鍼灸師「おおしたさん」のブログです

広島って結構素敵なものが揃っていると思います。牡蠣やお好み焼き、もみじ饅頭だけでなく、お魚はとっても美味しいし、あなご飯も絶品です。そしてちらし寿司の酢飯じゃないバージョンである「もぶり飯」も食べてもらいたい。スポーツも、カープやサンフレッチェ、ドラゴンフライズ等、熱狂的なファンが多いですし、厳島神社や原爆ドームといった観光名所もたくさんあります。対外的に紹介できるものが多々あるので、傍目には良いところそうに思われている節があるのですが果たしてどうなのでしょう。この記事によると、県外への転出が3年連続ワースト1位、それも2位を大きく引き離してとのことなので。さらに言えば、前年と比べて転出増加が最も拡大した県ということでしたので。

確かに住むのは色々と考えてしまいます。というのも広島市は平たい場所が広がるイメージがありますが、土の堆積による三角州によりできた街なので、少し街中を離れると、風景は山に切り替わります。平らな場所はとことん平らなのですが、そこを外れると途端に急こう配が現れ、市街に近い場所に家を持とうと思ったら、かなりの傾斜地に家を建てざるを得ません。急こう配とはいえ、中心地に近ければ家は売れます。街中に近いのは大いなる魅力ですから。危険な場所でも魅力があれば売買は容易です。それを見越して多くの人がそんな場所に住むようになります。だから結構切り立った場所に家が建つのも頷けると思います。この規模の街となると、本来ならば大きなベッドタウンが必要なのでしょうが、そういう土地柄なので、人口を増やす余地がないのです。ある意味これ以上拡がる余地の無い完成された街とも言えるので、新陳代謝が生まれにくく、血気盛んな若い子は、その保守的閉塞感に外に出たがるのだと思います。産業も微妙ですし、投資の旨味も感じない、おまけに空港は遠すぎる。となると、3年連続ワースト１というのも大いにうなづけるところなのです。

学生が広島に定着しないのもわかるような気がします。だって広島を代表するであろう広島大学が、広島市内から電車で１時間もかかるのですから。いやいや広島大学の学生は全体からして少数だよ、と言われたら返す言葉もありませんが、広島大学は他府県から来る学生がとても多いと思うのです。そんな学生が東広島市が放つ刺激量で満足できるのでしょうか。本来ならば広島で最も活気があるであろう広島市内でバイトをして、広島に縁を作り、それがひいては広島に住むきっかけにもなるのです。あのような場所に閉じ込められて、若者が広島市を目指すわけがありません。卒業して広島に縁を作るより、もっと大きな都市に出て自分を試したいと思うのが心情でしょう。実際若者の人口が減っているのがそれを物語っているわけですし。

もちろん広島に居心地の良さを感じつつ育ったのは確かです。でも京都大阪東京を渡り歩き、都市のもつ居心地の良さに、また奈良や三重、はたまた中米での田舎暮らしでの人との関わりの喜びに、広島に戻ることはないだろうと思っていました。実際今も広島でなくてもよいとは思っていますが、縁ある街ですし墓もあります。基本どこでも住めば都、どこでも力強く生きていけると思っているので、広島を人生の終いの住処にするのも悪くありません。

私は18歳までしか住んでいません。広島を出たのは40年も前のこと。既にその時広島の雰囲気は正直保守的過ぎると思っていました。都市規模は痒いところに手の届く感じの、ちょうど良い大きさなのですが、何故だか街の放つ閉塞感に、大学は絶対広島から離れようと思っていました。多分そう思う子は今もいると思います。それをプロスポーツチームがあるくらいでは引き留めることはできないでしょう。そんな私なので、故郷とはいえ広島には厳しい感情しか持ち合わせていません。まあもしも人口流出を食い止めたいのであれば、魅力が無いということを肝に銘じる事から始めないといけませんね。良いところを羅列するのではなく、ちゃんと現実を直視する。学生の分断や空港の遠さなんて無茶やばなんですから。そんな街でもね、長いものに巻かれてさえいれば、とっても居心地の良い街。でもこの排他的な現状維持をよしとするのではれば、これからも人口流出は食い止められないでしょう。だから、もしもこのまま都市規模縮小にNOを突きつけたいのなら、外からの意見を取り入れて考えていく必要はあるかと思います。