本日のテーマ
【人から受けた恩を世の中へ返す
~アンドリュー・カーネギーの恩返し~】
読書によって多くの学びや気づきを得てきました。
読書は、人の知識、知恵、思想を知れるツールであり、実際の著者に話を聞いているようなものです。
活字を読むのが苦手で読まない人もいますが、以前のわたしもそうでした。
しかし、ある時にどうしても知りたいことがあり、しぶしぶ本を読んだことがありました。
すると、知識を得ることで人に説明できるようになったのです。
そこで、気づいたことがありました。
「本を読むことで、知識を得て、自分を変えることができる」
わたしの尊敬する世界の鉄鋼王と呼ばれたアンドリュー・カーネギーは、莫大な遺産を世の中の教育や文化に役立つよう捧げました。
世界各国に慈善図書館の創設…
大学などの教育機関を設立…
カーネギーホールを設立…
善行基金の創設…
(アンドリュー・カーネギー 1835―1919年 鉄鋼王までのしあがった典型的なアメリカン・ヒーロー。しかし、すぐ実業界から退き、「富は神より委託されたもの」との信念に基づいて、教育施設や平和機関の設立など福祉事業にもてる資産を投じ、慈善事業化として第二の人生を送った)
この中でも、図書館の創設は全米で3000にものぼりました。
アンドリュー・カーネギーが最初に図書館を創設しようとしたきっかけがありました。
アンドリューが15歳の時に電報配達のアルバイトしていました。
配達の仕事は忙しく、朝から晩まで続きます。
勉強する時間はありませんし、家族が貧しいので本を買うお金もありませんでした。
しかし、天からの恵みがあったのです。
ジェームス・アンダーソン大佐が、四百巻の自分の図書を少年たちのために開放すると発表したのです。
この時の喜びをアンドリューは晩年になってこのように語っています。
「私の牢獄の壁に窓が開かれ、知識の光が流れ込んで来たのであった。毎日の労苦も、夜勤の長い時間でさえも、私がいつも肌身を離さず持ち歩き、仕事のひまに一時でも盗んで読んでいた本のために、たいへん軽くなった。それに土曜日が来ると、新しい本を一巻手に入れることができるのを考える時に、将来の光明を見出すのであった。私たちの仲間にとってアンダーソン大佐の図書館は、まことにかけがえのない尊いものであった。ほかではどうしても手に入れることのできない本が、彼の賢明な、また寛大な措置によって、私の手がとどくところにおかれたのであった。」
後にアンドリューは世界の鉄鋼王と呼ばれる大実業家になりました。
そして、アンダーソン大佐の恩に報いるために図書館を創設することにしたのです。
その時の思いが語られています。
「自分の若いころの経験に照らして、私は能力があり、それを伸ばそうとする野心をもった少年少女のためにお金でできる最もよいことは、一つのコミュニティーに公共図書館を創設し、それを公共のものとして盛り立ててゆくことであると確信するようになった」
“自分が受けた恩恵を次の人のために返す”
なんと素晴らしい行為でしょう。
そんな恩返しができる人だから事業も成功できたのでしょう。
考えてみれば、わたしの人生は多く人の恩恵を受けてきました。
恩を忘れず、死ぬまでに恩に報いる事をしなければならないと考えさせられるのでした……。
恩は忘れず返したいものです。
しかし、恩を受けた人に返せないこともあります。
すでに他界した…
立派すぎて返せない(恩返しなど求めていない)…
そんな恩人は、世の中や次の世代に恩を返すことで喜んでいただけるのではないでしょうか。
参考文献:『カーネギー自伝』アンドリュー・カーネギー著 坂西志保訳 中央公論新社