富山県なぞ、地味なところで、
例の「行くべき52か所」への選定理由でも、
混雑とは無縁、つまり、いわゆる観光地ではないことが挙げられている。
自分では、世界一といっていい「砺波平野の散居村」は、
景観としても、生活文化の背景としても、
もっと研究なりPRなりされていいものと思っているが、
とうてい、どっと人が押し寄せる、というものではなかろう。
もうひとつ、日本海沿岸は、世界でも有数の豪雪地帯だという。
雪も世界中にあるから、量が多いというだけでは観光にはなりにくい。
その、雪を見ながら、考えていたのは
「観光になど、行かなくてもいい」という豊かさについてである。
旅の楽しさを語ることにはやぶさかではないが、
いわゆる「ノマド」に、なりたいわけではない。
旅先の行動を計画したり、帰ってから思い出を話したり、
わが家での時間が充実することの方が、
ひょっとしたら、旅の本当の目的なのではないか。
自分なりの幸福論からすれば、
事故災害や貧困傷病に会わず、かつその心配をせずにすむ、というだけで充分幸福で
それに加えて、テレビ新聞ネットなどから、
自分の中の世界が広がるような情報がもらえれば、
それ以上に何を求める必要があろうか。
我が家の周囲をウォーキングして、それぞれの家屋敷の充実ぶりを見たり、
リビングの窓から雪景色をぼんやり眺めたりして、
ここが世界一の場所だと、自分はけっこう本気で思うのである。