2月13日付けの日経新聞に、「狙われるマンション積立金 管理委託に潜むリスク、信頼逆手に横領後絶たず」と題した記事が掲載されていました。
本記事の要約は以下のとおりです。
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◾️ マンションの修繕積立金を巡る横領事件が後を絶たない。
◾️ 大阪府内のある管理組合では、修繕積立金を管理する口座の残高がゼロになっていることが発覚。管理会社の担当者が通帳を不正に操作し、9年間で14の管理組合から9億円以上を着服していたことが判明した。
◾️ 埼玉県では2023年6月に管理費1,200万円を着服した事件も発生し、全国的に同様の問題が起きている。
◾️ マンション管理適正化法では、管理会社が通帳と印鑑を同時に保管することを禁止しているものの、違反行為が見過ごされていたことが不正を招く原因となっている。
◾️ 2022年のマンション管理市場は約8,200億円規模で、10年前に比べて27%増加している。2030年には50%増を超えると予測されている。
◾️ 一方、区分所有者は管理に無関心な人も多く、総会への参加率は低迷している。管理業務を管理会社に一任する傾向が強まる中、住民自身の監視機能が弱まり、横領などの不正を見過ごすリスクが高まっている。
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国土交通省のホームページでは、「マンション管理業者に対する監督処分等情報」を閲覧することができます。
事件の経緯は不明ですが、いずれも当時の従業員が管理組合の財産を着服した事件によって行政処分を受けています。
しかも、下記の通り業界では有名な管理会社が多いのです。
令和6年3月 日本ハウズイング
令和4年11月 東急コミュニティー
令和4年3月 日本総合住生活
令和3年12月 日本ハウズイング
令和3年9月 日鉄コミュニティ
少なくとも、組合財産の着服事件で処分を受けた履歴のある管理会社は、
いま流行りの「第三者管理方式」の管理者になる資格はないでしょう。
一方、国交省の行政処分(最も軽い「指示処分」)の書面を見ると、以下のような「いつもの定型文」で、本当に表面的でうすーい内容です。
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・ 今回の違反行為の内容及びこれに対する処分内容を、役職員に対し速やかに周知徹底すること。
・ 法及び関係法令等の遵守を社内で徹底するとともに、社内研修・教育の計画を作成し、役職員に対し、継続的に実施すること。
・ 日常の業務運営に関しての調査・点検を行うとともに、社内の業務管理体制の整備に努めること。
・ 今回の違反行為を踏まえ、適切な再発防止策を策定し、継続的に実施すること。
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このように、監督官庁の姿勢がきわめて緩いことも不祥事再発の原因ではないかと思わざるを得ません。
また、被害者である管理組合でも、無関心層が多いゆえに役員等のチェックが甘く、「善管注意義務」が果たされていなかった可能性が高いです。
たとえば・・
・銀行通帳と印鑑を両方管理会社に預けていなかったか?(法令違反)
・毎年の定期総会時に、決算書の内容と預金口座の残高が合致しているか確認したか?
・管理会社が要請するままに理事長がメクラ判を押していなかったか?
など、これまでの行いを振り返ってみる必要があるでしょう。
つまり、管理会社(業者)と管理組合(顧客)の双方でのガバナンス機能の不全によって生まれた悲劇であり、双方で内部チェック体制を強化しない限り、同様の事件が再発するでしょう。
<参考記事>
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