Nasebanaru

アメリカで趣味と生活を綴る

クロスカントリー23

2023-08-17 04:52:46 | Piper Cherokee 140


片道約1000キロを小型飛行機で旅に出ました。



妻と娘を妻の実家に連れて帰ることが目的です。元はと言えばこれをやりたいが為に飛行機を購入したんですが実行するのに2年近くかかりました。



出発前日に空気を補充。古い飛行機なのでこまめな点検が不可欠。



出発は月曜の午後。午前中は雲が低くて出発できず。パイロットが利用できる様々な天気予報では午後以降良い感じ。しかし道中雷が発生するエリアを通過予定。

でその日の目的地に着く手前で案の定雷雲に遭遇。やむなくダイバート。無理に突っ込めば無事ではおられません。



で降りてきた空港でこのままこの辺りで宿を探そうかと思ったのですが。。。パイロットが利用できる部屋までは人がいなくてもオートで入れましたが時間外に立ち寄ったので空港には誰もいません。

ホテルは検索すれば近くにあるもののそこまでの足がなかなか見つからない。そうこうしているとここの空港に自家用機を駐機している男性に遭遇。彼は飛ぶために来たにもかかわらず私たちのために色々と空港関係者と連絡を取ってくれたり世話を焼いてくれる。「もう大丈夫です、ありがとうございました。」「俺も降りたところでにっちもさっちも行かなかった経験があるからな、じゃあ元気でな。」そう挨拶を交わして別れました。

それからもどうにかならんかなと色々検索していたのですがそのうち空はまた快晴に。雷雲ってあっという間に育ってあっという間に消えることもあるんだなと身をもって経験。それなら元々の目的地まで飛ぼうってことで再出発。無事目的地に着きました。

さて二日目。

予定ではあと6時間弱飛べば妻の実家近くの空港に到着。予報では目的地の風が突風に注意となってます。



ここの燃料は安かったですねえ。車のガソリンとあんまり変わらず。

9時過ぎ出発。

離陸後機首を目的地の西に向けて上昇中の事です。エンジンオイルの油温を示す針が右に振り切れていることに気が付きます。



エンジンのオーバーヒートの可能性を示しているわけですから直ちに降りるほかありません。そのほかのエンジンゲージも注意深く観察しますが問題を示しているのは油温のみ。離陸後間も無くの出来事でしたからすぐ出発した空港に無事降りられました。

「なんだ、もう帰ってきたのか。問題でもあったのか?」

出発前に会話を交わした現地のパイロットに状況を説明するとこの空港にはエンジンを専門にしている整備工場があるらしい。



妻と娘は冷房の効く空港の建物で待機。




これには参りました。自分がいつも駐機している空港なら気心の知れた整備士がいますがそこから何百キロも離れた場所で修理するなんてできるのかしらん。とりあえず地元の整備士に電話をかけて状況を説明。彼も電話の向こうで唸ってます。。。

他に選択肢はなく、ここにある整備工場へと足を向けました。最悪の場合ここに飛行機を置いて残りはエアラインで行くことになることも覚悟します。

5人ほどが忙しそうに動き回る活気のある整備工場です。運よくそこの責任者の方と話が出来ました。

結果から言いますとエンジンそのものは問題なし。恐らくは油温を示す計器がおかしいとの事。

それを確認するのに丸1日。整備士さんたちも日々仕事に追われているはずなのに突然やってきた私のために部品を交換したりエンジン周りを点検したり。その都度テスト飛行を私がするんですが文字通りテストパイロットをこの日は1日やりました。。。まあ空港の周りは広大な畑だったんで最悪エンジン停止しても「死ぬことはないかな」と思いながら飛んでおりました。



三日目に再度出発してようやく妻の実家のあるウィチタ、カンザス州に到着!しかしこの日の横風は凄まじかったっす。義母によると前日はもっと風が強かったとか。だとしたら二日目に足止めを食ったのもあながち悪いことではなかったな、と思えるように。だって舵を右いっぱいに切ってやっと降りられたような風でしたからあれ以上なら無理だったでしょう。



妻の姉夫妻も帰省しておりました。





カンザス州ウィチタ

ここにはボーイングをはじめ飛行機を製造する会社が沢山集まる街でもあります。もう亡くなりましたが妻の義理の父はビーチクラフト社のテストパイロットでした。


「義理のお父さんが俺の腕がまだまだだからわざと1日ずらす仕掛けでもしてくださったんだろうか」

義理の母から義理の父が使っていた飛行ジャンパーなどをもらって欲しいと言われ、そんなふうに思えて来たのでした。




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