貴也は絶句した。

 自分の気持ち

 だけでは生きられない

 人間がいるのだ。

 ルーンの心に

 貴也と一緒にいた

 短い時間が暖かい

 波になって溢れてきた。
「さよなら…。

 わたしと一緒に

 いてくれてありがとう。

 わたしにとって

 初めての大切な

 思い出よ。」
 ルーンは自分から

 貴也の手を取って

 自分の両手で包んだ。
 笑みを浮かべようと

 していたのに

 ルーンの顔は

 苦しそうになった。
「楽しかったのに、

 胸が痛い。どうして?

 こんなに苦しい

 気持ち初めて…。」
 ルーンの目に涙があふれて、

 ほほを伝わって

 落ちていく。

 生まれて初めて

 暖かいものが目から

 伝わり落ちてルーンは

 手で拭う。
「私どうしたの?

 どうしてこんなに

 胸が苦しいの?」
 怪我をするはずもないし、

 病気になった

 こともないルーンが

 生まれて初めて知った

 痛みの感覚だ。
 貴也はルーンの手を

 握り返した。
 

 

 

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