じるところが少なからず見えてくるんです。

 序盤でオッペンハイマーとともに原爆の開発に携わった友人が言ったセリフ「300年の量子力学の集大成が破壊兵器とは・・・」、そしてラストにアインシュタインが言ったセリフ「我々は扉を開いてしまった」。これがポイントになるんだと僕は思いましたね。

 今の世界、新たなテクノロジーはイコール軍事利用なんです。それは第二次世界大戦時から何も変わっていない。人類の覇権を握るため、世界の国の優位に立つため、国の経済を発展させるため、日々テクノロジーは研究開発され軍事に利用されている。こういう現状があるからこそ、テクノロジーの発展という人類の進化という喜ばしい出来事であると同時に、人類に対する脅威を孕むということなんです。

 

 オッペンハイマーもアインシュタインも、ただの学者なんです。そこに政治的な思惑や国の威信や命運なんて考えていない。ただただ自身の学術的興味のために没頭していただけなんです。

 一方の当時のアメリカ政府なんて、ソ連や日本を敵国としてとらえ、強いアメリカを目指して動いていた。いち科学者が苦心惨憺して開発した兵器を何の躊躇もなく使い、世界にアメリカの強さを示す。政府は科学者を褒め称えるも当の本人は開発の中止を訴える。言わずもがな政府はてめえふざけたことぬかしてんじゃねぇと恫喝し潰しにかかる。政府は国の威信を懸けているから、科学者なんて道具に過ぎないわけです。

 

(C)Universal Pictures. All Rights Reserved.

 

 アインシュタインの有名な言葉に「第三次世界大戦がどうなるのかは分からない。しかし、第四次世界大戦は間違いなく石と棒を使った戦いになるだろう」というのがあります。この言葉からも、今の人類の倫理観から、テクノロジーの発展は身の丈に合っていない、いつまでも軍事に利用し続けていくという強い懸念を持っていたんだと思います。

 喫緊のテクノロジーだとAIの進歩による人類への脅威が懸念されていますが、AIに限らずこれからもどんどん新たなテクノロジーが開発され進歩していき、その度に脅威が叫ばれていくことと思います。これをどう使うかで人類の進む道は分かれていくでしょう。間違っても狂気の指導者が現れないことを願うばかりです。

 テクノロジーは軍事ではなく平和的利用こそ人類の発展に繋がるんだ、ということを本作からのメッセージとして僕は捉えましたね。

 

 

【2024年度 Myランキング】(4/6時点)

 

 本作は、本年度のベスト10ワースト3ともにランキング外。

 桜満開。

 

(ベスト)… ★★★☆以上が基準

 

  1位:PERFECT DAYS ★★★★★

  2位:DUNE デューン 砂の惑星 PART2 ★★★★☆

  3位:デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章 ★★★★

  4位:ゴールデンカムイ ★★★☆

  5位:カラオケ行こ! ★★★☆

  6位:ネクスト・ゴール・ウィンズ ★★★☆

  7位:ポップスが最高に輝いた夜(未) ★★★☆

  8位:サンクスギビング ★★★☆

  9位:

 10位:

 次点:

     

     

     

 

 (ワースト)… ★★☆以下が基準

 

  1位:映画 マイホームヒーロー ★★☆

  2位:ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ ★★☆

  3位:

 

<その他ランク外一覧>

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