ピックアップとD/O | それが知りたかった!貿易の小さな疑問のいろいろ

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D/OがOKになっていないと、どうなる?

 

今日は⑥についてです。

 

 

①船積み書類の入手
②スケジュール確認
③輸入通関準備
④A/N入手、配送手配
⑤輸入申告、納税、輸入許可
⑥D/Oリリース
⑦貨物引取り

 


 

⑥D/Oリリース

 

D/Oとは、コンテナをCYから引き取るための「DELIVERY ORDER(D/O)=荷渡し指図書」のことです。
 

これは、B/Lと引き換え船会社が発行するもので「D/Oを持っている人へ貨物を引き渡す」というものです。


CYからコンテナを引き取る際には「対査」と言って、このD/Oと輸入許可書を提示して、

貨物を引き取るというのが慣例だったのですが、近年はほとんど、「D/Oレス」となり、

紙媒体ではなくNACCS経由になっています。

それに伴って、D/Oの確認は電話ですることが主流でしたが、これもNACCSで確認できるようになりました👏


D/O レスになったことにより、荷渡し書は発行されなくなりました。
一部、船社によっては「D/Oレス処理の申請」が必要なところもあるようです。
その他、一船社によってはD/Oレスですが「ID NO」という船社から発行された番号が

必要なところもあります。

I/D NOを取得するには、チャージの金額はもちろんですが、A/NにCNEEの署名が必要など、

船社で取り決めがされています。


NACCSの整備が進み、CYでも輸入許可の情報をNACCS経由で確認できるようになりました。

そもそも、以前はNACCSのような全国の各港で統一されたシステムがなかったため、

個々で紙媒体でしか、確認する方法がなかったのですね。


しかしながら、「対査」というものが現在もまだ、残っている港もあります・・・。
もちろん、対査が残っている港では、それが終わっていなければ貨物の引取りはできません。


本来、D/Oとはその引取り証のことなのですが、D/Oレスになった今もD/Oの確認は必要です。
紙が無くなっただけで、引き取るためにはD/O=OKになっていなければ引き取りはできません。


D/OがOKになる条件は4つです。

 

  1. 船会社がB/Lを回収済みであること
  2. 船会社へのチャージ(A/Nの金額)の支払いが完了していること
  3. 輸入許可(もしくは、保税運送承認)が切れていること
  4. F/Tの期間内であること

 

上記の4つのうち、ひとつでもクリアになっていなければコンテナをCYから搬出することはできません。

 

 

 

1.船会社がB/Lを回収済みである


B/LがWAY BILLもしくはサレンダー確認がとれている👌

もしくは、オリジナルの場合は原本が船会社に到着し、確認済んでいる👌
 

NVOCC(混載業者)が間に入っているH/BLの場合は、H/BLはもちろんですが、M/BLも回収確認が取れてなければD/Oクリアにはなりません。

 

 

<B/Lの流れ>

CNEE HB/L ⇒ FWD ⇒ FWD M/BL ⇒ 船社

 



このような流れで必ず、M/BLが船社に回収されることになっています。(WAY BILLを除く)

 

 

 

2.船会社へチャージの支払いが完了している


A/Nが届いた時点で支払いが完了していれば、特に確認する必要はありません。


B/L同様にNVOCCが間に入っている場合は、NVOCCへA/Nの金額を支払います。
その支払いを受けて、混載業者は船社へA/Nの金額を支払います。

 

 

 

<A/Nのチャージ支払いの流れ>

CNEE支払い ⇒ FWD ⇒ FWD ⇒ 船社

      (    H/BL    )          (   M/BL   )

 

 

 

3.輸入許可が切れている


以前は、輸入許可書をCYへFAXする、なんてことをやっていました。
現在は、ヤード(CY)もNACCSで輸入許可が確認できますので、余程のことがない限り、
「許可が切れている」のにヤードで確認できないということはありません。


なお、マニュアル申告した場合(380など)はNACCS確認ができませんので、

許可書をCYへ送付(FAXやメールなど)する必要があります。


輸入許可以外にもうひとつ、CYから搬出できるものがあります。

「保税運送の承認」です。


これは、デバンオントラで納品するために最寄りのどこかに持っていく場合や、
倉庫や冷蔵倉庫など貨物を保管しておく場所に持っていく場合に、「輸入許可」ではなく

「保税運送」をするというものです。


この場合、このコンテナの受け先は必ず「保税地域」でなければなりません。

 

  保税運送をする場合

 

1.トラックに積み替える
2.倉庫や冷蔵庫で一旦、コンテナの中身を確認した上で、輸入申告したい場合
 

コンテナの中身は海外の輸出者が詰めていて、輸入者は書類上でしかその物量を確認することができません。
中身と書類の個数や内容を照合してから、輸入申告をする場合などは、「倉入れ」と言って倉庫や冷蔵倉庫などに持っていき、そこでデバンした内容で輸入申告をするというものです。


食品関係は、割と倉入れ後に輸入申告することが多い印象です。


もし、デバンした後に書類の個数や内容に差異があった場合は、倉入れ先で情報を訂正した後に、正しい内容で輸入通関します。


これも、実質的なマニフェスト訂正になります。(当初、船社が提出した情報と異なる)
そのため、NACCS上で訂正理由も報告しなければならないことになっています。

 

 

 

4.F/Tの期間内であること


R/FやSPECIAL CONTAINERは、F/Tの設定がドライに比べて短いです。
船の入港が確定したら、F/Tの確認は必須です。


ですが、納品や倉庫の都合などでどうしてもF/T期間内に引取りできないこともあります。
その場合は、DEMURRAGE(経過保管料)を支払わなければ、引取りできません。

略して、「デマ」と言うことが多いです。


例)20Fコンテナ:F/T 12/1まで →P/U(引取り)を12/5にする
  SCACコードの船会社へ「12/5に引き取る」旨、連絡を入れて請求書(DEMURRAGE請求 

  書)をもらう
  ※金額は各船社によって異なります。
  

  仮に@5,000円 PER DAYだったとすると、5,000円×4日(12/2-12/5)=20,000円
  この2万円を船会社へ支払い完了すれば、船社によってF/T=12/5に延長される
 

  
納品日が決まっている場合は、このD/O確認をコンテナ引取りの前日までにしておかなければなりません。
もし、D/Oがリリースされていない状態でコンテナの引取りに行った場合は、CYではねられます。
 

コンテナを引き取るために、ドライバーはCYの列に並びます。
貨物の取り扱いが多い港では、引取りまでに時間を要する場合がありますので、
引取りできなければ、また最後尾から並びなおさなければなりません。
そのような、無駄な事態を避けるためにも必ず、引取り前日までにD/Oリリースを確認しておきましょう。


⑦に続く。
 

 

困った時は「こびと」を思い出してください🧙‍♀️