期待を胸にサンフラワー号に乗り込むと、制服を身に付けた乗務員の方々がお迎えしてくれる。

女性は皆可愛いくて、男性は凛々しい。
船内のホールは吹き抜けになっていて、なかなか素敵。

まず個室に入ってみる。
ベッドと小さなテーブルが置かれた4畳ほどの部屋だ。

窓がないから、もちろん海を見ることもできない。
うーん、イメージがちょっと違うなぁ。
映画タイタニックでいえば、豪華な船室ではなく船底の貧乏人船室って感じ?
どう考えても上流階級のローズではなく貧乏人のジャック寄りの資産しかないんだから仕方ない。
まあ、あの時のケイト・ウィンスレットはお嬢様というよりキャバ嬢っぽかったけど。
でも、いいの。
人間には身分相応っていうものがあるんだし、タイタニックでもわかるように、万一ことが起こった場合、窓があろうがなかろうが同じなんだから。
・・・いや、決してひがんでるワケじゃないですよ。
ホントですからねっ!
部屋でガッカリしたので、お風呂に行くことにする。
サンフラワー号はお風呂が自慢なのよね。
浴室の大きな窓から見える海の景色は、ツアーの広告写真にデカデカと載っていた。
お風呂に入りながら見る太平洋・・・素敵じゃないですかあ!!
まだ他の人が入らないうちに入ってしまおう。
備え付けのバスタオルとタオルを持ってお風呂に向かう。
ウキウキで扉を開けると。
あれ?写真よりだいぶ小さい感じ。
・・・。
ま、いっか。
一応窓からは海が見えるんだし。
それにしても、広角レンズを使うとかいろいろテクニックはあるんだろうけど、実物よりカッコよく見せる技術、尊敬出来るレベルで凄いぞ。
若い頃、そんな技術があったらお見合いに有利だったかもしれない。
いや、実物を見てガッカリされるのも辛いかも、などとしょうもないことを思いながら、湯煙で窓から海は見えないことに気づくわたし。
サンフラワー号は、白波を立てて岸壁から離れる。
薄暗くなった海と空を眺めながら、おばさん一人旅が出来るシアワセを思う。
こうしてなんちゃって太平洋クルーズがいよいよ始まったのでした。
つづく