無作為の政府

From 岡田磨左英(中小企業診断士)

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前回財政制度等審議会の資料がひどいという話をしましたが、その続きです。

審議会の資料の6ページにグラフが載っています。タイトルは「OECD諸国の政府債務残高と実質GDP成長率」となっていますがグラフの縦軸は「実質GDP成長率」で正しい。しかし、横軸が「政府債務残高対GDP比」となっている。

つまり、タイトルと横軸が違うということです。

なぜ、そういう軸を審議会(資料を作っているのは財務省)が取ったかと言いますと、政府債務残高を横軸に取ると、政府債務残高と実質GDP成長率が正の相関関係にあることがバレて、「経済成長しないのは、政府債務残高を増やさないからだ」と真実が国民に分かってしまうからです。

これは、かなり悪質な統計詐欺と言ってもよいでしょう。ぜひ、地元の国会議員に伝えてください。

財務省はここまでして、緊縮財政を続け、国民を貧困化させたいのであると。

G7諸国の政府債務残高の伸びを見てみますと、2007年と比較して、日本が最も政府債務残高(通貨発行残高)を増やしていないのです。

実体経済において通貨流通量が純増する方法が二つあります。一つは、家計や企業が銀行からお金を借りること。
当然、お金を借りて、自動車や住宅、機械設備などに消費や投資をするわけです。誰かの支出は誰かの収入ですから、GDPは伸びます。

もう一つは、政府が国債発行して、財政支出すること。家計や企業の銀行残高が増えますので、消費や投資が促進される。

ゆえに、GDPが伸びるわけです。

日本は、デフレ不況に陥って、家計や企業が消費や投資を増やしていない、というが増やせない。そこで、政府が民間とは逆の行為、つまり、政府が消費や投資を増やさねば、GDPは低迷してしまうわけです。この30年の不況は政府の無作為にあるということなのです。
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岡田磨左英(中小企業診断士)