ニュージーランド研究室

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ワイカト地方の朝の霧

2014-03-10 12:25:13 | 天体・気象
ここのところ朝晩キュッと冷えるようになってきましたね!
(あ、オークランドの話ですけど。)

夏時間から冬時間に変わると、一気に冬がやってきたという感じになるのですが、
今年は4月6日に切り替わります。はぁ、、もうすぐですね。。。



一年を通して、オークランドから北へ南へ
お客様をお連れする機会があるのですが、
やはりNZの観光シーズンは夏。
冬場はそういったツアーの本数が減ります。

特に人気のツアーは下記の3つで、

ワイトモ・ロトルア一日観光
ワイトモ一日観光
ロトルア一日観光

こちらは結構朝早くオークランドを出発して、
ワイトモ鍾乳洞に向かう道中、ワイカト地方を通過しますが、


このワイカト地方、通過する際良く霧に包まれております。
(これは2月16日の写真↓)


特に冬場は霧の深い朝が多い。。。


霧には下記のような種類があります。

Radiation Fog (放射霧)

Advection Fog (移流霧)

Valley Fog (上昇霧)

Steaming Fog (蒸気霧)

Frontal Fog (前線霧)


ワイカト地方で主に発生するのはRadiation Fog(放射霧)でしょうね。




まず霧の定義は、気象庁によると「微小な浮遊水滴により視程が1km未満の状態」

これが陸上で視程が100m以下、海上で500m以下の状態を「濃霧」というらしいです。

そして視程が1km以上10km未満の場合は「もや」と呼ばれます。



霧は大気中の水蒸気が水滴になる事によって発生します。

空気中に存在できる水蒸気の量には限りがあり、
要するにそれが限界状態になってるんですね。


この限界状態(飽和状態)を作る原因は大きく分けて2つ。

*湿った空気が冷える
*大気中に水蒸気が供給される


飽和状態に対して、どのくらい水蒸気の量があるかを表しているのが
相対湿度(Relative Humidity =RH)


湿度(相対湿度)RHは単位体積あたりの水蒸気の質量mを、その温度tでの飽和水蒸気の質量a(t)で割ったものです。
RH=(m/a(t))x100 (%)

この数値が100%近くになると霧が発生します。
(ちなみにもやは70%位から発生する事があるそうです。)


ワイカト地方は、大きな川が流れていて湿地が多く適度に空気は湿っているし、
朝方は放射冷却で地表付近の気温がぐんと下がり、しかも内陸なのであまり風も吹かず
放射霧が発生する条件が揃っているんでしょうね。

陽が昇って地表の温度が上がると徐々にこの放射霧ははれていきます。


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ニュージーランドの風力発電について

2014-02-12 22:09:23 | 天体・気象


現在、NZに語学研修に来ている沢山の日本人生徒さんのお世話をしております。

次の世代を担っていく若い学生さん達と関われる仕事ができて光栄です^^




折角NZに来たのだから、英語はもちろんですが、
それだけじゃなく、プラス何かを持って帰って頂ければ嬉しいです。

他の国で行われている色々な取り組みをみて、
これからの日本のあり方を考えるきっかけになればなと。

NZは結構参考にできるものがあるように思います。

例えば福祉。
高福祉国家ニュージーランドは、
舛添さんのいう「低負担高福祉国」日本とかなりシステムが違いますので
比較してみると、それぞれ良い面、そうでない面が見えてくると思います。

あと持続可能な環境作りへの取り組み。
日本は周辺の海から乱獲で魚が消えているそうですが
NZでは次世代に海の資源を残していける工夫をしたり
他にも森を再生したりと、環境、資源保護対策が行われております。


そしてエネルギー。
ニュージーランドには原子力発電所はありません。
エネルギーの77%が再生可能エネルギーで賄われています。
人口も少ないのでそれでやって行けるというのもあるのでしょうが、
参考になる部分も多いと思います。


と、いうわけで、短期団体語学研修の生徒さんのNZ滞在中、
できるだけ老人ホームやエコビレッジ、エネルギー施設を訪問できる機会を作るようにしているのですが、

ここで一つ、風力発電について少しまとめてみました。


++++++++++++++

ニュージーランドの電力は、主に水力発電、地熱発電、風力発電などの再生可能エネルギーによって発電されており、その割合は全体の電力の77%。それ故発電量に対する二酸化炭素の排出量が世界一少ない国の一つとなっております。

NZの発電需要量は毎年増えており、世界の電力産業国の平均を少し上回るにも関わらず、
電力消費量に対する経済生産を比較すると、世界でも最も効率の良い省エネ国家の一つに位置づけられます。


2012年の総発電量の53%が水力、20%天然ガス、14%が地熱、8%が石炭、5%が風力という内訳になっています。

これらの電力は電力卸売市場を通じて、電力小売会社に販売され、消費者は電力小売会社から電力を購入します。
消費者への送電は、地域毎の配電会社が電力小売会社から委託されて実施します。

2009年各発電会社の年間総発電量の割合は、コンタクト・エナジー社が24%、マイティー・リバー・パワー社が15%、ジェネシス・パワー社が18%、メリディアン・エナジー社が32%、トラスト・パワー社が5%、その他独立系・コジェネレーションが6%となっています。


風力はNZの中で一番新しい発電源で、急成長していますが、
諸外国と同じ典型的な問題を共有しています。

*不均一な風の強さ
*理想的な設置場所が電力需要地域から離れている

しかしNZは最大容量で発電が期待できる時間が年間4,000時間と、
ドイツの2,000時間、スコットランドの3,000時間に比べてはるかに多く、風力発電に有利です。

またNZは「ロアリング フォーティーズ」(西よりの卓越風が吹く南緯40度から50度に掛ける海域の名前。)の通過点で、これは風力発電の優れたリソースになります。この地域の幾つかのタービンは50%以上の稼働率を記録しています。

NZの風力エネルギー協会は、2030年には風力発電が年間総電力の20%を占めるようになると予想しています。


NZの風力とその一貫性は、諸外国よりも高い事が示されております。
しかし、優れた風力発電のリソース、西からの強い風はベアリングの早期故障を引き起こします。

また風力発電所やタービン建設には、賛成から反対まで広く意見が分かれます。
反対意見は主に、騒音、景観、そして生態学的な要因によるものです。
風力発電建設には、住宅からの距離、最大飽和レベル、象徴的なエリアの保護などが検討されます。


風力発電所の一つに、メリディアン・エナジーとコミュニティ・トラストが協力して建設した
テ・ウク風力発電所があり、ここには55本のタービンが立っております。

この開発に当たって、地元企業との契約を通して3000万ドル以上が地域経済に投資されました。
作業にはできる限り地元の労働力を導入し、足りない労働力は地域外からも来ましたが
地元の宿泊施設を利用し、それらの消費活動も地元の経済に貢献しました。

また40,000本のNZ原産の木をこの地域に植えました。
木は地元ラグランの非営利団体からの資源です。
この木々は地元の水の質を高めており、これらの手入れに雇用の機会を増やしています。

この発電会社メリディアン・エナジーは、NZでも最も大きな発電会社で、
発電は100%再生エネルギーのみで行っています。

持続可能な環境作りはメリディアンの基本方針で、その活動は長期的な視野を反映しています。
常に自然環境保護、NZ原産種の木々、動物の保護をするため組織と協力し、受賞歴のあるコミュニティ·ファンド·プログラムと国と地方のスポンサーシップを通じて、地域社会を支えています。


++++++++++++++++

ちなみに、ニュージーランドには原子力発電所はありませんが、
原子力発電所を建設したり、操業する事はニュージーランドの非核法律の下違法ではありません。
法律は、原子力推進船、核爆発装置や放射性廃棄物だけをカバーしています。

過去ニュージーランドの原子力発電所建設の提案が1度だけあり、オークランドの北Kaukapakapa近くKaipara港にあるオイスターポイント発電所に1968年から1976年の8年間で、4250メガワットの原子炉を開発する計画がありました。1976年にマウイガスが発見され、即核開発計画に着手する必要がなくなったので計画は中止されました。1976年以来、特にオークランド地域では原子力発電建設案が時々浮上しますが、明確な計画はありません。

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月の観察

2013-10-17 15:58:22 | 天体・気象
仕事もひと段落して気持ちに余裕が出来たので
今晩久々に天体望遠鏡を出してみました。

外に出て見ると目の前に月がどーんとあったので、
取り敢えずクレーターでも観ますか、と月を入れてみる事に。

月は地球からみて太陽の次に明るい天体。

なので、他の星と同じように天体望遠鏡で観ると目を傷めるので
このような↓ムーンフィルターをアイピースにはめて減光して観測します。



南半球では星の見えかたが上下左右逆になる。
天体望遠鏡で星を見ると上下左右が逆になる。

なので南半球で天体望遠鏡を通して月を観ると
大体ですが日本で肉眼で見る月と同じように見えます。


南半球で観測しても、見える月の面は勿論同じ。


月の自転の周期は27日
月の公転の周期も27日(地球を一周する周期)

なので地球からは永遠に月の裏側は観測できず、残念。

月は毎日50分づつ遅れて出てくるので
明日同じ時刻に月を見ると大体12.5度位傾いているのか。。。


地球の4分の1も大きさがあって、
潮の満ち引きを起こす月。

この月が、1年ごとに3.8センチづつ地球から離れていっている。
数億年後には、きっと今よりも潮の満ち引きが穏やかになっているんでしょうね。


次回は星雲でも入れて見ようかな。
でもはっきり言って、天体望遠鏡で見て分かりやすく楽しめるのは
月と土星くらいなんですけどね。。。

そうそう、今年の中秋の名月は満月でしたが、
次に中秋の名月当夜の満月が見られるのは2021年なのだそうです。


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ティリティリマタンギ島

2013-04-03 21:10:02 | 動植物
明日は「ティリティリマタンギ島」へ行ってきます。曇り時々雨の予報ですが、晴れると良いな。。。



ティリティリマタンギはハウラキ湾に浮か2.2k㎡の小さな島で、DOCに管理される自然環境保護区域となっています。
オークランドからはフェリーでガルフハーバーを経由して、75分で到着します。
ティリ・マタンギ島はボランティアによる環境保全活動の成功例として、国際的にも高く評価されています。
在来種の植物約30万株をボランティアの手で植えて再生された森林は、絶滅に瀕しているニュージーランド固有の鳥類12種と、は虫類3種のすみかとなっています。

広く一般に公開されているのもこの保護区の特色です。
毎週水曜から日曜まで、1日に170人までフェリーで島に渡ることができます。
よみがえった自然の中で大切に守られている珍しい鳥たちをご覧頂けます。

「ティリティリ・マタンギ」はマオリ語で"tossed by the wind"(風によって翻弄される)という意味があります。
マオリの神話では、この島は祖先の魚網の浮きとされています。

1864年、島の南端辺りに灯台が建設され、今でも運営されています。

1894年から1971年まで、島は貸し出されファームとして開拓されました。ファームのリース契約が切れたあと、 Hauraki Gulf Maritime Park Boardにマネージメントが移り、ファームとしての利用が止みました。

ティリティリマタンギ島にはイタチのような外来の捕食動物がいなかった為、
NZ固有の鳥の生活に適した環境と、天然林が自然に再生する事が期待されていました。

しかし再生は非常にゆっくりで、緑化プロジェクトが組まれ1984年から1994年まで、たくさんのボランティアを募り、30万近くのネイティブの木や低木が植えられました。

次の介入は、マオリにKIOREとして知られるポリネシアンラットの根絶です。
このねずみは木の苗などを破壊し、鳥の食糧を奪っていて、1993年に駆除しております。

ねずみを根絶やしにする為に毒えさを空中投下しましたが、この他の野生生物への配慮を欠く考え無しの計画は論争の的になりました。例で言えばこれによって島内の90%のプケコが殺されました。

島では78種類の鳥が観察されています。

島の再生プロジェクトの一環として持ち込まれた絶滅危惧種に小マダラキウイ、タカへ、コカコ、スティッチバード、ブラウンティール等が含まれます。

2003年にはトゥアタラなど爬虫類も導入されました。

島の保全活動の成功は、モツヒ等近郊の島のプロジェクトも奨励しています。

現在この島は毎年2万人の観光客が訪れる人気の島となっています。



ニュージーランドワイン

2013-04-01 17:07:00 | 動植物
明日きゅ~~~~っきょ、「マタカナ観光&ワイナリー」へ出動する事になったので、ニュージーランドワインについて少しだけですが纏めてみました。



ニュージーランドのワインの歴史は、ワイタンギ条約が締結された1840年以上にまで遡る。
ところが世界的にその価値が認められだしたのはここ最近の事。

記録によるとニュージーランドに初めてワイン用の葡萄の木が植えられたのは1819年。
英国国教会の宣教師サミュエル・マースデンによって。
ただし初のニュージーランドワインの登場はさらに20年の歳月を経た1840年。
オーストラリアのブドウ栽培の父としても知られるジェームス・バスビィによるものだと言われている。

また同じ頃、ポンパリエ司教によってフランス産の葡萄が持ち込まれ、以降フランス系カトリックの布教活動拠点の広がりとともにブドウ栽培も全国に広がっていった。

ただワインが本格的な商業ベースに乗ったのは1863年。イギリス出身のレベット親子によって。
彼らは実に40年以上もワイン製造によって生計を立てたとされている。

このようにNZワインの歴史は150年以上も遡ることができる。

しかしNZワインの歴史は順調に花開いたとは言い難い。

特に19世紀中は葡萄の病気、イギリス系住民のアンチ嗜好、禁酒政策など、様々なマイナス要因によってワイン業界の成長は非常に困難を伴うものだった。

そんな業界が転機を迎えたのは20世紀もようやく半ばを過ぎた頃、輸出制限の緩和やワインメーカーに対する最小販売量制限の引き下げなどで、ようやく業界は安定した伸びを見せ始める。
またこの時期から始まった海外資本の流入や、消費者のワインに対する考えかたの変化なども業界の成長を大きく助けたとされている。

さらにここ20年で業界は驚異的な伸びを見せている。

1990年には約130だったワイナリーの数は2000年には350、2009年には643。

つまりこの国は1万人当たり1軒以上のワイナリーが存在する。

この急成長の要因は海外でその価値が認められはじめた事にある。

フランス産の高級品に比べて安価でありながら、安定した質の良さがあるというのが大方の意見である。
またフランスをお手本にしつつも古い伝統には縛られず、近代的な醸造や栽培方法を導入して、より高品質のワインを目指す姿勢も業界注目のポイントの一つ。

ではNZではどんな種類のワインが作られているのだろうか?

ご存知のように、ワインは葡萄の品種別にカテゴライズされている。
現在NZで最も多く生産されているのはソービニヨン・ブランと呼ばれる品種で白ワインの原料となる。
ソービニヨン・ブランは近代世界でもその地位を確立しつつある、NZワインの代表格とも言えるものだ。

一方赤ワインはその殆どがブレンド(数種の葡萄を混ぜ合わせて造る事)であることから、葡萄の生産量=ワインの生産量とは言えないものの、ピノ・ノワールが国内で最も生産量の多い葡萄である。

NZ赤ワインはその生産量で白ワインには劣るものの、本場フランスでもその価値が認められたものもある。

先にも触れたように、もともとワイン用の葡萄は海外から輸入されたものだし、気候や土壌の違いなどから同じ品種の葡萄から造ったワインでもその葡萄が造られた地域によって味は大きく違ってくる。

例えば同じソービニヨンブランでも、NZ産のものとフランスやカリフォルニア産のものでは全く違う味わいという具合だ。

続きはまた次回。。。