テクニックレベルを見極める為に | ドイツ,ピアノ日和

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メルヘンと芸術の国ドイツから発信中、ミュウのブログにようこそ!

読者の皆様お元気でしょうか?

ドイツはとても爽やかな夏日和が続いています。


日本の皆様は夏真っ盛りですが、暑さに

負けないよう健康をお祈り致します。


今日は、このところ改めてよさを実感した

教則本と、その使い方など紹介してみます。


もし伸び悩んでらっしゃる方、先生に言われたことが直せない方が

いらっしゃったら、是非参考にしてください!


一度紹介しましたが、こちらです。

ピアノのためのフィンガートレーニング[ムジカ] (ムジカノーヴァ叢書 (8))





ふにゃふにゃで音が弱い生徒でも、

数か月も練習したらかなりしっかり、速く弾けるようになってきます。



例えば、趣味ピアノで私のもとでレッスンを始めたAさん。

最初は音がふにゃふにゃでしたが、

こちらのトレーニングを三か月くらいしたところ、

みるみると音がブラッシュアップされ、アップ 6か月のレッスン期間を得て、

音大教職科のピアノ実技試験、第一希望校に、

一発合格なさいました。


彼女も、このトレーニングすごくいい!テクニック、今までちゃんと

見てなかったのが分かりました~、初めてしたけど、

指番号だけで練習できるのもよい!と

絶賛。これは、世界どこにもない、藤本先生のオリジナルの

練習法ですからね~。


改めてよいなと思い、また紹介させて頂こうと思った今日です。音譜


この教則本、実はアルフレッドコルトーの

ピアノ教則本を下敷きにしてあります。

コルトーのピアノメトード アルフレッド・コルトー著/八田惇 訳・校閲



それならコルトーを使えばいいのでは?

と思うのですが、

最初は、是非ともこちら↓をお薦めします。

ピアノのためのフィンガートレーニング[ムジカ] (ムジカノーヴァ叢書 (8))




私自信、著者、藤本雅美先生の

フィンガートレーニングのセミナーに

通って直接指導を受けて、

二週間で見違えるような指になったことがあり、

自信を持って紹介できます。


特に、お薦めしたいのは、この本の第一章。

「ゆるぎない基礎を築く為に

準備体操と、指の分離」

があるのですが、この章です。

この章ができれば、

コルトーのエチュードや、他のエチュードに

生徒の様子を見て切り替えてもいいかなと思います。



というのも、この基礎トレーニングを終えるころには

生徒の譜読み能力もついていて、指もしっかりしているので、

どんなエチュードにも対応できるようになっているからです。



まず、最初に紹介してある脱力の為の

練習。これがとてもよいのです。


これは、藤本先生オリジナルの「こんにゃく体操」

という方法なのですが、絵に書いてある通りに

指導するだけで、生徒でも、一発で

弾けない場所が弾けるようになったりもします。


基本の脱力方、座り方や姿勢などは、

ピアノの先生としてはあまりに

当たり前すぎて忘れがちですが、


子供や生徒さんは、

正しい体の使い方が分からず、

普段の間違った姿勢のままで

何度も誤った練習を繰り返し、


結果、大変な時間を無駄にしていたり、

体に故障を起こしたりしています。


「ピアノの為のフィンガートレーニング」


第一章の、

1、体全体をほぐす体操、

を試しにするだけでも、問題がぱっと改善することがあるので、


生徒さんや自身の演奏で問題がある方には

お薦めします!


2,3、は、腕と手首の体操、

なのですが、これは、コルトーが教則本で

必ず毎日の練習に取り入れるように、と

書いている練習です。


手首を回したり、指を伸ばしたりする時点で、

生徒の問題が分かります。


前腕がかちこち、とか、

手首や、指関節も固まっていて

動かない。


姿勢が極端に悪く、肩や首のあたりが固まっている、

などなど。


ここに書かれている運動をするだけで、

弾けない箇所が弾けるようになることもよくあります。


生徒さん達から絶賛、感謝の声をいつも頂いている練習法です。アップ


この準備体操だけでもとても助けになるのですが、

更に、ふにゃふにゃ指を改善するために、次には、

指の分離、のトレーニングが用意されています。


これは、コルトーが本当は五線を使って書いている

エチュードなのですが、藤本先生は、このエチュードを、

「更にメカニックに集中できるように」


との理由で、指番号だけで練習できるようになさっています。






これがこの本のメソッドの特徴でもあり、生徒をぐっと伸ばすことのできる秘訣。


というのも、

小さい子供、初心者などは、音をすらすらと

読めるようになるだけにも割と時間がかかります。


最低、数週間から、ゆっくりの子供だと、一年くらい

すらすら音符を読めるようになるのに時間がかかることも。


でも、その最初のレッスン期間から、音符よみなしでも、

規則正しく指のトレーニングをしていけるのが大きなメリット。


音符がすらすら読める頃には、よい音を出せる指が育っています。


応用範囲が広いのもよいです。


指番号だけが書かれているので、

楽譜を読んでいて弾けない箇所が出てくると、

その箇所に5本指を置いて、このトレーニングをすれば、

弾けるようになります。


特に、子供や中学生などの、心が鍛えられていない

レッスン初心者、感覚で弾くのは得意だけれど、

音符を読むのは嫌い・・・な

タイプにはこの練習方は、特にぴったり。


ハノンなどは難しくて退屈でいや~!プンプン


となる生徒でも、

この指番号だけの練習なら意欲的に毎日してくれます。


テクニックはテクニックとしてとらえ、指は

鍛えなければピアノは弾けない、

鍛えれば弾きやすくなる!

という事実、結果が分かりやすく、得やすいのです。



そして、


よくある、

「どのくらい練習したらどの曲を弾けるようになるか?」


という質問。


これは、生徒の能力を見極める、という点で

先生はできなければいけない必須事項。

生徒ならば、曲選びの基準が分からない時に、

先生に聞きたくなる質問です。



この第一章の、基礎練習を生徒にしてもらうと、

生徒の、身体的に達成することのできるリミット、

が分かります。

例えば、

手首も前腕もかちこちで旋回できない大人の生徒に、「アルペジオがいかに

綺麗に弾けるかが命」のロマンティックなショパンなどの曲は

与えません。与えても弾けません。


こういう場合、

比較的、手首の動きを必要としない曲選びをする。


など・。


自身で勉強する場合なら、


例えば、中級レベルのソナチネやソナタが弾けるレベル、

というと、8分音符、2個分、をメトロノームのテンポ、240に

きちんと弾き収めることができないといけません。


これは、中級レベルの曲をアレグロで弾けるテンポです。


自分の指が、果たしてそれができるかどうか、も、この指番号が書いてある

トレーニングを5本歩きまで試してみると分かります。


まんべんなく5本の指をトレーニングしていくことができるので、

このトレーニングを、どのテンポまで問題なく弾くことができるか、

とメトロノームで見てみると、自分の弾ける曲の

リミットが分かりやすくなります。


例えば、この5本歩きのトレーニングを

アレグロのテンポで弾けないのに、

発表会の曲に、速い中級レベルの曲をあげることはしないし

選ばないほうがよいです。


自分のできるテンポが例えばアンダンテくらいなら、

ゆっくりでも映える曲、16分音符などの速い音符がない

曲を選びます。



・・・・・・・・などなど、テクニックレベルの見極めにもとても便利です。音譜


コルトー教則本の特徴として、

ピアノ演奏に必要なテクニックを大きく分けて抽出し、


まず、準備体操でその基礎を習得する


ので、この準備段階で出きない問題があれば、

勿論、ピアノに向かって楽譜を弾こうとしても

できないことがはっきりと分かるからです。


この準備体操段階で、

椅子の高さがおかしいとか、

座り方に問題がある、、

などの問題もぼろぼろと出てきます。


12年間、他の先生についていた

大人の生徒さんがやってらっしゃいましたが、

座る位置、座り方に問題があり、テクニックで行き詰ってらっしゃいました。


椅子の位置が高すぎ、手首の旋回ができず、

音階やアルペジオなどががたがた。更に、

肩もがちがち。


椅子の位置が高すぎることを指摘すると、

「いや、これが弾きやすいので・・。」

とのこと。


「悪いですがそれでは弾けるようになりません。」

と椅子の位置を変えて、こちらの教則本の

基礎練習を数週間、練習して頂いたところ、ようやく

音楽がなめらかに。確かに音楽がとても綺麗になった!

最初は変な感じがしましたが、慣れるとこっちの方が

楽です!と満足してらっしゃいました。



私のレッスン生にも、

「大体一年でこのテンポまで弾けるようにしようね」

などの目標をあげて、この指番号の練習をあげると、

普通のエチュードは大嫌いな生徒でもしてきます。



趣味で来られる大人の生徒さんでも、

「仕事の合間の息抜きにすごくいい!」


と毎週しっかりしてくださり、どんどんテンポアップしていきます。

そして一年も経てば、指がトレーニングされ、

ぐっと弾ける曲のレベルもあがってきます。


並行して、譜読み、初見試奏の練習は別にしてもらいます。


更に、私のレッスンでは、自身の演奏活動を通して

役に立った、アレクサンダーテクニック、

太極拳の知識と体の使い方や練習法も取り入れることが多く、

こちらの本で進まない生徒は、そちらを

試してみたりもします。


でも、やはり基本はこの2冊。

大体の問題はこちらの準備体操や基礎練習で

なんとかなります。


私が大学受験まで教わった先生には、

「手首が固い、指が弱くてどうにもならない、姿勢も悪い」

といつも怒られていましたが、


どうやってほぐしたり柔らかくすればよいか、

どうやって指をトレーニングするか、正しい姿勢をどう保てるか、

などの練習法は残念ながら教えていただけませんでした。


時間も限られていてのレッスンで、先生としても全てを教えることはできず、

やきもきなさっていたでしょう。


実際、肩や腕、前腕など、

かちこちだったのかもしれないですね。


正しい姿勢、も勝手にできるものではなくて、

習得するものである、とい考え方も知りませんでした。


若いなら体は柔軟、正しい姿勢だって、朗らかな性格と

気持ち次第、なんて考えはとんでもありません。


小さい子供や、中学の女子、男子生徒でも、

すでに肩はがちがちで丸まっている、

とか、背中が反り返ってしまって

開かない、などの問題を抱えている子供はたくさんいるのです。

ましてや大人の生徒さんならなおさら。

身体的な問題が大きくて弾けない方は多いです。


こんな状態で、小難しい楽譜に向かわせ、じっと座らせ、

すらすら弾けないからと怒られるなんて、可哀想すぎです。><


その頃の私は、

自分に才能がないから怒られるんだな・・・と

本当に悲しく落ち込んでいました。


自身の経験からこれだけは言えるのですが、

ハノン、ツェルニーを、間違った奏法や座り方で練習していても、

何年練習したところで、テクニックの問題は消えません。


音楽的な才能や、音楽が好きという気持ちと、

テクニックや正しい体の使い方を知らないこと、

は何の関係もないので、全く落ち込まなくたってよいのです。


それより、こういったほぐしの練習を少しでも試してみる

、のがよいと思います。


もし先生に怒られて落ち込んでしまったり、

弾けなくてがっかりしている方がいらっしゃったら、

是非ともこの本を読んで、準備体操など、

絵に書いてある通り、写真に書いてある通りに

試してみてください。


指のトレーニングも、この本に書いてある通りにすれば、

できるようになりますよ!


ピアノ演奏は、指だけで弾くものではないのですが、

それを知らない方はとても多いです。


手首、腕の使い方、座り方、体全体を見ること、

など基礎は本当に大切。


その基礎をまず準備体操で習得してから

細部練習に入るので、レパートリーに

バロックから近現代、ポピュラー音楽までと

早くに幅が出しやすいです。


是非ともお試しくださいね。

ピアノのためのフィンガートレーニング[ムジカ] (ムジカノーヴァ叢書 (8))




皆様、素敵な音楽ライフをお過ごしください。