安田女子大学版「地域のリーダーの二十歳のころ」の大団円を迎えて | 前和光市長 松本たけひろ オフィシャルウェブサイト

安田女子大学版「地域のリーダーの二十歳のころ」の大団円を迎えて

あらためて、3月までお世話になった安田女子大松本ゼミにおける学生インタビュー企画「地域のリーダーの二十歳のころ」が大団円を迎えたので、振り返りを書かせていただきます。
このシリーズの特徴は、地域のリーダーの二十歳前後に焦点を当て、今の政策や市政運営とのつながりを解きほぐしていく、というものです。
「学生によるインタビュー記事執筆」という企画はいくつかの大学のゼミで行われていますが、このような形の元祖である東大の立花隆ゼミは、学生が会いたい人に会いに行く、というコンセプトでした。また、立花はそれをまとめた「二十歳のころ」という書籍で「何とか読める程度までしか手を加えなかった」という意味のことを言っていて、実は「二十歳のころ」は質、量、内容ともに非常にばらつきの多い、混とんとした書籍に仕上がっています。書籍化までたどり着いたのは立花隆の力によるところが大きいのでしょうが、その量には圧倒されます。ある種の傑作です。ただ、あまりに雑然としていて読み通す、というよりはつまみ読みしようかな、という雰囲気の本だともいえます。
そして、「二十歳のころ」の原点は立花自身の手による「青春漂流」なのですが、「青春漂流」は様々な分野で一家をなした人物の二十歳のころに立花本人がダイブし、当時のことをまるで見てきたように語る、強烈な印象を残してくれる傑作です。
私がこの地域リーダーインタビューの企画を松本ゼミとして始めるにあたり、意識したのは「青春漂流」まではいかないにしても、それなりのクオリティでそろえる、地域で活躍する首長たちのリアルな二十歳を切り取る、そして学生によるインタビュー・執筆という形ながら、私もそれなりの労力を投入する、という形でやってみよう、ということです。「二十歳のころ」より読みやすく、「青春漂流」にも似すぎていない、意義のあるものが作りたい。さらには、意外に活字として見ることが少ない、地方の政治家たちの二十歳を記事として今後、残しいく、第一歩にしようじゃないか、というものです。
私は前職でたくさんの地方の首長さん方と接してきましたが、地道型の首長さんであっても、掘って行くと必ず面白い仕事をしているし、人物としても想像以上に魅力的なのです。そして、彼らの人物像については、地方紙の短評のようなものがあるだけだという印象がありました。
地元紙がロングインタビューすることもありますが、多いのは政策や政見に関するものであり、人物像はよく見えません。また、相手が新聞記者や雑誌記者では首長も構えがちです。
その点、学生たちが相手なら、率直なお話がいただけるのではないか、とも思いました。
また、学生には、まず書く技術を身に着けるために模擬インタビューを2回ずつ行いました。1回はゼミで設定した方(最新年度ではコンサルタントで元川崎市議の小田理恵子さん)について、全員で同じインタビューについて記事を書き、2回目は親御さんなど家族が対象のインタビューでした。
このご家族のインタビューが面白くて、中国地方の昭和生まれの男女が生きてきた時代を私も同時代人として楽しく読ませていただきました。
インタビューがいいのは、コンテンツは最終的にお話を聞かせてくれる方の人生なので、普通にやればあっという間にサイトの文字数制限の3000字に行ってしまうということ。学生がレポートで3000字を書くというのは実に構えるものなのですが、学生たちはなんだ、書けるじゃん、と安心する、というわけです。そうなればしめたもので、学生たちは何の不安もなく本番に臨むことができるのです。
また、執筆ではチェックに生成AIも活用しました。
学生にはAIの使い方から、プロンプトの作り方、文書整理のさせ方まで、徹底的に指導しました。

また、事前(場合によっては事後にも)に地域のことを調べたり、地域を歩いたりするとともに、首長さんたちのこれまでの活動についても調べました。


結果的に、遅くはなりましたが、企画自体が打ち切りになることもなく、ゼミ生全員の作品がライフルホームズプレスのサイトに記事として掲載されました。
どれが面白い、とか面白くない、とか言うと叱られますが、なかには学生の草稿から、何かと手がかかったインタビューもあれば、「おいおい、今の話を学生がどうやってまとめるんだよ」と思ったら、意外にしっかりまとめてきた、とか、一つ一つの作品が本当に様々で、私自身もハラハラドキドキしました。
なかには、知人に事前に話を通していただいた件もあり、まあ、学生のためとはいえ、友情のありがたさか身にしみました。
今後ですが、新しい勤務先ではゼミ生が増えること、必ずしも第一希望にしてくれた学生ばかりではないことを聞いていますので、インタビュー記事まで仕上げるのは希望者という形になりそうです。
また、すでにたくさんの首長さんに「来てもらっていいよ」というお話をいただいているので、首都圏を中心に全国を学生と歩いていきたいと思います。
今回、ゼミ生の活躍の場を与えていただいたライフルホームズプレス編集部の皆様、ライフルの皆様には心から感謝申し上げますとともに、引き続きのご助力をお願い申し上げます。

(三次市内にてゼミ生一同で辛麵調査)
インタビューリスト(記事完成順。インタビュー時の肩書。リンクから記事に飛べます)
明石市長 泉房穂様
総社市長 片岡聡一様
三次市長 福岡誠志様
安芸高田市長 石丸伸二様
米子市長 伊木隆司様
広島県知事 湯崎英彦様
廿日市市長 松本太郎様
広島県教育長 平川理恵様
広島市長 松井一實様
あらためてありがとうございました。