母をたずねて三千里

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私の後ろに小田原城が見えるだろうか。

そう、私は今日図らずも小田原まで行くハメになった。


電車を二度乗り換えて、しばらくしてからなんだか変だなあ、と思った瞬間、、、

「あ、お財布が入ったリュックサックを電車の網棚に置いてきちゃった⁉︎


すぐさま次の駅で電車を降りて改札事務所に行って

「この電車に乗ってここで乗り換えてうんぬん、、、」を一気にしゃべると


「置き忘れた車両を特定できないと途中の駅では探せないので、終点の小田原で探してもらいます」

と係員さん。


ガーン‼︎‼︎


小田原に電車が着くまでまだ30分はかかるそうで、その間にも駅がいくつもある。

もし誰かがリュックを持って行ってしまったらと思うと居ても立っても居られない。


お財布以外にも大切なものがいくつか入っていて、なくなったら泣いちゃう〜、と思っていた。


小田原駅から40分後くらいに電話があるはずだというので、届け出た駅の改札横で立って待つことにした。

どこかで落ち着いて座ってなんてできない心境なんだもの。


すると、車椅子に乗った人が改札脇をすり抜けて行った。

電動式で、片手でスルーッと操作して、慣れているのかなんの迷いもなくホーム行きのエレベーターに向かって行った。


リュックのことを気にしながらその人を見送った。

 

しばらくするとまた車椅子に乗った人が改札に現れた。

今度は、係員さんが話しかけているのをちゃんと聞いた。

「どちらまで行かれるんですか。」

「◯◯です」

「◯◯行きは◯時◯分です」

「ありがとうございます」

「どうぞお気をつけて」


とっても温かい会話だった。


車椅子に乗った彼は、使い古しの手袋で一生懸命2つのタイヤを回して、先程の人とは反対のホームに向かって行った。


ああ、私も左股関節の棚形成手術をした後、7ヶ月車椅子生活だったが、いろんなことがあったなあと急に思い出した。


そうしたら、リュックサックが手元から離れてしまったくらい、なんでもないことにふと思えた。


何だか落ち着いてきた。


そうこうしているうちに40分ほど経って、改札事務所に電話がかかってきた!


係員さんは電話に出るとバタバタと書類と電話を持って奥のコンピュータのところに行ってしまい


「あったの? なかったの?」


と思う私には、係員さんの動きすらもどかしい。


ひとしきり作業をした後

「ありました」


「良かったー‼︎

手を叩いて駅の改札でジャンプしてしまった。


書類を握る係員さんの手が震えている。


お忘れ物お引き取り乗車券というのまで発行してもらった。

小田原まで行って帰ってくるのを無料でサポートしてくれるのだそうだ。




 

嗚呼、ありがたい。


そんなこんなで、出発から目的地まで、結局6時間かかった。


母をたずねて三千里。


イギリスからの旅路を考えてみると、もう優に三千里(12,000キロは超えている。


数分でも良いから、母に顔を見せて安心させてあげたい。


お母さん、待っていてね。


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