それが知りたかった!貿易の小さな疑問のいろいろ

それが知りたかった!貿易の小さな疑問のいろいろ

なかなか載っていない、貿易の小さな疑問を解決します。

小人のように、小さな力になりたい。
貿易って難しそう、専門知識がちんぷんかんぷん。

入口でつまづくことも多い業界のことを、できるだけ簡単に綴っています。
これからこの業界へ足を踏み入れる人、既に踏み入れている人、
誰でもわかる!

そんな内容を発信しています。

業界の特徴なのか、この業界はとにかくマニュアルが不足しています。
20年の経験から、実務に即した様々なマニュアルを作成しています。

新入社員の方、後任へ引継ぎされる方、社員育成の人手が足りない方々を
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ヤードからコンテナをピックするには?

 


今日は⑦についてです。

①船積み書類の入手
②スケジュール確認
③輸入通関準備
④A/N入手、配送手配
⑤輸入申告、納税、輸入許可
⑥D/Oリリース
⑦貨物引取り


⑦貨物引取り

 

輸入許可とD/Oがクリアになったら、コンテナの引き取りが可能となります。

 

輸出のコンテナ引取り時同様に、コンテナをピックする前日にCY(ターミナル)へ引取り予約を入れます。
「予約」「作業番号」「ピックアップオーダー」など港によって呼び名が違います。

この引き取り予約を略して「オーダー」と言ったりもします。


ほとんどの港が、このような事前予約手配が必要となっており、予約が入ってない場合は引取りできませんので要注意です。


オーダー手配後、(ネットやNACCSなどで)D/Oリリースを再度確認して、納品日の前日にヘッド+空シャーシでCYのゲートに並びます。


ゲートとは、CYに入るための入口です。
CYは「保税地域」ですので、その区域への立ち入りがすべて管理されています。


ゲートで、ドライバーが予約番号などを伝えて、引取りに問題がなければそのまま中に車ごと入ります。
ここでD/Oがクリアになっていなければ、受付不可となりCYの中に入ることはできません。

 

事前にD/Oを確認しておいた方が、仕事がスムーズに流れますが、

割と、確認しないままゲートに引き取りに行く業者も多いんですよね・・・。

特に、土曜などゲートが開いていて船社や代理店が休みの時は要注意です。

引き取りを手配する場合は、必ずD/Oを確認しておくことを強くお勧めしておきます!


ゲートを通過したら、ヤード内の所定の位置に車を止め、安全のためドライバーは一旦、車から降りて該当のコンテナがシャーシに載せられるのを待ちます。
一応、ドライバーが立つ場所(〇で表示あり)も決められています。


CY内はコンテナ番号や蔵置場所などが全てシステムで管理されていて、CYの中のコンテナ移動は、ストラドルキャリア、トップリフターもしくはトランスファクレーンのいずれかの荷役機械で行われます。
ヤード内のシステムを介してゲート受付にて処理されたコンテナ番号がシャーシに積載されます。


ドライバーはシャーシに載せられたコンテナの4点ロックを確認した上で、ゲートを通って搬出します。
その際に、コンテナの外装などにダメージ(損傷)がないか、引取りコンテナ番号に誤りがないかなどをゲートで確認を受けます。

 


運送中の安全に影響があるようなダメージがあった場合は、CYから搬出をすることが問題となります。

 

本船からコンテナを揚げる際にも、コンテナの外装ダメージの確認は行われますが、

揚げ時には確認できず、搬出時に見つかるダメージもあります。
搬出時に見つかった大きなダメージなどについては、CYオペレーターから船社へも報告されます。


ダメージによっては、シャーシへの積載が不可なものや、4点ロックが掛からない場合もありますので、その場合は船社の判断により修理などが行われます。
これは、そのコンテナを所有している船社に管理責任があるためです。

そして、このようなコンテナの外装確認の内容などを記した「EIR(イーアル)/EQUIPMENT INTERCHANGE RECEIPT=機器受け渡し証」という書類が発行されます。
これは、コンテナのダメージ有無の証明になるものです。


搬出時にダメージがあった場合は、EIRにそのダメージの場所と内容が記されます。
また、ダメージが無い場合も、その旨が記載されます。

ダメージが無いものを、SOUND(サウンドバン)と言い、EIRの「sound」欄にチェックが入ります。

ドライバーはゲート搬出時にこのEIRを受け取って、コンテナを指定の配送先まで輸送します。
ピックした翌日に、配送先へドレー、デバンが完了すると、コンテナは空になります。
コンテナは、船社の持ち物なので空になったコンテナは返却しなければなりません。
空コンテナをどこに戻すか、という返却先も併せて「EIR」に記載されています。


空コンテナを返却することを「空(から)返却」とも言いますが、
空返却の際に、実入りのゲート搬出時に受け取ったEIRが必ず必要になります。
コンテナはあくまでも船社から借りているものなので、CY搬出後から配送先でデバン後、返却されるまでの間に、ダメージが発生する可能性があります。


そのような理由から、コンテナの状態が搬出時と返却時で同じかを確認するためです。

 


空コンテナの返却時もゲートを通る際に、外装およびコンテナ内部の確認が行われます。
この確認の際に、EIRの内容とコンテナの状態に相違がある場合は、空コンテナの受け取りを拒否されます。
例えば、搬出時に「SOUND」のEIRだったコンテナが、空返却時に「亀裂や穴」などのダメージが確認された場合は、空コンテナを受け取ってもらえません。


これは、輸入者もしくは運送会社の過失となるため、「コンテナのダメージを元の状態に戻してから返却するように」ということです。
返却拒否された場合は、船社と話した上で、船社が了承すればゲートで受取をしてもらえます。

また、輸入貨物にF/Tがあるように空コンテナの返却にも返却期限が決められています。
この空コンテナのF/Tの期間も、各船社によって異なります。
つまり、「コンテナピックした日から何日以内に空バンも返してね」という意味です。


その設定のF/T期間を過ぎて、空バンを返却した際には「DETENTION(ディテンション)=返却延滞料」が請求されます。
これは、返却後に船社もしくは船社代理店から請求されるものです。

 

実入りコンテナを納品して、空バンを船社へ返却するところまでが輸入手続きとなります。

これで一通り、輸入の流れの説明は終わりです。

 

 

困った時は「こびと」を思い出してください🧙‍♀️

 

 

 

 

 

 

荷役停止=ゲートクローズ?
 

 

今日は7年ぶりの大寒波の予報で、お昼前から雪に加えて強めの風が吹いています🤧🤧

 

 

船の運航や本船作業をする時には、雨や雪よりも「風」の影響を大きく受けます。

港の立地による特性にもよりますが、港によっては風を遮るものがなく、

風を真っ向から受ける港は、やはり強風が度々問題になります。

立地による「頻繁に止まる港」って、あるんですよね🥺

 

 

日本海側や、門司港などは大きく影響を受ける港です。

逆に瀬戸内にある港は、上記の港ほど大きな影響を受けません。

 

 

日常生活で風の強さを気にすることって、さほど無いと思いますが、

意外と年中、強風に見舞われるんです😓

 

 

春は春一番のような強風、夏から秋にかけては台風、冬は北風と時化のように。

 

 

私は長年、船の運航に携わっていましたので毎日のように、

通勤時に肌で風の強さを感じていました・・・(職業病です💦)

 

 

ここ数年、台風による被害も大きかったこともあり、ヤード運営の基準が以前より

厳しくなりました。

門司港や大阪港での大きな被害は、記憶に新しいものです。

 

 

以前は、当日朝などに様子を見ながら本船荷役を行っていましたが、

近年はほとんどが、前日に「強風のため、見合わせの可能性もしくは見合わせ」の連絡が

関係先から届くようになりました。

 

 

ちなみに今回、門司港はすでに昨日の午後の時点で「本日の本船荷役停止」を決めており、

終日、荷役を行っていません。

 

 

ここで「本船荷役」「ゲート」のふたつについてお話ししておきます。

 

 

まず、強風の場合はゲート運営より先に本船荷役の見合わせもしくは停止となります。

これは、荷役にガントリークレーンと言う荷役機器を使用するためで、

このクレーンのワイヤーでコンテナを吊り上げる作業に、風が大きく影響するのです。

 

台風などの強風が予想されている場合は、ガントリークレーン自体も

「固縛」と言って、風に備えて固定する作業をします。

 

 

次に、コンテナの搬出入を停止する必要がある場合に「ゲートクローズ」となります。

通常のコンテナの搬出入には、ガントリークレーン以外の荷役機器を使用しますが、

強風の中での作業は安全面に支障が出ることがあります。

コンテナ自体に、それなりの大きさと重さがあるので、細心の注意が必要です。

そのような際には、各港の作業会社で協議の後、クローズの決定がされます。

 

 

このふたつは、必ず同じとも限りませんので、荷役は停止していても、

ゲートは通常どおり動いているということも、もちろんあります。

(その逆は、あまり無いかもしれません・・・)

 

 

いずれにしても、これにより各方面に大きな影響が出ます。

 

 

 

◆本船荷役停止

・船会社は運航スケジュールが遅延する

 →さらに、1日分の到着予定の本船が滞留するため、バース混みが発生する

 

・輸入者は入港が遅延することにより、納品計画を再調整

 

 

◆ゲートクローズ

・輸入者は、引き取り予定のコンテナが引取れず、貨物の受け取りができない

 

・輸出者は、カット日が前倒しになるため予定本船への積載が間に合わない可能性がある

 →例えば、本船出港が1/25だった場合のカット日は1/24

      そのカット日1/24にコンテナを搬入予定にしていた場合は1/24の搬入が不可となる

 

 

 

明日も引き続き、雪予報なので更にもう1日止まってしまう可能性もありますね。

天候だから仕方のないことですが、当時は毎日の天気予報にとても敏感でした😅

 

 

 

 

困った時は「こびと」を思い出してください。

 

 

 

 

 

税関が輸入者を訪問?!

 

 

輸入者に対して、過去の輸入が正しく行われていたか?を税関が調査することがあります。

 

税関が行う、この輸入後の調査のことを「事後調査」と言い、業界では「じごちょう」

呼んだりします。
これは、過去の輸入手続きや税金が正しかったかを税関が調査することが目的です。

既に輸入許可も完了し、税金も納付しているものでもこの調査の結果、納付税額に不足があった場合は、追加で税金を払うこととなります。


この場合、既に確定した税額の変更となりますので税関に対して「修正申告」を行います。
なお、事後調査後の修正申告をした場合は、過小申告加算税の対象となります。

このような調査のため、輸入者は一定期間その取引に関する書類を保存しなければならないことになっています。
 

保存期間については、下記のように定められています。
紙保存ではなく、電子保存でも可とされています。


・取引書類関係⇒5年保存
・帳簿⇒7年保存

※いずれも、輸入許可日の翌日から起算

 

 




修正申告は、収めた税金に過不足があった場合に行うものです。
その反対に、過大に収めた場合には税金の還付を受けることが可能ですが、この場合は修正申告とはならず、「更生の請求」という手続きになります。
更生の請求には「輸入許可を受けた日から5年以内」という期限があります。


事後調については、特に決められた条件はなく、税関が不定期で輸入者に対して行います。
その際には、税関より期間や調査対象の内容などが事前に通知されます。
通知された場合は、その期間の「取引書類および輸入に関する書類」を準備しておかなければなりません。


通関業者に委託して、その手続きを代理で行ってもらった場合でも、
税関の事後調査は「輸入者」に対して行われます。
そのため、輸入者は通関業者に委託した場合でも、手続きの内容をある程度把握しておく必要があります。

 

 

 

困った時は「こびと」を思い出してください🧙‍♀️

 

 

 

 

年末年始は、荷役もやらない?

 

 

船のスケジュールは、年末年始に合わせて予め抜港(ばっこう)のスケジュールにすることも

ありますが、実際は本船の遅れなどの理由で、年末年始の時期にずれ込んで入出港となることもよくあります。

 

そのため、船の荷役はある程度の制限はあるものの、年末年始も通常どおりに行われます。

 

船会社とオペレーター(船社代理店、荷役会社)は事前に、この期間の予定を確認し、

必要な手続きを行います。

なお、この間のCY業務は休日扱いとなりますので、コンテナの搬出入などはできません。

 

 

船のコンテナの荷卸し・積み作業は行いますが、貨物のCYへの搬出入は不可です。

本船作業とCY業務で区別されています。

 

毎年、11月頃になると各港のCYの年末年始取り扱い予定が届きます。

CYのサイトがある港は、HP上でも確認ができます。

概ね、12/30-1/4の間がクローズとなっていますが、これも港によって異なります。

 

このクローズ期間は、本船荷役も「年末年始の特別期間」として、

事前に荷役申請、手配をしておかなければなりません。

この間の荷役手配が不可の場合は、船だけ入港させて荷役は5日以降、などの対応をすることも

あります。

 

私も、長いこと船のオペレーション(運航)に携わっていましたが、

1年中、船と共に生活している感じでした😅

年末年始で休んではいるものの、船の動きを常に把握し、船社代理店と綿密に連絡を取り、船のスケジュールや荷役予定を決めなければなりません。

そのため、常に代理店とも船とも連絡が取れる体制でなければならなかったのです・・・。

 

今となっては良い思い出ですが、振り返ってみると「息つく暇がなかったなぁ」と思います。

 

船会社は休み中でも予定が変われば変更内容を代理店に連絡し、手配を変更する必要があるのです。

代理店は、船会社の指示無くしては勝手に予定を変更したり、決めることはできません。

 

 

そんな職場環境もあってか、荷役会社も若手が定着せず、「人手不足」問題もあるようです。

まぁ、海運業界全体がどこも「人手不足、若手不足」のようですが・・・。

 

ちなみに、私は韓国が主な仕事の相手先だったのですが、

韓国は旧暦を採用していますので、「旧正月」がお正月となるため、

年末年始はまったく関係なく、元旦も普通に荷役を行っています。

 

 

 

 

 

困ったときは「こびと」を思い出してください🧙‍♀️

 

 

 

D/OがOKになっていないと、どうなる?

 

今日は⑥についてです。

 

 

①船積み書類の入手
②スケジュール確認
③輸入通関準備
④A/N入手、配送手配
⑤輸入申告、納税、輸入許可
⑥D/Oリリース
⑦貨物引取り

 


 

⑥D/Oリリース

 

D/Oとは、コンテナをCYから引き取るための「DELIVERY ORDER(D/O)=荷渡し指図書」のことです。
 

これは、B/Lと引き換え船会社が発行するもので「D/Oを持っている人へ貨物を引き渡す」というものです。


CYからコンテナを引き取る際には「対査」と言って、このD/Oと輸入許可書を提示して、

貨物を引き取るというのが慣例だったのですが、近年はほとんど、「D/Oレス」となり、

紙媒体ではなくNACCS経由になっています。

それに伴って、D/Oの確認は電話ですることが主流でしたが、これもNACCSで確認できるようになりました👏


D/O レスになったことにより、荷渡し書は発行されなくなりました。
一部、船社によっては「D/Oレス処理の申請」が必要なところもあるようです。
その他、一船社によってはD/Oレスですが「ID NO」という船社から発行された番号が

必要なところもあります。

I/D NOを取得するには、チャージの金額はもちろんですが、A/NにCNEEの署名が必要など、

船社で取り決めがされています。


NACCSの整備が進み、CYでも輸入許可の情報をNACCS経由で確認できるようになりました。

そもそも、以前はNACCSのような全国の各港で統一されたシステムがなかったため、

個々で紙媒体でしか、確認する方法がなかったのですね。


しかしながら、「対査」というものが現在もまだ、残っている港もあります・・・。
もちろん、対査が残っている港では、それが終わっていなければ貨物の引取りはできません。


本来、D/Oとはその引取り証のことなのですが、D/Oレスになった今もD/Oの確認は必要です。
紙が無くなっただけで、引き取るためにはD/O=OKになっていなければ引き取りはできません。


D/OがOKになる条件は4つです。

 

  1. 船会社がB/Lを回収済みであること
  2. 船会社へのチャージ(A/Nの金額)の支払いが完了していること
  3. 輸入許可(もしくは、保税運送承認)が切れていること
  4. F/Tの期間内であること

 

上記の4つのうち、ひとつでもクリアになっていなければコンテナをCYから搬出することはできません。

 

 

 

1.船会社がB/Lを回収済みである


B/LがWAY BILLもしくはサレンダー確認がとれている👌

もしくは、オリジナルの場合は原本が船会社に到着し、確認済んでいる👌
 

NVOCC(混載業者)が間に入っているH/BLの場合は、H/BLはもちろんですが、M/BLも回収確認が取れてなければD/Oクリアにはなりません。

 

 

<B/Lの流れ>

CNEE HB/L ⇒ FWD ⇒ FWD M/BL ⇒ 船社

 



このような流れで必ず、M/BLが船社に回収されることになっています。(WAY BILLを除く)

 

 

 

2.船会社へチャージの支払いが完了している


A/Nが届いた時点で支払いが完了していれば、特に確認する必要はありません。


B/L同様にNVOCCが間に入っている場合は、NVOCCへA/Nの金額を支払います。
その支払いを受けて、混載業者は船社へA/Nの金額を支払います。

 

 

 

<A/Nのチャージ支払いの流れ>

CNEE支払い ⇒ FWD ⇒ FWD ⇒ 船社

      (    H/BL    )          (   M/BL   )

 

 

 

3.輸入許可が切れている


以前は、輸入許可書をCYへFAXする、なんてことをやっていました。
現在は、ヤード(CY)もNACCSで輸入許可が確認できますので、余程のことがない限り、
「許可が切れている」のにヤードで確認できないということはありません。


なお、マニュアル申告した場合(380など)はNACCS確認ができませんので、

許可書をCYへ送付(FAXやメールなど)する必要があります。


輸入許可以外にもうひとつ、CYから搬出できるものがあります。

「保税運送の承認」です。


これは、デバンオントラで納品するために最寄りのどこかに持っていく場合や、
倉庫や冷蔵倉庫など貨物を保管しておく場所に持っていく場合に、「輸入許可」ではなく

「保税運送」をするというものです。


この場合、このコンテナの受け先は必ず「保税地域」でなければなりません。

 

  保税運送をする場合

 

1.トラックに積み替える
2.倉庫や冷蔵庫で一旦、コンテナの中身を確認した上で、輸入申告したい場合
 

コンテナの中身は海外の輸出者が詰めていて、輸入者は書類上でしかその物量を確認することができません。
中身と書類の個数や内容を照合してから、輸入申告をする場合などは、「倉入れ」と言って倉庫や冷蔵倉庫などに持っていき、そこでデバンした内容で輸入申告をするというものです。


食品関係は、割と倉入れ後に輸入申告することが多い印象です。


もし、デバンした後に書類の個数や内容に差異があった場合は、倉入れ先で情報を訂正した後に、正しい内容で輸入通関します。


これも、実質的なマニフェスト訂正になります。(当初、船社が提出した情報と異なる)
そのため、NACCS上で訂正理由も報告しなければならないことになっています。

 

 

 

4.F/Tの期間内であること


R/FやSPECIAL CONTAINERは、F/Tの設定がドライに比べて短いです。
船の入港が確定したら、F/Tの確認は必須です。


ですが、納品や倉庫の都合などでどうしてもF/T期間内に引取りできないこともあります。
その場合は、DEMURRAGE(経過保管料)を支払わなければ、引取りできません。

略して、「デマ」と言うことが多いです。


例)20Fコンテナ:F/T 12/1まで →P/U(引取り)を12/5にする
  SCACコードの船会社へ「12/5に引き取る」旨、連絡を入れて請求書(DEMURRAGE請求 

  書)をもらう
  ※金額は各船社によって異なります。
  

  仮に@5,000円 PER DAYだったとすると、5,000円×4日(12/2-12/5)=20,000円
  この2万円を船会社へ支払い完了すれば、船社によってF/T=12/5に延長される
 

  
納品日が決まっている場合は、このD/O確認をコンテナ引取りの前日までにしておかなければなりません。
もし、D/Oがリリースされていない状態でコンテナの引取りに行った場合は、CYではねられます。
 

コンテナを引き取るために、ドライバーはCYの列に並びます。
貨物の取り扱いが多い港では、引取りまでに時間を要する場合がありますので、
引取りできなければ、また最後尾から並びなおさなければなりません。
そのような、無駄な事態を避けるためにも必ず、引取り前日までにD/Oリリースを確認しておきましょう。


⑦に続く。
 

 

困った時は「こびと」を思い出してください🧙‍♀️

 

 

 

関税はどうやって払うか?

 

 

今日は⑤の「関税の納付」についてです。


①船積み書類の入手
②スケジュール確認
③輸入通関準備
④A/N入手、配送手配
⑤輸入申告、納税、輸入許可
⑥D/Oリリース
⑦貨物引取り

 

 

 関税の納付方法


輸入申告により、税関の審査が完了したら「申告した税額が確定」ということになります。
その確定した関税の納付方法について見ていきます。


関税は、貨物の量(重量)INV価格で大きく左右されますが、その金額は百万単位になることも珍しくありません。


昔は、関税の支払いは「関税専用の決まった口座」に限定されていたのですが、近年のネットの進化に伴い、随分と便利になりました👏👏


主な納付方法は以下から選択できます☟☟☟

 

  1. 納付書により、銀行など窓口での支払い
  2. マルチペイメントネットワーク
  3. ダイレクト方式
  4. 延納

 

 

あまり輸入をしない場合は、1の方法で納付することもありますが、
金額が大きいことが多いので、3もしくは4の方法での納税されるのが主流です。
 

2についての説明は省略します。気になる方はこちらを→→→

 

 

 

 

3.ダイレクト方式

NACCSで輸入申告したものに関わる税金を納付する方法で、
輸入者の銀行口座を事前に登録し、その口座から即時、税金が引き落とされる方法です。
これは、輸入者だけではなく、通関業者なども口座引き落としの登録が可能です。

 

 

 

4.延納

納税期間を一定期間延長するもので、ある程度まとまった物量を定期的に輸入しているようなところが取る方法です。

 

3.ダイレクト方式でも引き落とし可能ですが、都度、口座からまとまった金額が引落されるより、決まった日にまとめて引き落とされる方が便利ですよね。
 

イメージとしては、クレジットカードのような感じです。

使った都度、口座から引き落とされるのではなく、決まった日に利用月の金額がまとめて引き落とされるというようなものです。
 
この手続きは、個別と包括のふたつがあります。

個別は、輸入申告毎に「延納」の手続きをするもので、包括は特定月の税金に対してまとめて「延納」の手続きをします。
いずれの延納を行う場合も、輸入者が税関に申請を行うもので、その際には決められた担保が必要となります。

このいずれかの納付方法により、ほとんどの場合は輸入審査の完了と納税が同時に行われるため、輸入審査完了と同時に「輸入許可」となります。

税金の納付が完了して、輸入許可となった場合は「輸入許可書」の出力が可能になります。
これには税額の他、輸入申告書の内容が詳細に記載してあります。

税金を一括延納にした場合は、別途「延納通知書」というもので該当月の支払い金額を
項目毎(関税、消費税)に確認できます。


貨物の輸入申告の際には、B/L NOで申告しますが、
税関と確認を行う際には、全て「申告番号」でのやり取りとなります。

延納通知書についても、申告番号毎に記載されています。
NACCSで輸入申告を入れると、自動的に「申告番号」が採番されます。

近年は、申告のほとんどがNACCSにて行われますが、
「マニュアル申告」と言って、申告書を手書きで提出する方法もあります。
 
代表的なものに「380(さんぱまる)」と言う、米軍専用のマニュアル申告があります。
これは、NACCSでの手続きが不可のため、380様式の原本にて手続きされます。

これで、外国から到着した「外国貨物」は税金を納めて無事、「内国貨物」
変わりました。
 
 
明日は⑥についてです。

 

 

 
 

困った時は「こびと」を思い出してください🧙‍♀️

 

 

 

 

 

輸入申告をしたら、どうなる?

 

 

今日は引き続き、⑤輸入申告~輸入許可までのお話です。

 


①船積み書類の入手
②スケジュール確認
③輸入通関準備
④A/N入手、配送手配
⑤輸入申告、納税、輸入許可
⑥D/Oリリース
⑦貨物引取り

 


⑤輸入申告、納税、輸入許可

 

輸入申告には、税関へ申告するもの以外に他法令も含まれます。

他法令とは、関税法以外に法律で取締りのあるものです。

(食品衛生法、薬事法、動物検疫、植物検疫など)


他法令については、また別に項目を設けようと思いますのでとりあえず、今回は「税関への申告のみ」とします。

輸入申告をする際には、B/L NOを搬入確認番号として使用します。
この際、通常は
HB/Lの番号は使用せずM/BL NOが搬入確認番号となります。
これは、マニフェスト登録を船社が行っており、船社はH/BL NOまでは把握していないからです。


また、NACCS上ではMB/L NOの前にSCAC CODE(スキャックコード)と呼ばれる4桁のアルファベットを付与しなければなりません。
SCAC CODEは各船社を特定するもので、そのコードはNACCSで割り振られています。

共同運航などで数社の船社の貨物が同じ本船に積載されている場合は、
船社を誤るとNACCS上でマニフェスト情報も確認できませんので、「どこの船社」の貨物かを確認することがとても大事です。


搬入確認後、輸入申告をすると、
「区分」という番号が立ちます。

  • 区分1:申告と同時に許可(略して区1/くいち)
  • 区分2:書類審査
  • 区分3:税関による検査

 

区分1

同じ商品が繰り替えし輸入されているので、審査を要しないもの。


輸入貨物はHSコードで、輸入者は法人番号もしくは輸出入者符号という、輸出入の際に使用する番号で統計が取られています。

輸出入者符号は、法人番号も利用可能でこれを一括りに「符号」と言います。

 

「誰が」「何を」輸入しているのか、税関が把握しているということですね。

 

 

区分2

あまり見かけない輸入貨物や、申告内容の詳細を確認する場合など、
税関が申告貨物に関わる書類を確認した上で審査します。


提出書類は、基本のA/N・B/L・INV・P/Lです。
書類の審査結果、税関が特に問題ないと判断した場合はその後、輸入審査完了となります。

 

 

区分3

税関が書類を審査した上で、貨物を目視で確認する場合や輸入品によって必要と判断した場合、

税関による検査が行われます。


これには「X線検査」「開披(かいひ)検査」のふたつがあります。


X線検査はいわゆる、空港などで手荷物検査されるレントゲンです。
税関には「検査場」と言われる場所があり、コンテナごとX線に通して税関職員が内容物を確認します。
この際に、申告外物品(輸入申告していない貨物)などが見つかると、輸入許可は留保されます。

 

開被検査は、同じ検査場で「コンテナのシールを外して、税関職員が目視で」内容物を確認します
この時、外装の「表示」などを確認する目的もあります。

 


余談ですが、税関の判断でこの検査場に「麻薬犬🐶」が来ることもあります。
(私も、過去にそんな事態に遭遇したことあります。とーっても、驚きました・・・。

何事もありませんでしたが!)

最近、よくニュースになっているコピー品の輸入や密輸などは、このような税関の「水際対策」により発覚するというわけです。

区分というのは、ランダムに立ちますので毎回「区分1」でも時には区分2や区分3になることもあります。
これは、抜き打ちという感じでしょうか・・・。
また、区分2だったものが区分3、区分3が区分2に変更されることもあります。

必要な税関の審査が終わると同時に、輸入者には「納税義務」が発生します。
HSコードにより、関税の税率が決められています。

 

 

 

 

輸入者に掛かる輸入時の税金は下記の3つです。

・輸入関税
・輸入消費税
・輸入地方消費税

 

 

↑↑↑
内訳は知らなくても良いですが、気になる方は見てみてください。
(📝内国消費税が10%になったから、私の従事していた時とは変わってました💦)

関税が無税の場合でも、消費税と地方消費税は発生します。

この3つの税金を支払ったと同時に、「輸入許可」となります。


 

明日は、引き続き⑤「輸入税金の納付」についてのお話です。

 

 

 

困った時は「こびと」を思い出してください🧙‍♀️

 

 

 

 

 

 

今日は解説はお休みして、ちょっと小話。

 

 

今さらながら、「キャプテン・フィリップス」を観ました。

 

 

 

 

 

 

この話は、ノンフィクションとのことなので実際のマースクの船長だったのでしょうね。

 

映画の話は、「ハラハラドキドキ」の連続で目が離せなくなりましたが、

私的に、それよりも見ごたえがあったのは「コンテナ船」の細部までの描写でした🚢

 

 

冒頭の数十分は、CYやコンテナの荷役、本船の出港、船内やブリッジなどなど、

ぜひ、関係従事者の方々には見て頂きたいシーンが満載でした☺

 

この映画の時は、業界でちょっとした話題になったものです。

そして、さすがはマースクだ!と思ったものでした。

 

MAERSK(マースク)とは、この海運業界で1位に位置する大手船会社です。

色んな会社を買収しながら、各ブランドを残しつつ、今の規模となりました。

 

今の国際規格の「コンテナ輸送」を始めたのも、マースクが買収したシーランドという

会社です。

 

 

そういうわけで、長年1位に君臨していたのですが、今年の1月に「船腹量で1位の座を譲った」というニュースがありました。

売上や輸送量、それから船の保有数などそれぞれのランキングがあり、

今回2位になったのは、「船の保有数」の部分でした。

 

いやー、あのニュースにはちょっと驚きました😲

 

ですが、マースクはここ数年、海上輸送だけではなく「フォワーディング部門」にも

力を入れ始め、さらに航空業界にまで参入しているので、多角的に動いている印象です。

 

航空業については、自社のロゴの入った飛行機を運航しているようですが、

今のところ、日本への離発着はまだ行わられていないようです。

いつか、日本でも「マースク」の飛行機がみたいなぁと、思います😊

 

私はNVOCCにも居ましたが、船会社での仕事も長かったので、

ブリッジ(船の操舵室)や海図、ブリッジ内に響く警報音も懐かしかったです。

 

そして改めて、キャプテン(船長)は本船運航の全ての責任を担っていることを

感じたのでした。

 

 

 

 

船からコンテナを降ろしたあとは?

 


①船積み書類の入手
②スケジュール確認
③輸入通関準備
④A/N入手、配送手配
⑤輸入申告、納税、輸入許可
⑥D/Oリリース
⑦貨物引取り

 


⑤輸入申告、納税、輸入許可
 

A/N入手後、最終的な船のスケジュールを確認します。


各船社のHPのトラッキングでも可能ですが、各港にはそれぞれターミナル(CY)のサイトがあります。
本船情報や着岸場所、スケジュールなども載っていますので、入港日直前はそちらの情報の方が間違いないと思います。


もし、そのようなサイトがなければ、A/Nに記載してあるCY(搬入先)に問い合わせて、

入港日の確定情報を確認します。

 

参考までにいくつかの運営サイトをご紹介します。

 

 

  ターミナルサイト


<大阪港>:https://www.port.city.osaka.jp/sinkowan/apl/common/SubMenuPre.do
 

<横浜港>:https://www.port.city.yokohama.lg.jp/APP/Pves0040InPlanC?hid_sessionid=&hid_gamenid=Jyoho04&hid_userid=&cbo_cberth=&txt_cetay=&txt_cetam=&txt_cetad=&cbo_status=&txt_callsign=
 

<博多港>:http://www.hits-h.com/arvdepinfo.asp



各港で、表示方法や内容も異なりますのでどの程度の「正確性」があるか、知っておいた方が良いです。
港によっては、サイトがあるものの、あまり情報を更新していなかったり、情報に信憑性が欠けている場合もあります。
頻繁に扱う港は限られてくると思うので、情報の精度は実務をやりながら掴んでいくのがいいでしょう。

ちなみに、私の実務経験の中では「博多港」の情報は確実です。

本船スケジュールは1時間毎に更新されていて、随時状況確認が可能です。

このようにA/Nが届いた後も引き続き、入港日が「予定通り」「遅れてる」か、

もしくは「早まっている」か、本船の到着を見守らなくてはなりません。


早くなることより、遅くなることの方が可能性としては高いですが、
稀に、船が寄港する順番を入れ替えたりすることで、後続の予定だった港に先に入港するということがあります。


これは、船会社の決定によるものです。
 

入港が遅くなる場合は、予定に余裕が出てきますが、早まる場合は全ての作業を前倒ししなければなりません。
そういう意味でも、本船のスケジュールを注視しておく必要があります。



船の入出港は24時間行われていますが、各港により揚げ積みの作業時間は制約があります。
 

●コンテナを船から降ろす→荷降ろし、荷揚げ、揚げ

●船にコンテナを積む→荷積み、積み
 

この作業のことを一括りで「荷役」と言います。

 


東京や大阪などの大きな港は、細かい制約はありますが、基本的には夜間の荷役も行っています。
その他の地方港は、夜間の荷役不可や、夜間の終了時間の縛り、などがあります。


船の入港日が確定したら、次はコンテナが船から「いつ」揚げられるかを確認します。
通常、港の大きさにもよりますが船からコンテナを降ろすのは数十本~数百本単位です。


また、ひとつの船にはいくつもの向け地のコンテナが載っています。
降ろし間違いや、降ろし漏れがないようにそのコンテナ1本ずつを荷役時に「コンテナ番号」で照合します。
もちろん、現物のコンテナは1本ずつCYへ搬入されます。


荷降ろしと照合が完了したら、その船から揚げたコンテナをまとめて税関に「搬入」の報告がされます。
この報告は、本船オペレータと言われる荷役会社が行います。
これを、「一括搬入」、「搬入確認」などと言います。



輸入申告するためには、まず、この「搬入確認」がされていることが条件です。
「一括搬入」のタイミングですが、これもやはり各港によって違います。
 

主要港は貨物の取り扱いも多く、夜中作業もあることから基本的には「入港日の翌日」

一括搬入日となります。
それに対して、地方港は「午前中に入港した船」については「入港日当日」に一括搬入することも多いです。

一括搬入は、その言葉どおりに「まとめてコンテナの搬入確認を行うこと」ですが、
上記のように1日タイムラグがあったりします。


中には、どうしても急いで輸入申告をして、コンテナを引き取りたいということも出てきます。
その場合は、船社もしくは船社オペレーターへ確認の上、「個別搬入」という対応が可能です。
個別搬入は、指定したコンテナ番号のみを一括搬入を待たずに、CYへ蔵置された時点で搬入するものです。


個別搬入は、指定のコンテナが船のどこに積まれてるか、などによって「不可」の場合もあります。また、「個別搬入料」と言って、別途お金を取られることもあります。
この対応は、船社によって様々ですので都度、問い合わせが必要です。

輸入申告の際には「一括搬入」と「個別搬入」があることだけ、覚えておいてください。

さて、ここからは少し税関との情報やり取りのことに触れておきます。
前に少しお話しましたが、船から貨物を降ろす前に税関へ入港前報告をする必要があります。

 

 

 

 


これは、NACCSを使用して船会社(船社代理店)がB/L情報を登録します。
 

まず、最初の情報は船会社がB/L情報に基づいて提出することになります。
このB/L情報の提出を「マニフェスト=積荷目録」と言います。


本船の入港後の入港日確定処理、その後、コンテナを船から降ろしてCYへ蔵置してからの搬入確認となります。
つまり、船社が登録した最初のB/L情報をCYからコンテナが搬出されるまで使用します。

もし、B/L情報の登録が間違っていた場合は船社から税関へ訂正をしなければならず、
それが終わらなければ輸入申告自体ができません。
そういうわけで、最初のB/L情報というのはとても大事で、一旦、税関に提出した情報を訂正するのには時間を要するのです。

最後に簡単に流れのまとめです。

<NACCSで処理される業務の流れ>
船会社→マニフェスト登録→出港前報告→出港日時確定→入港前報告→入港日確定→一括搬入→輸入申告→輸入許可→コンテナ搬出

 

搬入確認はNACCS上の「貨物照会」でB/L番号から確認することができます。

明日は、引き続き⑤輸入申告についてです。
 

 

困った時は「こびと」を思い出してください🧙‍♀️

 

 

 

 

貨物が到着をお知らせする書類

 

 

今日は④A/N入手、配送手配についてです。


①船積み書類の入手
②スケジュール確認
③輸入通関準備
④A/N入手、配送手配
⑤輸入申告、納税、輸入許可
⑥D/Oリリース
⑦貨物引取り


④A/N入手、配送手配


本船の入港が近くなると、B/Lを発行した会社(船会社、NVOCC)から

Arrival Notice(A/N)=貨物到着案内が送られてきます。


船の動静(スケジュール)は直前まで確定しないことが多いため、A/Nは入港日前日に届くことがほとんどです。
これは、「この貨物が到着しますよ」と知らせするもので、通関にも必ず必要になる大事な書類です。


下記のように、B/Lの内容+ETA(Estimated Time of Arrival=入港日)が記載されています。
ETAは通常<ETA TOYKYO : 19th,Dec>のように、到着地の港名まで表記されます。
併せて、船が到着して貨物がどこに置いてあるか=CY(搬入先)もこれに記載があります。

 




A/Nには、

●入港日

●搬入先のCY情報(連絡先も含む)

 

の他に、この貨物に掛かる費用も記載されています。

費用の中身は揚げ地で発生する船会社の費用などです。

 

船会社からの請求書はD/NとA/N

 

積み地の費用→輸出時のDEBIT NOTE(D/N)
    揚げ地の費用→輸入時のARRIVAL NOTICE(A/N)

 

このように、船会社は貨物に掛かる費用を両側の港で回収しています。


A/Nに記載されている金額を、輸出時のD/Nと同様に記載の口座まで入金しなければなりません。
これは、貨物を引き取るために必要な手続きです。


また、A/N書面上にB/Lタイプの記載がしてありますので、「SURRENDER or ORIGINAL」かを確認することができます。
SEA WAYBILLはB/Lが届いた時点で確認できるものなので、ここでは<SURRENDER>か

<ORIGINAL>かの確認のみです。

A/Nの発行は、B/Lを発行した会社もしくは代理店が行いますので、
M/BLは船社(船社代理店)H/BLはNVOCC(現地代理店)がそれぞれA/Nを発行することになります。
NVOCCはM/BLの請求項目にプラスして、自身に必要な請求項目を追加してH/BLのA/Nを発行します。
つまり、NVOCCは船社からのM/BLを受けて、それに対するA/Nを発行しているのです。

 

A/N発行の流れ

船社A/N→(NVOCC→NVOCC A/N)→CNEE
NVOCCの入っていない、STRAIGHT B/Lの場合は()が省かれ、直接船社から荷主へ届きます。


A/Nに記載されているETAもあくまでも「Estimated=予定」ですので、日付が変更になることもあります。
これに対して、既に船が入港したものを「ATA=Actual Time of Arrival」と言います。
ただ、よほどの特別な事情を除き、A/N記載の入港日からかけ離れて遅れることはありません。
 

記載のETAを基に、納品日を決めます。

この際に、輸入申告に要する日数を考慮した上でおおよその予定を立てます。

 

輸入コンテナには「Free Time(F/T)」と言う、無料でCYに置いておける期間

設定されています。

これは、船会社が決めるものでコンテナのタイプ(DR,R/F等)によっても違います。

通常のドライコンテナの場合は、大体、入港日から1週間が目安です。

 

そのため、納品を決める際にはこのF/T内にピックすることが前提です。

この期間を過ぎてしまうと、Demurrage(デマレージ)=経過保管料を支払わなければ

ピックできなくなってしまいます。

業務の中では略して「デマ」と言うことが多いです。

 

 

納品日を決める際には、このF/Tも必ず確認しましょう☝

 

 


貨物を配送先まで納品する場合は、ふたつの方法があります。

 

  1. コンテナのままドレー、納品先でデバン
  2. コンテナを近場の倉庫にドレー後、中の貨物をトラックに積み替えて配送

 

お客さんの希望や納品先の荷降ろし場所のスペースの問題などでどちらかの方法になります。
もちろん、費用はコンテナのままドレーするのが一番安くてすみます。


1.コンテナのままドレー、納品先でデバン


コンテナのままドレーする場合、CYに直接ドレー会社が引取りに行きます。
この引取りのことをPICK UP(P/U)、もしくはPICKと言います。
 

コンテナPICKの基本は、納品日の「前日」です。
 

例) 

・11/24納品→ピックは11/22(納品日前日が祝日の場合は、その前日の営業日
・12/21納品→ピックは12/20

 


ドレーは、納品先へコンテナをつけるだけで荷下ろしの作業は貨物の受け側でやらなければなりません。
また、荷下ろし時間はコンテナが到着してから2時間が目安とされています。
 

ヘッドとシャーシを切り離すことが可能ですので、業者によってはコンテナ(シャーシ)だけ切り離して、デバンが終わった頃に再度、空になったコンテナをピックすることもあります。
 

貨物の荷降ろしをぼんやり待っているより、ヘッドは別で働けば「時間の有効活用」になるからなんですね☺


2.コンテナを近場の倉庫


コンテナのままの納品が難しい場合や、受取側の作業員が確保できない場合などは
コンテナから一旦、貨物を出して、トラックに積み替えて納品します。
このような納品方法をデバンオントラック(略してオントラ)と言います。


この場合も、距離によりますが基本的にはコンテナと同様に引取りは納品日の前日です。


コンテナを近場のどこかへ持っていくことを「横持ち」もしくは「ショートドレー」と言います。
港のできるだけ近くでデバンし、横持料が最小で済むようにします。


デバンオントラに掛かる費用は「横持ち料+物量X単価」となります。
基準となる物量は容積(M3)、G/WもしくはN/Wなど取り決めによります。
そのため、貨物が多ければ多いほど、その分、デバンオントラした場合は、費用も比例して高くなります。
トラックの場合は、ドライバーが荷降ろしを手伝ってくれます。

これも、コンテナ納品と違う点です。
 

 

納品に必要な日数の目安


■コンテナのまま納品→納品日+1日

□デバンオントラックでの納品→横持ち+倉庫でのデバン+納品日+1日(計2日もしくは3日)


配送方法と予定が決まったら、ドレー業者に依頼します。
コンテナPICKの際、どこの港でも大体「予約番号」、「作業番号」もしくは「ピックオーダー」が必要なのでドレー業者と確認しておかなければなりません。

⑤につづく

 

 

困った時は「こびと」を思い出してください🧙‍♀️