子宮内膜圧縮(コンパクション)の意義は? | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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本論文は、移植周期における子宮内膜圧縮(コンパクション)の可否を検討したメタアナリシスです。

 

Hum Reprod 2024; 39: 749(中国)doi: 10.1093/humrep/deae012

要約:2022年11月までに発表された17論文18,973周期を対象に、子宮内膜圧縮(コンパクション)のある場合とない場合の妊娠成績のメタアナリシスを行いました。結果は下記の通り(すべての項目で有意差を認めませんでした)。

 

      修正オッズ比(95%信頼区間)

出産率      1.02(0.87〜1.19)

臨床妊娠率    0.86(0.72〜1.02)

流産率      0.91(0.64〜1.31)

 

また、サブグループ解析でも、子宮内膜圧縮(コンパクション)の程度、胚移植の種類、子宮内膜調製による有意差を認めませんでした。

 

解説:妊娠成績は、子宮内膜の厚さ、容積、パターン、血流などさまざまなパラメーターによって評価されます。子宮内膜の厚さが最も重視されていますが、子宮内膜圧縮(コンパクション)が着床と関連するのではないかという報告が散見されます。本論文は、このような背景のもとに行われたメタアナリシスであり、移植周期における子宮内膜圧縮(コンパクション)の有無は妊娠成績とは無関係であることを示しています。