「最近の子供は虫に触れない」とかいうガセ情報(石砂山) | 首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

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雑誌編集者である著者が自ら首都圏の公園や自然地に足を運び、そこで出合った生きものの情報をお届けします。
都会の印象が強い東京にも、カワセミやタカ、多くの昆虫が暮らしています。「首都圏ってこんなに生きものが多いのか」と驚かされる情報が満載です。

毎年おなじみの石砂山登山の記録です。

2014年から行っておりますので、

これで11年目になりますでしょうか。

毎年、多少の変化こそあるものの

ギフチョウを始めとした春の昆虫や

各種山野草の姿をコンスタントに見られておりますゆえ

私にとっては相変わらず春最大のお楽しみだったりします。

 

写真はミヤマセセリ。ミツバツツジで吸蜜中です。

 

 

 

 

 

こちらはムラサキハナナで吸蜜中。

この花は石砂山の中には咲いておりませんので

正確に言うなら山に向かう途中で撮ったものです。

 

 

 

 

 

やっぱりこのチョウは、落ち葉の上に降りて

日光浴している姿が生える……ということで

王道のシチュエーションのものもUPします。

 

今回は、ミヤマセセリがなかなか豊作でして

登山口に辿り着くまでの間にも結構見かけました。

この辺は増えたり減ったりと毎年多少は差があるので

ほとんど運次第と言えるかもしれません。

 

 

 

 

 

登山中に見かけたホソミオツネントンボ

近距離に来てくれて、なかなか良い写りに。

名前の通り成虫越冬するこのイトトンボですが

都心部で簡単に会えるような種でもないので

これはなかなか嬉しい出合いです。

 

水色に波状模様というのも美しいですね。

 

 

 

 

 

 

登山中に見かけたフデリンドウ

今年の開花期の遅れの影響を受けてか、マダツボミ(左写真)。

そして右側は……何かの哺乳類のフンです。

シカでないことは確かで、イノシシは恐らくいない……

となると候補は大分絞れてきますが、

KUMAでないことを祈る……というか

会わないで済むことをひたすら祈りました(汗)

 

 

 

 

 

さて、山頂が見えてまいりました。

登頂時点ではまだお昼前ということもあり

人はほとんど来ていなかったのですが

昼食をとっていると家族連れが多数やってきて

結構な賑わいを見せるようになりました。

 

 

 

 

 

ギフチョウの観察・撮影には

ご存知の通りこの山頂が最適です。

この日も登頂直後から何度か出てきましたので

昼食がてら、近くに降りたら撮影……という

例年通りの撮影を楽しませていただきました。

 

一瞬、スミレで吸蜜してくれたのですが

残念ながら今年は食事シーンは撮れませんでした。

 

 

 

 

 

降りてくれれば、しばらく動かないことも多いので

こんなふうにスマホで撮影することも十分可能。

山頂にスタンバイする私を含めた老若男女十数人が

ギフチョウが降りると同時にサッと撮影モードに入る……

傍から見ると滑稽かもしれませんが

皆さんベストショットを撮るためにかなり真剣です。

 

 

 

 

 

ヒオドシチョウも出現。

地面に降りることもあれば、

汗に惹かれて人の肩に止まることも。

 

一度私の肩にも止まったのですが

当然撮影することはできませんでした(爆)

 

 

 

 

 

 

ヒメツチハンミョウ(左)にビロウドコガネ(右)。

いずれもこの山ではそれなりに目にする昆虫たちです。

 

ところで、こういう山まで来るような子供達ですと

ヒメツチハンミョウの名前や、毒を持っていることなども

知っている子が多く、結構驚かされました。

これは平野部の公園に来る子供たちも同じ。

好きで公園・緑地に遊びに来て

昆虫に興味や関心を抱いている子供たちは

一度見て名前を知った虫についてはしばらく忘れませんし

今の時代、興味があればスマホ一つで簡単に種の同定もできます。

 

さらに最大の注目ポイントは、虫を見つける能力の高さ。

これに関しては私ですら負けることも多々あります。

 

 

 

 

 

アカスジキンカメムシの幼虫を子供が手に載せ、

それを親御さんが撮影しているシーン。

 

前々から思っていたのですが

普通に昆虫に触れる子供なんてたくさんいるのに

何で「最近の子供は虫に触れない」というのが

通説として罷り通っているのか理解に苦しみます。

そういうことにしてマウント取りたいジジババが多いんでしょうが

無論、苦手な子供も確かにいるのでしょうが

それは私が子供の時(30年以上前)であっても同じでしたし

近々80になる私の父は虫に触ることができません。

真っ当な統計をとっているとも思えませんし。

 

世代を丸ごとディスるような表現は

どうにも個人的に共感できません。

例えそれが古代ギリシャ時代から続く伝統だとしても。

 

 

 

 

 

山頂ではこんな新顔の昆虫にも遭遇。

持っているのは登山客のお父さんであり

観察している親子連れに便乗して

撮影させていただきました。

なので私が見つけたわけではありません

 

最初にこれを見た子供の一人が

ニイジマトラカミキリじゃないか」と言いましたが

昨年撮影した個体と比べると模様が大分違います。

っていうかそんなマイナーで長ったらしいカミキリムシの名前が

見た瞬間に出てくる子供というのが凄い……。

私もスマホを取り出し、種の同定を試みまして

昆虫エクスプローラーでくまなく検索をしてみましたところ

どうやらトガリバアカネトラカミキリらしいと判明しました。

山頂メンバーの中で最初に識別できたのでちょっと鼻が高い

 

遭遇率・・・2 (春しか出ない模様)

インパクト・・・1 (見ての通り指先サイズ以下で見つけにくい)

美しさ・・・3 (背中の模様がなかなかお洒落)

俊敏性・・・3 (活発に歩き回っていたので捕獲した)

知名度・・・1 (無理に名前を覚えようとしなくてよい(爆))

 

成虫はカエデの花の蜜などが好みらしいですが

それ故なのか、見られるのはせいぜい初夏くらいまでとか。

カエデの木自体は平野部にもありますので

そういう所を念入りに探してみたら

もしかしたら今の時期なら見つかるかもしれません。

 

 

 

 

 

ここからは帰り道。

ヒトリシズカはまだ満開には程遠かったものの

コンスタントに随所で見られました。

結構木陰の濃いところにも群落を作っています。

 

ちなみにシュンランは株自体は見つかったのですが

花が全く咲いていませんでした。

……シカにでも食われたんだろうか?

 

 

 

 

 

実際、シカによる食害は深刻らしく

ギフチョウの食草であるカンアオイを守るために

こうやって保護柵を設けたりもしていました。

昨年まではこのような柵はありませんでしたので

やはり年々深刻化してきているということなのでしょう。

 

 

 

 

 

下山後、藤野駅に向けて歩いている途中に

上空に出現したノスリ。何度か旋回しつつ

私の真上を通過して山奥に飛んでいきました。

 

今年は今のところ、出先でのノスリ遭遇率が

ちょっと高いような気がしますね。

 

 

 

 

 

 

今回、昼食はおにぎり持参で山頂で済ませてしまったため

道中の「食」についてはドリンクと間食くらいに留めました。

左は、例の「山のはちみつ」でいただいたウメと蜂蜜のジュース

体力回復にはもってこいです。

 

右は、藤野芸術の家の売店で購入した

地場産のブルーベリーのアイスキャンデーです。

非常に濃厚で、それこそブルーベリーをそのまま凍らせて

棒状に成型したかのようでした。これも大満足です。

あと、芸術の家のレストランがタイ料理のお店に

建て替えられていました。来年来てみようかと検討中です。

 

 

 

 

 

帰り道、車道際で見かけたフデリンドウ(?)

もしかしたらハルリンドウかもしれませんが

まあ、いずれにしても春に咲くリンドウです。

 

何年か前の台風または大雨の影響で

山肌が一部崩れたためか、ここ数年石砂山では

リンドウの姿を見る機会が少なくなっています。

こればかりは防ぎようがなく如何ともし難いのですが

根性(?)でまた多数咲いてくれることを願うばかりです。

 

 

 

 

 

車道沿いに咲くキケマンソウ

こちらは山中では見られません。

 

 

 

 

 

まとまって咲くジュウニヒトエ

昨年とほぼ同じ場所で見られました。

(まだ咲き始めでサイズが小さかったですが)

 

 

 

 

 

ヒメオドリコソウで吸蜜するツマキチョウ

春を代表する里山のチョウ……ということですが

どうも外来種であるヒメオドリコソウが好きな様子。

過去の私の観察記録を振り返ってみましても

この花にとまっている姿が妙に多かったりします。

(なかなか静止してくれないだけに余計目立つ)

 

そういえば昨年は平野部でレンゲで吸蜜していました

一応レンゲも外来種だよな……とか考えてモヤったものの

チョウにとってみれば単なる餌場であることに変わりはないので

あまり考え過ぎない方がいいのかもしれません。

 

 

 

 

 

最後に、昨年は見かけなかったオキナグサ

かつての観察ポイントに一株だけ復活していました。

何でここに生えているのかは未だに不明

昨年も見えなかっただけで地中には残っていたということか?

いずれにしてもちょうどよい咲き具合です。

 

 

 

 

 

花の中はこんな感じ。レア度の高い山野草ですが

今のところ盗掘される様子もないのがありがたいところです。

来年も引き続き観察できることを切に願います。

 

 

 

 

 

【4/7 石砂山で撮影した生きもの】

鳥類・・・エナガ、カワラヒワ、キジバト、キセキレイ、コジュケイ、シジュウカラ、ツバメ、ノスリ、ヒガラ、ヒヨドリ、ホオジロ、メジロ、モズ、ヤマガラ

昆虫類・・・アカスジキンカメムシ(幼虫)、キタキチョウ、キタテハ、ギフチョウ、コマルハナバチ、セイヨウミツバチ、センチコガネ、ツマキチョウ、テングチョウ、トガリバアカネトラカミキリ、ニッポンヒゲナガハナバチ、ババムカシハナバチ、ヒオドシチョウ、ヒシバッタ、ヒメツチハンミョウ、ビロウドコガネ、ビロードツリアブ、ベニシジミ、ホソミオツネントンボ、ミヤマセセリ、ムネアカオオアリ、モモブトカミキリモドキ

その他・・・ニホントカゲ

 

 

 

★次回、生きもの探索ツアー「首都圏生きものめぐり」は

 2024年5月19日(日)に開催いたします。

 行先は「目黒川緑道~中目黒公園」でございます。

 現在お申込を受付中です。ご興味のある方はこちらよりお申込ください。

 (講座の概要につきましてはこちらをご参照ください)

 

 

【小学校6年生までのお子さんのご参加につきまして】

小学校6年生までの方は、初回500円でご参加いただけます。

ただし、御父兄の同行をお願いいたします。